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2 学園見学


 学園の数を以前のはなしより少し変更しました。


 


       コン コン コン


「ローズ。準備出来たかな??」


 ノックの後、朝から爽やかな笑顔を見せるギルバートが、ローズの様子を見に部屋を訪れた。


 今日は、入学を来月に控え、寮生活に必要な物を確認したり、どんな学園なのかを見学しに、ギルバートとクロードと共に学園へ向かう予定なのだ。


 ローズがもうすぐ通う事になる学園は、ファルスター公爵家から馬車で3時間ほどの距離にあり、朝食を終えたローズは急ぎ 準備し終えるとルイと共にギルバートにエスコートされて馬車へと向かい歩き出す。


 学園へは、馬車一台で向かう事になっているが、御者以外に護衛も兼ねてジュリアス、ノア、ルイ、ジョイが馬に騎乗して同行する事になっていた。


 ルイとジョイに至っては、護衛と言うか 学校見学に連れて行く事がメインの様な気もしないでもないが……

 ローズとは違い、ルイもジョイも全く顔には出さないが、これから通う学園見学に期待に胸を躍らせている事は間違いなかった。

 普段の馬車移動よりは多少身軽だが、それでも仰々しさが残っている馬車に乗り込むと少し恥ずかしくなるローズだった。

 だが、前世以来の久しぶりの学園生活を想像すると恥ずかしさなどどこ吹く風で期待に胸が膨らむのも確かだった。



***



「お父様達も、これから向かう学園に通っていたんですよね!?」


 ローズはこれから見学する学園に逸る気持ちを隠し切れずに、溢れそうなくらい目を見開き問いかけた。


「あぁ…そうだよ!!ジュリアスとノアも、在籍していた時期は違うが、皆、同じ学園出身だ!!」


 クロードは、学園に行くのが楽しみで逸る気持ちを抑えきれないローズを、落ち着かせる様に優しく頭を撫でがら楽しそうに伝えると、横に座っているギルバートも学園の説明をしてくれる。


「王都に程近い位置にある学園だから、この国にある学園の中でも比較的設備が整っているし、先生方も優秀な方が多い良い学園ではあるかなぁ」


 ローズが今年から通う学園は、10〜20歳の年齢別で各学年1クラスの100人前後が在籍する予定で、全年齢、合わせて10クラスで学園生活を送る事になっている。

 病気や領地を管理する必要があるなど、重要な理由が無ければ基本的に行く事が義務付けられていた。

 王都から程近い距離にあり、王族や高位貴族が通う事もある為、設備や人員などが充実しており、この国に現存する学園の中で最も人気の高い学園だった。

 本来であれば自宅から近い学園に通うように通達が来るのだが、王族や高位貴族と懇意になりたい人達が、コネなどを駆使して王都にある学園に通ってくる事も珍しくはなかった。


 そうなると必然的に、王都にある学園が一番敷居が高くなり貴族達はこぞって王都へ入りたがる為、平民も中には居るとはいえ、他領の学園に比べると格段に貴族達が多くなってしまっていた。


 寮の部屋は基本的には4〜8人一室の相部屋で、本来は学園側が貴賎関係なく部屋割りを行う。

 学園に在籍している間は身分関係なく交流を待とうと言うスローガンの元、学園を運営している事が理由なのだが、現在では、不要な揉め事を避ける為に、部屋割は爵位順に貴族と平民でわかれる事が多く身分が下になればなるほど大部屋になってしまっているのが現状だった。



 寮での生活は衣食住が保証されている為、平民達の間では楽しみな政策の一つであり、ここで懇意になった貴族の家で卒業後に仕える事も珍しい事ではなかった。

 貴族達の間でも、より高い身分の相手と懇意になりたい為に重要な社交の場のひとつにもなっていた。


 


…………




「どんなところなんだろう……なんか…ワクワクします」


 ローズは数ヶ月後には公爵家を出て、新しく生活を始める学園に対して期待に胸を膨らませドキドキしていた。


「基本的には寮生活で4〜8人の相部屋なんだけど、毎回、数人の女子が入学してくる筈なんだ。

 王族の男子を除いて、その時 入学する女性は爵位の高い順に最上階の個室が与えられるんだよ!!今年度は、ローズが1番爵位が高いから広い個室が用意されていると思うよ!!私も以前はそこで過ごしたんだ!!」


