プロローグ
まず、この作品を選んでいただいた方にお礼申し上げます。
この作品は私が考えた最初の小説です。
なので、文章力に関わらず未熟な点ばかりですが暖かい瞳で見守って頂ければ幸いです。
宜しくお願いします。
「自分のやっていることがわかっているのか!?」
黒髪の少年は自分の元を去ろうとする少年に声を掛ける。
「もううんざりなんだ!」
そう叫びながら首を振り、赤髪を振り撒きながら声を掛けられた少年は振り向く。
「…うんざりなんだよ。あいつを死なせておいて自分だけがのうのう生きてることに!」
まるで全てを吐き出すかのように顔を酷く歪めながら呟く。
「あの娘のことはしょうがなかったんだ!俺達にはどうしようもなかったんだ」
訴える黒髪の少年を他所に、そんなことはわかっているといった諦めの入った表情で笑う。
「もう決めたんだ。」
「…馬鹿野郎。アリスのことはどうする?」
不意に出された名前に一瞬思考を巡らせるが、すぐに振り払う。
あの娘は自分なんかよりしっかりりしている。
大丈夫だろうとは声に出さずに無言んのまま元の方向へと向き直す。
「俺との約束はっ!?」
そのまま歩き出そうする赤髪の少年に再度問い掛ける。
「別に忘れちゃいないさ。」
そう言って立ち止まる。
しかし、今度は振り返らない。
代わりに空を見上げる。
「抜かれた剣は鞘に収まるものだろ?」
「じゃあ、お前が帰って来る時まで俺は丸腰かよ?」
黒髪の少年は肩をすくめて両手を肩口ぐらいまで上げる。
「冗談だろ?お前には沢山の代わりがいるんだ。無理に待つことはないだろ。」
「それこそ冗談じゃない。俺の剣はお前って決まっているんだ。これまでも、これからも、だ。」
「やれやれ、厄介な奴が持ち主になったものだ。」
まんざらでもない様子でそう言って、俯いて首を振る。
「気が済んだら帰ってくるよ。」
「おいおい、いつの話になるんだよ!…ったく、これを持って行けよ」
今にも歩き出そうとする赤髪の少年に黒髪の少年は一振りの剣を投げる。
今度こそ、しっかりと振り返り、投げ渡された剣を受け取る。
「リオン…。」
「そいつはお前にしか使いこなせないんだから、餞別代わりに持って行っても父上も何も言わないだろ」
リオンと呼ばれた黒髪の少年は照れ隠しなのか、言ってからそっぽを向く。
赤髪の少年はこの不器用な親友が大好きだった。
だからこの剣は必ず返しに帰って来ようと思う。
「これからどうするんだ?」
リオンはこれが最後とばかりに聞く。
「俺はもう、何にも縛られない。そう、あの雲のように…。」
そう言って赤髪の少年は夕陽に染まる空に浮かぶ雲を指差す。
その言葉は親友への返事ではなく、まるで決意表明のようだった。
「決めた!今から俺の名前はクラウドだ!」