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14 ゴリラの娘はリスでした

 さて、自慢でもなんでもないが生まれつき作りの良い顔に上手い具合に芸術的な化粧をしっかり施して、美しいドレスに袖を通す前にコルセットでウェストをこれでもかというくらい絞り込み、胸にも尻にもパットを詰め込んで10人中7、8人位は絶世の美女だと口を揃えそうな女に成りすましてカイゼル将軍の屋敷にやって来たジュリアンだ。


「娘は今、使用人と一緒に市場に行ってるんだ」


「何で市場?」


「娘が一番値切るのが上手いんだ」



 そう説明する上司の後ろで、ウンウンと家令と執事が頷いている――


 この2人には協力してもらうために真っ先に事情を説明してあり、ジュリアンが男である事も教えてあるらしい。


 メイドや厩番、庭師やコック等の他の使用人には娘が帰ってきてから、彼ら2人が説明するのだと聞いた。



「かなり庶民的なお嬢さんですね」


「まあなあ。使用人は全員が平民だしな。母親が死んでからはずっと彼らが娘を育ててくれてたんだ。俺はずっと戦争だったからな・・・」



 ごく最近まで隣国との諍いが続いていたこの国を守って来たのはこの将軍だ。


 その間彼の娘を育てくれたのはこの屋敷の使用人達ということか・・・


 じゃあ娘の中身はほぼ平民なのか、と納得をした時に丁度娘の帰宅をメイド頭が伝えてきた。


 上司と一緒に玄関ホールに向かい、歩いていく間、このゴリラのような筋肉達磨(ダルマ)の娘ってどんなんだ? と首を捻りながら考えていると、後ろから執事が



「ウチのお嬢様は小さくて素直な可愛い方ですよ」



 次に家令が



「金銭感覚もしっかりしており、質実剛健なだけでなく学園でも優秀です」



 と張り合うように言う。 



 どうやら使用人達に大事にされているようだ、と納得しながら歩いて行くと玄関ホールに野菜や果物、肉や魚といった買い物が箱詰めになった荷物の山を並べている所に出くわした。



「お父様? その方はどなたですか?」



 黄色いドレスを着た、森に住む野リスを思い出すような少女がそこに居た。



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