「えっ??そうなんですか!?」


「あぁ。綺麗な良い部屋だよ!」


 ギルバートの説明を聞いてローズは、貴族が使う最上階の個室と言うと何処ぞの高級マンションのようなものを想像してしまっていた。

 高位貴族の頂点、セレブ中のセレブに成り上がったローズは、中身はこんなにもポンコツにも拘らずそんなセレブ扱いを受けてしまう事に、会ったことも無いが、他の貴族女子達に対して今から申し訳ない気持ちでいっぱいであった。


 今年度は何人の女子が入って来るかは分からないが、同年代の女子の友達が出来ればいいなと淡い期待を胸に秘めていると馬車が学園に到着した。




****



「お待ちしておりました。わたくし、この学園の学園長をしておりますモーガン・ハイムと申します。本日は学園の中などを案内させて頂きますのでよろしくお願い致します」


「あっ…はい……宜しくお願いします」

(おお…マジか……学園長自ら案内するなんて、本当申し訳無い……流石、クロード父様とギルバート兄様……でも、変に緊張するからマジで帰って欲しい……)


 白髪混じりの黒髪で丸眼鏡を掛けている優しそうなおじ様の学園長は公爵家と王弟のご令嬢が入学すると聞いて、何か失礼があってはいけないと自ら案内を買って出てくれたのだが、逆に気を使うのでやめて欲しいと切実に思うローズだった。

 だが、前世からの記憶で学園長イコール偉い人と思い込んでしまっているローズだったが、この世界では、ローズの方が爵位が高いので本来であれば気にする必要など全く無いのである。

 ローズ以外は皆その事を当たり前のように分かっているのだが、当の本人だけはイマイチよく分かっていないのか一人落ち着きなく恐縮しまくるのだった。


「あぁ。今日は宜しく頼む。ただ、我々もここに在籍していたのである程度の事は分かっている。モーガン殿は足りない部分だけ補足してくれればそれで構わない」


「畏まりました。では、まず学園の方から案内致します」


 そう言ってローズ達を学園の中に促し案内してくれるのだが、学園自体はドーナツ型の5階建ての建物で、凝った造りをしているわけでは無いがシンプルで綺麗な建物だった。

 ただ一階部分だけは円柱状の大きなホールになっていてそこでダンスパーティーや式典などを行うらしい。

 2階からはドーナツ型の作りになっていて、校舎に囲まれる様に二階の円の中は芝が綺麗に引き詰められた園庭になっていてベンチや机などが所々に置いてあり天気の良い日は外で散歩やお茶などができる様になっていた。


 二階に上がると直ぐ大きなガラスドアがあり、中の園庭を見る事がでるので、あそこで友達とお昼などを食べたら楽しいだろうなとローズの夢は膨らんでいた。


 校舎の中は、小中高の校舎と言うよりは大学に近い造りで一部屋あたり、結構な人数を収容できそうな大きな造りになっている。

 その部屋は3階から5階まで各階に2〜4部屋ずつあり、その他にも2階には 吹き抜けの園庭以外にも相当数の人数が収容出来る食堂と売店のような店があり、3階には、2階から繋がっている食堂の他に職員室と救護室、各教科室があり、最上階には教室以外にもシャワー付きの更衣室があり、更に屋上が魔法や剣術など実技を行う為の演習場になっていた。


 下の階から順番に年齢が若い順に部屋が決まっていて3階が職員室のある10歳、11歳クラスの階、4階が13〜16歳のクラスの階

5階が17歳から20歳のクラスの階と既に決まっている様で、ローズは4階、ルイとジョイは5階にあるクラスで授業を受ける事になる様だった。

 ただ、基本的にはクラス単位で授業をする事になるのだが、行事や教科によっては様々な年代と交流が出来る様に合同で行うものも多々ある様だ。


 クロード達と学園長の説明で様々な所を見学しながら校舎の見学は続くのだった。

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