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007 もう許さねえぞ!

「ゲホッ! ゴホッ!」


 崖から飛び降りた俺は川に流された後、流れの緩やかな岸辺になんとか流れ着いた。


「ゲコゲコ」


「ハァ……ハァ……お前なぁ。こんな時くらい助けろよ」


「プッ」


 カエルのどこから鳴ったのか分からないが、馬鹿にしているのは間違いないだろう。


「いつか……覚えとけよ! 痛ッ……」


 崖を落ちる際に壁に掠ったせいで脚から血が出ていた。俺は革袋のポーションを思い出した。


「ポーションって、あのポーションだよな。だったら傷に効くはずだ」


 俺は革袋から低級ポーションを取り出して飲んだ。


「青臭ッ! 苦ッ!!」


 少しすると次第に傷が塞がった。


「おお! 傷が塞がった!」


 残りのポーションは4個だ。このポーションは大事にしよう。俺は少し休憩し、人里がありそうな気がする方向に歩きだした。



 ――1時間後。


「は、腹が(いて)ぇ。さっき食ったキノコが当たったのか」


 腹が減っている状態で美味そうなキノコを大量に見つけた。そりゃ食べるしかないだろ。

 毒があるリスクは知っている。だから、キノコの一部をカエルに食わせて確かめたんだ。カエルはキノコを食って星2という評価を下した。カエルに毒耐性があるのか、それとも食べられるキノコだけを見分ける能力があるのか分からないが、俺だけが食中毒になった。


「役に立たないカエルめ。グググ、腹が痛すぎる……。そうだ、たしか革袋にアレがあったはずだ」


 低級解毒ポーション。名前から推測するに食中毒にも効くはずだ。俺は瓶の中で怪しく揺れる緑色の液体を一気に飲んだ。味は濃縮した青汁に苦味を足したような味だ。

 俺の身体が一瞬緑色に光ったような気がした。その直後、痛みは嘘のように消えた。


「……マジかよ。解毒ポーション凄すぎないか?」


 俺は先程まで痛かった腹をさすりながら、立ち上がる。


「うっ……」


 目眩がする。解毒ポーションによって体内の毒は消えたが、今日は色々ありすぎた。体力が限界を迎えたのだ。


「こんな事なら筋トレなんてするんじゃなかったな。とにかく野営出来そうな場所を探すか……」


「ゲコッ!」


 カエルがピョコピョコとどこかに走り出す。少し進むとこちらを振り向く。


「……まさか、俺についてこいと言うのか?」


「ゲコッ!」


 カエルは進み、俺がついてくるか振り向くという動作を繰り返す。


「野生の勘ってやつに賭けてみるか」


 俺はカエルの後ろを追いかける事にした。



 ――1時間後。


 俺は倒れていた。俺の身体にはもう力が残っていない。いや、それよりも精神力が限界を迎えたのだ。もう一歩も動けない。動きたくない。何故なら


「ぐるっと回って戻って来ちまった……」


 俺は拠点に戻って来てしまったのだ。一日中歩き続けて、モンスターから襲われたり、崖から落ちたり、食中毒になったり、不幸の連続だった。その結果が振り出しに戻る、という事だった。

 俺の隣でピョコピョコ飛び跳ねながらカエルが鳴く。


「モウ二度ト帰ッテクルコトハナイダロウ。サラダバー」


「……」


 たしかに、今朝この拠点を出る時に俺はそのセリフを言った。だが、あの時は本当に戻ってくるなんて微塵も思っていなかったのだ。しかし、戻ってきてしまった。

 恥ずかしい事この上ない。いっそこの黒歴史をカエルごと抹殺してしまいたい。この事を知っているのはこのふてぶてしいカエルだけなのだ。


「モウ二度ト帰ッテクルコトハナイダロウ。サラダバー」


「もう許さねえぞ! ミジンコレベルまで粉々にして挽き肉にしてやる!!」


 俺はカエルに勝負を仕掛けた。



 結果は……満身創痍の俺と、気力体力十分のカエルとでは結果が見えていた、とだけ言っておく。ツイてない日はとことんツイてない事が続くのだ。

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