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4話
オギャア、オギャア
弟が、生まれた。
「クリス、お前は死んだ事になり、跡取りの座は弟に引き継がれる。いいな。」
「·····」
そして僕は一週間後に捨てられた。
一週間の猶予があったのは、弟を産んだ妾が父に掛け合ってくれたからだった。
その一週間の間に僕が生きていける様に準備したのも、愛情を教えてくれたのも、彼女だった。
「クリス、貴方はよく頑張っているわ。もっと甘えていいのよ?」
いや、愛情を教えてくれようとしただ。
僕は、それを拒絶したから。
「そう·····。甘えたくなったら言って頂戴?」
「そんなの、ありません。甘えたくなることなんて、ありません。」