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ゴブリン


まずは食糧を調達しないとな。森を探索し、木の実や茸など食べられる物を見つけなきゃ


森に入ったら動物の気配がする。鳥の鳴き声や小動物の声なども聞こえる


食糧はなんとかなりそうかもな、ただ槍で捕まえた事なんてないな。

上手く出来るか不安だ。


北海道にいた頃は趣味で狩猟免許を取って、何度か罠で捕まえて駆除や食べたりしていたので、ある程度解体の経験があり鹿や鳥、兎くらいなら出来るが異世界にそれと似たような動物がいるか分からないのでなんとも言えないが。


すると急にズボンの裾をアッシュが噛んで引っ張ってきた。

「どうした?遊んで欲しいのか?

今は森の中で危ないからダメだぞ。」


アッシュは首を横に振って違うという動作をした。そしておもむろに俺の前に立ち低く小さく唸り声を上げた。


「グルル」


アッシュは何かに気がついたようだ。

これはやばそうだと思いアッシュと共に木の影に身を潜めた。

ナイフを鞘から出して確認してみると刀身が青く光っていた。


やばい。ナイフが反応するって事は敵だ。


心臓がバクバク音を立てて鳴っている。

まるで若い時にノリで出た、格闘技の試合時のように頭の中が真っ白になって呼吸が荒くなってきた。

くそ、落ち着け。まだバレたと決まったわけじゃない。深呼吸だ。


「スーハー、スーハー」


呼吸を整え、隠れながらアッシュがさ見ている方を見ると


『ガサガサ』という音が10メートルくらい前の背の高い草陰から聞こえる。


出てきたのは、どす黒い血に濡れた小さな棍棒。緑色の肌。鋭くこちらを睨む、赤目の眼光。俺の胸の高さより小さな体躯。


ゲームの中では雑魚キャラとして定番とも言える、ゴブリンのような生き物がそこには立っていた。


幸いにもまだこちらに気がついてないようだった。これもアッシュの能力のお陰だ。

本当に助かった。バレていなければ不意打ちを仕掛ける事が出来るのだ、勝率が格段に上がる。


眼鏡のお陰でステータス確認出来た。


ランクG【ゴブリン】

レベル2


魔力量10


力  3+1

体力 4

防御 3+1

敏捷 2

器用 2

知力 2

魔力 1

魔坊 1

運  1

スキル

【棍棒】Lv1 棒形状の武器を所持している限り、攻撃動作、防御動作にプラス補正が入る(魔力消費0)


装備

E木の棍棒

E布の腰巻き



初の戦闘相手が武器持ちで人型か。

ステータス的には負けないがあの棍棒で殴られたらタダでは済まなさそうだ。


よくラノベだと人型の魔物にあったら躊躇してしまうというが、俺は違う。

学生の時にしていたラグビーに格闘技、喧嘩も、もちろんした事があるし、狩猟をしていたので血も慣れている、命を奪うという事に覚悟がある。


なにより自分を殺してくる奴を殺す事に戸惑いなどない。喧嘩を経験した事がある者ならわかる事なのだが、ある種のスイッチを入れる事が出来る。


奴が後ろを見せた瞬間にアッシュには武器を持っている方の腕を噛むように指示をして俺は槍で後ろから心臓部分を一突きする作戦にした。


アッシュは俺の指示を理解したようだ。


緊張が走る。隠れている木の横をゴブリンが通り過ぎて背中を見せた瞬間。


アッシュがゆっくり後ろから忍び寄り腕に思い切り噛み付いた。


「グキャギャ」


ゴブリンは叫び声を上げ、武器である棍棒を落とした。

このチャンスを逃さないように槍を構えて体当たりする様に身体ごと槍をゴブリン突き刺した。


「オラァ!」


自然と声が出ていた。槍は錆びていたが体重を乗せた槍の一撃はゴブリンの背中から腹を突き破り貫通させていた。


「ゴフッ」


口から青い色の血のような物を吐いた。

勢いが余り、狙いがずれて心臓には当たっていなかったようだが、致命傷には間違いない。


「ギャギャ」


「うわっ!」


油断をしていた。即死していなかったゴブリンが暴れて俺を振り払い槍から手を離してしまった。


しまった、やばい!


「ガァァ」


『ゴキ』


すかさずアッシュがゴブリンの喉元に食らい付き首の骨を折り息の根を止めた。


すぐに背中から斧を取り、念のため死んでいるであろうゴブリンの首を刎ねた。

その瞬間身体に何かが入り込み全身に力が漲る感覚がした。


「助かったよアッシュ、ありがとう」


アッシュを抱きよせ撫でた。

なんて有能なんだうちの子は索敵に奇襲、恐れずに戦う勇敢さ非の打ち所がない。

そしてなにより癒される。


強がっていた。覚悟があるとかなんとか言いながら心は消耗していたようだ。


くそ。手が少し震えてる。行けると思ったんだが、身体は正直なようだ。

これから慣れていけばいい。最初はみんな一緒だと自分に言い聞かせながら心を落ちつかせた。


とりあえず少し休憩をして落ち着いてきたので、先程感じた感覚をレベルアップだと思い、急いで空き家までもどりアプリを開いた。


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