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30 騎士団訪問 2


「ローズ様。危ないのでアルベルト様の側から絶対に離れないで下さいね!!!

 さぁ…誰から始めますか!?ルイ…分かっていますよね…….」


「はい。ジュリアス様。お任せ下さい!!」


 そう言いながらアルベルト達から離れた2人は、団員達から模擬刀を受け取ると演習場の中央で刀を構えた。


「ジュリアス父様ーーー!!ルイーーー!!怪我しないでねーー!!!」


 ローズの叫びを鼻で笑うルイと、爽やかな笑顔で「大丈夫ですよ!!」と手を振るジュリアスだったが、ローズの不安は拭えなかった…


 普段から物腰の柔らかい頭脳派の印象が強いジュリアスが、刀を振り回す姿が想像出来ないローズは、常日頃から鍛えている強そうな団員達を相手にジュリアスや獣人とは言えまだ若いルイが、怪我をしてしまうのでは無いかとハラハラしてしまう。


 本来のジュリアスは、クロード達の中でも1.2を争う血の気の多さなのだが、ローズの前では、そんな事を(おくび)にも出さないので、ローズはその事実に全く気づいていないのだった。


「よし。それじゃあ始めるぞ!!魔法は無しの一本勝負!!刀を落とすか、参ったと言わせればそこで終了だ!!やる気のある奴は前へ出ろ!!」

 

 アルベルトの言葉を受けて、血の気の多そうな逞しい男が2人、ジュリアスとルイの前へ立つ。


 周りの団員達は次は俺だと勢いづいていて、ローズも彼等の熱気に当てられたように胸がドキドキと高鳴っていた。


 高まる緊張感と周りの団員達のヤジの中、初めの均衡を破ったのは、ジュリアスの前に立った団員だっだ。


 「うおりゃあーー」


 と言う掛け声と共に模擬刀を手に走り出した団員はスピードを緩める事なく刀を振り上げジュリアスに切り掛かる。


 団員が物凄い気迫で向かっている中、微動だにしないジュリアスに(やっぱりジュリアスは格闘向きじゃないじゃん!!このままじゃ怪我しちゃう)とローズは思わず目を瞑ってしまう。


 だが、次の瞬間、アルベルトの「そこまで!!」と言う言葉にハッとして目を開けたローズが見たのは、ジュリアスが団員の喉元に模擬刀を突きつけ、団員が小さな声で「参りました」と言っている姿だった。

 先程、ジュリアスに向かって走り出しながら振り上げていた模擬刀も持っておらず、ローズは、あれ?と思い辺りを見回して見ると演習場の端の方に飛ばされて転がっている模擬刀を発見し、多分…団員が持っていたであろう事が想像できた。


 ローズは目を瞑っていたし、一瞬の出来事過ぎて何がなんだか分からなかったが、一先ずジュリアスに怪我が無くホッと息を吐いた。


 だが次の瞬間、またアルベルトの「そこまで」と言う声が響き、慌てて其方の方に振り向くと倒れている団員の鼻先に模擬刀を向けて立つルイの姿だった。


 ローズが(あれっ??まさかこの人達って意外に強いのかなぁ??)と素朴な疑問が頭を掠めた時、ジュリアスの良く通る声が響いた。


「このままでは時間の無駄です。私は、こんな茶番は早く終わらせてローズ様を連れて屋敷に帰りたいので、早く終わらせる為にも数名ずつかかって来なさい!!」


 日々鍛錬に勤しむ騎士達相手に言う言葉では無さそうだが、その言葉を皮切りに数名の団員達が示し合わせたかの様にジュリアスとルイに向かって模擬刀を振り被って走り迫る。

 ジュリアスは模擬刀を振り上げると、まるで舞うかの様にその場で回し切り その瞬間ジュリアスに向かって模擬刀を振り上げていた団員達が一斉に吹き飛んだ。


 その横でルイは獣人の身体能力を使い、向かって来る団員達が斬りかかる瞬間、上に飛び上がると一瞬のうちに団員達の背後に回り慌てて振り向いた時には既に遅く、次々と団員達の刀を叩き落としていく。


