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右利き無双 〜左利きしか存在しない異世界に転生した右利きの俺は、少しだけ強い〜

俺は死んだ。左利きのあいつに殺された。

許せない。次があったら絶対に負けない。

かすれゆく意識の中で俺は、そう誓った。


・・・・・・


目が覚めると森で横たわっていた。

どうやら異世界転生したようだ。


「貴様何者だ!ここで何をしている!」


突然の声に驚きつつ、その方向にに目を向けると騎士姿の娘が剣を構えて立っていた。燃えるような紅い髪が美しい。


「怪しいものじゃない。今しがた異世界から転生してきたみたいなんだ。」


「てやあああああ!」


なんとか簡単に状況を説明したつもりだったが問答無用で斬りかかられた。相手の予想外の行動に驚きつつ手元にあった棒切れで応戦する。


キンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキン‼︎


(…?こいつ左利きか…?)


棒切れで何合か交えたことにより違和感を感じた。よく見れば相手が左利きであったことがわかる。

先程左利きのあいつに殺された身として、ふつふつと怒りが込み上げる。絶対に負けないと誓ったのだから、この闘い、負けられない。

左利きの剣士の弱点は左手の甲だ。剣道をやったことのない俺でもそれくらいはわかる。

それを意識してからは一方的な闘いだった。


「くっ!」


騎士の娘は左手の甲への一撃にうめき、剣を落とした。


「勝負あったな。しかし俺は本当に怪しいものじゃない。できれば近くの街に案内して仕事を斡旋してほしいだけだ。」


追い討ちはせずに要求を述べる。


「仕事か…いいだろう。丁度お前のような強い者を探していたのだ。」


女騎士が立ち上がり俺たちは握手を交わした。左手で。


・・・・・・


「私はこの国の王だ。」


「ははーっ!」


騎士の娘に連れられなぜか王を名乗る男に引き合わされた。

理由もわからずに殺されるのも嫌なので、とにかく俺は平伏した。


「この者は私より強い。そこで此度の魔王討伐に彼を推薦します。」


「よかろう。」


俺は相談もなしに大役を任されたようだ。


「アンナ。その者とともに魔王討伐に発つとよい。それと、この国最高の魔道士のエリーも連れていくが良い」


「はっ!」


「…。」


こうして俺と騎士アンナと魔道士エリーの魔王討伐の旅が始まった。


・・・・・・


「遂にここまで来たな。」


「はい…本当に長かったです…。」


俺と魔道士エリーはこの1年半の旅の終点となる魔王城の前にいた。アンナは病欠だ。

緊張しつつ魔王城の物々しい扉を開ける。


「油断したな勇者ぁ!殺してやる!」


「甘いな!」


「右利きだとぉ!?ぐふぅ…!」


僅かに開いた扉の隙間から、何者かが猛烈な勢いで左手を構え突進してきた。だが俺はそれを見切り、渾身の右ストレートを顔面に叩き込む。

吹き飛んだ敵は地に斃れる。

その顔には見覚えがあった。魔王だ。


あたたかな明るさを感じ振り返ると、黒い雲が立ち込めていた空に光が差し込んでいた。


何かの間違いで、期待してこの短編小説ご覧になってしまった方がいたら、申し訳ない気持ちでいっぱいです。

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