表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ジャンク屋ちゃん! ~Scavenger Girls!~  作者: 山田擦過傷
1話:壊れた世界を直す旅
13/24

閑話6.終末旅程は足元から

 


 ――――ゴゥン。

 ――ゴゥン。

 ゴゥン。


「あーちゃん。散歩に行ってくるね」

「…………はい」


 ゴゥン。

 ――ゴゥン。

 ――――ゴゥン。


 えっと。

 何が起きたか整理しよう。


 休日に宇々(うー)ちゃんとだべっていたら、凄い足音を響かせながら、バケツ頭で2メートル半くらいの鋼鉄の身体をした巨人が近付いてきて、合成音声で話しかけられたと思ったら、呆気(あっけ)に取られているうちに散歩に行ってしまった。


「かみさまかと思った」

 いや、違うのか。あれは強化外骨格(パワードスーツ)の一種なのだろう。中に入っている人が誰だか分かる前に行ってしまった。


往子(おー)ちゃんの匂いだったぞ」

 うーちゃんがそう言った。じゃあ間違いないのだろう。カップラーメンが出来上がるくらいの時間が経ってから、息を切らして慧摺(えー)ちゃんが走ってきた。


「ハァ、ハァ。おー子を見なかったか?」

「見た。固そうだった」


 うーちゃんはおーちゃんが歩いて行った方向を指差している。


「あー、もう。充電してないって言ったのに」

 えーちゃんはしかめっ面を浮かべた。


 どうやらトラブルの匂い。



 話を聞くと、古いガソリンスタンドからパワードスーツを見つけたから、修理をしていたそうだ。それがひと段落したところで、おーちゃんがテストパイロットに立候補した。


 おーちゃんはいたく気に入った様子で、えーちゃんが工具を探しに行ったちょっとの間に、バッテリーの容量が少ない状態で散歩に出てしまった。


 昔の事故のせいで、おーちゃんは足が悪い。

 (みずか)らの足で歩くには何かしらの筋力補助装置が必要なのだ。で、ここからが問題で、彼女はあまりにも旅が好きだった。


 とにかく一所(ひとところ)に留まるということができず、放っておけばどこかに行ってしまう。隊長が私の教育係に任命したのも、そうすればさすがに大人しくするだろうということらしい。


 足枷(あしかせ)だったとは心外だ。

 ……話を戻すと、筋力補助装置は大抵バッテリー式だから、電池が切れたら歩けなくなってしまう。

 この人工物が散らばった不毛の荒野で。


「やばい!」

「探しに行くぞ!」

「おーちゃん狩りだ!」



 ――♺――



 無事見つけた頃には、日が傾いていた。


 おーちゃんはバッテリーが切れたパワードスーツを携帯式の太陽光パネルでじっくりと充電していて、焚火に当たりながら罠で捕ったウサギを焼いていた。


「早かったね」

「ウサギ食べてる! ずるい!」

「うーちゃんも食べる?」

「食べる!」


 ナイフで手際よく切り分けられたウサギ肉に、うーちゃんは無警戒で食らいついた。それをいつもの無表情で見ている。

 余裕そう。余裕そうだ。


「大丈夫?」

「うん、ごめんね」


 そういえば、おーちゃんは私の先輩で、熟練のハイパーアキュムレーターだった。歩ける、歩けないなど彼女にとっては些細な問題で、科学と経験でどうにかしてしまうのだろう。


「皆なら来てくれるって思ってた」

 そう言って一瞬だけ笑ったのを、見過ごさなくて良かった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