 ローズは普段、見る事ない2人の戦う姿に、只々、呆然と口を開け眺め続けてしまうのだった。


 1時間も経たないうちにやる気に満ち溢れていた団員達が次々と肩を落としていく中で、一人の男性がジュリアスの前に立ち 名乗りを上げた。


 その団員は、先程アルベルトの執務室に居た副師団長の一人で、模擬刀を持ちジュリアスの前に立っている。


「ジュリアス…久しぶりに手合わせ願おう……」


「フッ。そんな事を言っていますけど私に勝てた事などありましたか?」


 真剣な副師団長を他所に鼻で笑うジュリアスは手に握っている模擬刀を軽くしならせながら握り直す。


「もう、以前のような私では無い。団長の元で鍛え続けた私の力を身を持って確かめるがいい」


「では、お手並み拝見といきますか」


 そう言ってお互い真剣な表情で模擬刀を構えると、今まで騒ついてていた演習場が一瞬にして静まり返った……


 ローズにも言い知れない緊張感が伝わり固唾を呑んで見守っていると、横に居たアルベルトがそっとローズに耳打ちしてきた。


「アイツはジュリアスとノア同年代で、互いに切磋琢磨して学生時代を過ごしていたらしいんだが、剣術においてはジュリアスに一度も勝てた事が無いらしいぞ。

 日々その事を悔しく思っていたみたいで、いつかジュリアスを負かす事だけを励みに副師団長まで昇り詰めた男なんだよ」


「ジュリアス父様って…そんなに強いんですか!?全然そんな感じしないんですけど……」


 ローズはアルベルトの言葉が信じられずに疑いの眼差しをアルベルトに向けるとアルベルトは苦笑い混じりに微笑みながら


「ははっ。一見そうは見えないが、学生時代は誰にも負けた事が無いらしいぞ!!因みに俺らの中で学生時代、剣術で俺と張り合ってたのは、エリオットだからな!!」


「はっ??」

(絶対……嘘だ!!あの….綺麗な物以外は興味ありませんって感じのお母様が……強い……??全然、想像出来ないんですけど……)


「あっ!!でもこの話はエリオットに言うなよ!!口止めされてるからな!!」


 そう言いながらニカッっと笑ったアルベルトは、少し乱暴にローズの頭を撫でた後、真剣な顔でジュリアス達の模擬戦を眺めるのだった。


 ジュリアスと副師団長は未だ膠着状態が続いており、一触即発の只ならぬ雰囲気が辺りを包んでいた。


 そんな中、ジュリアスの眉がピクリと動いた瞬間、副師団長がジュリアス目掛けて模擬刀を振り下ろした。


 バギンと言う音と共に刀と刀がぶつかり合い、そのままジュリアスが押し出す様に刀を突き出す。

 押された副師団長は数歩飛び退くと体制を立て直し、直ぐさまジュリアスに向かって刀を振り上げ飛び込んだ。


 何度かの打ち合いの中、ふとジュリアスが不敵な笑みを浮かべた瞬間、副師団長の刀を下から打ち上げ、勢いそのままに副師団長へと回し蹴りを入れたジュリアスは、その回転を生かし流れる様に倒れた副師団長の鼻先へ模擬刀を突き立てた。


「そこまで!!」


 アルベルトの大きな声がその場に響くと静かに模擬刀を下ろしたジュリアスが副師団長の手を取り、引っ張る様にして起き上がらせた。

 副師団長は軽く自分服を叩きながら苦笑いを漏らすと「全く衰えてないな」と言いながらジュリアスの肩を叩くのだった。


「いや…私もまだまだですよ。今後の事を考えると、私も今以上に鍛錬をしないとダメですね!!」


 自分の力に納得いっていないジュリアスは首を振りながら自嘲気味に呟いた。


「お前、騎士団でもないのに、それ以上強くなって何目指すつもりなんだよ」


 副師団長は騎士団でもないのに強さを求めるジュリアスに呆れた様な笑みを漏らすが、ジュリアスは何食わぬ顔で「ローズ様をお守りするために決まっているではないですか」と当然の事のように言い放った。


 アルベルトの出番もないまま模擬戦も終了かと思われたその時、ルイの前に最近、騎士団で鍛錬をしているジョイが立ちはだかった。


「ルイ。勝負だ!!」


「フッ。お前が俺の相手になると思うのか!?」


 ジョイが自分の前に立った事を鼻で笑う強気なルイが、模擬刀を構えたところで、2人の対戦の合図となる。


 お互いに模擬刀を構え見つめ合った瞬間、アルベルトの「始め!!」の合図がかかり、2人は一斉に走り出し、バギンと言う音と共に激しく模擬刀がぶつかり合った。


 ルイとジョイの二人の真剣勝負が始まった。


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