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17 ローズの秘めごと 5


「ルイ!!見せたいものがあるんだけど部屋まで来てくれる?」


「ぁん!?何だよ……!!2人っきりでのお出掛けは、もう…済んだのかよ!!」


(うわ〜ルイさん…未だにご立腹ですね……ちょっと仲間外れになったからって、そんなに拗ねなくたって……そんなに一緒に遊びたかったのか〜……??17歳って言っても男子はまだまだ子供だねぇ〜〜)


 完全に検討違いな事を考えているローズの後ろで、ジョイは (そんな事で拗ねてられるのも今のうちだぞ!!) などと思いながら可哀想な子でも見るような目でルイを見つめるのだった……


 ジョイのその視線に気がついたルイは、ローズと2人きりで出掛けられた事を鼻に掛け、優越感に浸ってるんだろうと更に勘違いし、より一層機嫌が悪そうに顔を顰めるとローズ達に向かって舌打ちするのだった……


 そんなルイを聖母のような微笑みで躱したローズは、不機嫌そうなルイの手を引っ張りながら強引に自分の部屋へと連れ帰りだした。


 手を繋ぐような形でルイを引っ張りながら歩いて行くうちに、何故か徐々に機嫌を直していくルイに、やっぱり仲間外れが寂しかったのだなぁ…と、より一層勘違いを深めたローズは、そっと自室の扉を開けルイを中に入れると急いで扉を閉めた。


「見せたいものってなんだよ……?……って、おい!!!!お前………あれ……どう言う事だ!!!」


 ローズの部屋に入って目にしたものにルイは驚愕に目を開くが、ルイの戸惑いなど完全に無視したローズは、ベッドの上で首を傾げるギユウに近づくと、そっと抱き上げてルイに向き直りニッコリ微笑みながら


「拾っちゃった!!」


 と可愛らしく舌を出した。


「拾っちゃったじゃねぇーーー!!!ローーーズ!!!

 いい子だから、元の場所に返して来なさい!!!」


(あっ!!此処にもお母さんが居る……)


 先程も同じ様な事を言われたローズが、またアホみたいな事を考えている間にも、無意識に後ずさってしまうルイを見て ジョイは、気持ち分かるよ〜〜と心の中で同情する。


「って言うか、ジョイ!!!何で止めねぇんだよ!!一緒に居たのに何やってんだ!!」


 何処にぶつけたらいいのか分からない形容し難い感情を持て余したルイは、ぶつけどころをジョイに定めるとジョイに向かって怒鳴り出した。


 怒りの矛先が自分に回って来たジョイはムッとしたようでルイを睨み返すと強い口調で言い返す。


「止められる訳ねぇだろ!!寧ろ連れて行かれた時には、もう一緒に居て名前つけて可愛がってたんだよ!!俺にどうしろって言うんだ!」


 ルイの八つ当たりに近い言葉に、ジョイも今までの鬱憤が爆発し、八つ当たり返す。

 すると、ジョイに怒りをぶちまけたせいか先程よりは少し落ち着いてきたルイが、ジョイのその時の状況を思い浮かべると同情心が芽生えたようで軽いため息と共にガックリと肩を落とすのだった……


「いや……でも…連れて帰ってくるのは、どう考えても不味いだろ…」


「いや…まぁ……そうなんだけど……今までも内緒で飼ってたって言うし……無闇に近づけないしで、俺もどうすればいいのか分かんねぇんだよ!!」


 この状況にある程度慣れてきたのか、落ち着いて来た2人は、少し冷静になって話し出すが、全く答えは見出せない……


「はぁ……その気持ちは分からなくも無いけど……どう考えても不味いだろ!!どうする!?俺らだけじゃ判断出来ないぞ!!」


 そんな2人の気持ちを知ってか知らずかローズの呑気な声が聞こえてきた。


「大丈夫だよ!!お父様達にも徐々に紹介するから!!ただ、急に皆んなに合わせたらギユウも皆んなもパニックになりそうだったから徐々にね!!」


「徐々にね!!じゃねぇ!!そんなの見せたらアイツら卒倒するんじゃねぇのか!?」


 そこまで分かるのになんで肝心な事は分かんねぇんだよ!!ポンコツに見せかけて実はコイツ、確信犯じゃねぇだろうな…と、ウインクでもしそうな勢いのローズに落ち着いてた怒りが再燃したルイが言葉強めに注意するも


「大丈夫だよ!!ギユウ大人しいし、いい子だから!!ねぇ〜ギ〜ユ〜ウ〜!!」


「グッギュー!!!」


「「うおっ!!!」」


 ギユウを抱いて楽しそうにしているローズとは正反対で、完全にビビりまくっている男子2人にギユウを抱きしめたままそっとローズが近づいて行くと…

 ギユウも歯を見せながら軽く威嚇はするものの、ジョイを合わせた時の様な暴れは見せずにローズの腕の中で大人しくしている。


 そんなギユウから目が離せずに固まり動けなくなった2人の前に、ローズはニッコリと微笑みながら


「ねっ!!可愛いでしょ!!」


 とギユウを撫でながら呟いた。


 ((全然可愛くねぇ…!!))


 竜に威嚇されてる様にしか見えない男子2人は、心の中で呟くのだった……



………



 その後の話し合いで、とりあえず自室にギユウを置いて置くのは、クロード達も頻繁に来るので不味いだろうと、ローズ専用の料理部屋へとギユウを移した。


 その間も、ローズはギユウと楽しそうに戯れていて、その光景を眺めながらこれからどうすればいいのかと途方に暮れる2人だった……


 それから夕食の時間が近づいてきたために、一度 着替えに部屋に戻ったローズを見送ると、普段は仲が悪くあまり目も合わせないくせに、ルイとジョイはお互いに目配せをし、ルイの部屋へと移動すると、男子2人での緊急会議を行いだした。


「おい!!どうするんだよ!!」


「どうするって俺に聞かれたって分かるわけねぇだろ!!」


「ローズは、なんで…あぁも次から次へと問題ばかり起こすんだ!!」


「いや……もう…今回は、問題なんて言葉じゃ済まされないぞ!!マジで大人しくしててくれねぇかな……」


 ルイの心からの叫びにジョイは心底同情する…


「お前…マジで、いつも大変なんだな!!」


 ジョイは、ルイを可哀想そうな子を見るような目で見つめていると、その視線が癪に触ったのか少しイラッとしたように髪を掻き上げながらジョイを横目で睨みつつ問いかけた。


「お前もこれからそうなるんだよ!!って言うかマジでどうするんだよ!?」


「いや〜……一人ずつに見せて一々説明するのか!?」


「ローズはそう言ってたけど、その後の俺らの心労を考えると耐えられる気がしないな…」


「そうだよな!!どうにか一度で終わらせられないか!?」


「そうだな…」


 2人の真剣な話し合いの結果、一人一人に突然見せるのは、その後の説明も面倒だし、自分達の心労を考えると得策では無いと言う話になり、先にクロード達に報告し、その後に竜を驚かさないように順番に見て貰おうと結論付けた……


 だが……この後、行われるであろう恐怖の報告会に処刑を待つ囚人のような気分になり、今から胃が痛くなってくる2人だった……


 嫌がるルイを半ば強引に 押しやり、急いで報告したい緊急案件があるので、夜 何時でもいいので集まって欲しいと告げに行かせると、クロード達から了承を得て戻って来たルイが、心なしかげっそりして、報告に向かった一瞬の間に少し痩せたような気がするジョイだった…….


 普段から何でもそつなくこなすルイが、今からこの有様なのに、この後の報告会でちゃんと生きて帰れるのか不安になるジョイであった……

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