1話
語り口調にしました。
僕には、前世の記憶がある。だけど、それは僕にとって良いものではない。なぜなら、それが理由で僕は捨てられたから。
◆◆◆◆
僕は、名門侯爵家[ルーフェリス家]に正妻の娘として生まれた。
「リオル」
「はい、父上」
「お前は女だ。だが、男になれ。男として生きろ。·····分かったか」
「え、あ、なんで」
「そんなことはどうでもいい! 分かったか!?」
「は、はい!」
◆◆◆◆
「リオル様。」
「あ、セバスさん····。何でしょう?」
「はい、旦那様からお聞きになられたと思いますが、リオル様は男として過ごされます。ですので、紳士教育を受けていただく事になります。ですが、外部の方 では女とバレるかもしれませんので、私が担当させていただきます。」
「あ、ありがとうございます。」
「いえ、仕事ですので。」
◆◆◆◆
「あの、セバスさん。」
「何でしょう?」
「何故、父は僕に男として生きろ、と?」
「ああ。ルーフェリス家は今、分家が力を上げています。そして、ルーフェリス家を乗っ取るため、子が出来ないなら養子に、と言っていまして。そのときに奥様が妊娠なされました。」
「それが、僕?」
「はい。そして、子供が出来た事を理由に旦那様は断りました。しかし、分家の者がうるさく、男であれば当主にし、女であれば養子を取ると、旦那様は宣言なさいました。」
「でも、生まれたのは、女だった。」
「はい。ですので旦那様は、リオル様を男として育てる事にしたのかと。」
「そうなんですか。ありがとうございました。セバスさん。」
「いえ。」