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8 イリーナという少女

 2人が一緒に馬車に乗り、王城に出勤していくのを見送った後、イリーナは小ぶりな馬車に乗って貴族学園に向かう。


 今は15歳で1年生だ。4年生に婚約者であるトーマスも一応居るが彼ら上級生とは別棟なので殆ど会うことは無い。


 と、言うより彼に会いたくないので避けているというのが正しい表現だろう。


 絵本の中の王子様のような伯爵令息は当然学園でも女性に大人気で、婚約者であるイリーナは彼のファンの令嬢達に結構な頻度で嫌がらせを受けることがあった。


 背も低く、見た目が少し幼気に見えるイリーナは瞳は灰色がかった薄いブルーで髪は茶色く、元々が平民だった両親の色を受け継いだせいなのかかわいい目鼻立ちも一見地味に見える為、平凡というより周りにいる貴族の学生達に埋没して見えるタイプだ。


 しかし、近隣諸国との摩擦も簡単にねじ伏せてしまえるような国内最強の猛者である将軍の娘だし、爵位も伯爵令嬢なのでそうそう目立った嫌がらせ等を直接受けることはなく、人懐っこい明るい性格なのでそれなりに友人も多い。


 しかし爵位の高いそれこそトーマスと同い年の令嬢達は分かりにくい陰湿な嫌がらせをしてくるのだ。



「あ~、又だよ。面倒くさい」



 朝イチで自分のロッカーの中に溜まっている手紙。今日は休み明けなので収穫は豊作だ。


 手紙の内容は大抵が自分の悪口か、婚約を解消しろという物なので開封もせずゴミ箱に捨てる事にしている為、豊作でも全くありがたくはないが。


 いちいち気にして確認していたら時間がもったいない。


 今日も教室のゴミ箱に大量の封書をよっこらしょと入れてから自席に着くと、同級生達が憐憫の情がありありと浮かぶ視線を向けるが、彼女は、もう慣れっこである。


 それよりもっと建設的な事、授業の予習でもしたほうが自分のためになるというものだ。



 イリーナは見た目は可愛い小動物のような姿をしているが、実にあっけらかんとした捌けた性格の少女なのである。


 そうでなければ、市場で百戦錬磨の店主達と値切りバトルを繰り広げたり出来るわけがない・・・



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