表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/135

37 それぞれの答え


「ローーズちゃ〜〜ん!!!お義母様が今、帰りましたよ〜〜!!」


 「お義母様!!お帰りなさい!!今回はどれ位の間、滞在できるんですか?」


 エリオットが、また大量の荷物と一緒に慌ただしく帰宅してきた!

 ローズはルイを連れて、屋敷のエントランスホールでお出迎えすると、エリオットが帰って来た嬉しさのあまり、彼の手を引っ張りながらキラキラした瞳で今回の予定を尋ねた。


「そうね……今回はローズちゃんの誕生日もあるから1ヶ月程、滞在するつもりよ!!だから沢山一緒に過ごしましょうね!!」


「はい!!嬉しいです!!」


 エリオットはローズの素直な返事に艶やかに微笑み返すと慈しむように片手でそっとローズの頬を撫でながら


「えぇ…そうね!!そしたら晩餐まで時間があるからガゼボでお茶でもしましょうよ!!」


 そう言ってそのまま、流れるようにローズを抱き上げると、恥ずかしそうなローズを眺めつつ、側にいたルイを引き連れてガゼボへ向かいだした。

 ガゼボへ向かう途中で会った使用人に「お茶の準備を宜しくね!」と、お茶の準備とお茶請けを頼み、尚もローズを愛おしそうに抱き上げながら、ガゼボへと続く庭の花々を楽しむようにゆっくりと歩きながら一緒に散歩を楽しむのだった……


 ガゼボと言っても、今日はいつものアスレチック化している庭師泣かせのガゼボとは違い

 クロードが庭師達の気持ちを汲んで作った、薔薇のアーチがある側の庭の一角に園庭を楽しめるガゼボを作り、庭師渾身の丁寧に整えられた色とりどりの花を眺められるように制作していた。

 アスレチックがあるガゼボはそのまま、ローズ専用の遊び場として使用する事になっているが、最近は、ローズ達も気分によってガゼボの場所を使い分けたりしているようだ。


 なので今日行くガゼボは、ゆっくり会話を楽しめるように景色が綺麗な園庭の方を選んだ。


「はぁ〜ローズちゃんとこうして、ゆっくりお茶が出来るのは本当…幸せね〜!」


 エリオットはラベンダーティーを飲みながら目を細めると しみじみ呟いた……


「クスクス…大袈裟ですよ!これからいくらだって出来るのに!!」


 エリオットのその仕草が、なんだか年寄り臭くて、ローズは思わず笑ってしまうが、エリオットはローズの言った言葉を噛み締めるように少し俯いて優しく微笑んだ….


 久しぶりにゆっくりと一緒に過ごす2人の間に暖かな空気が流れていた……




***



「ローズ!!出迎えありがとう!元気にしてたか?ローズの誕生日をゆっくり過ごしたいから少し会うのを我慢して仕事を終わらせて来たよ!!」


「クスクス…お久しぶりです!ギルバート様!!」


「はぁ…これで当分ゆっくり過ごせるし!契約が済んだ暁には楽に行き来出来るようにしてきたからな!!楽しみだ!!はぁ……会いたかった!!また一段と可愛くなった気がする……」


 またもや豪華な馬車で現れたギルバートとは、約2ヶ月ぶりの再会で、嬉しさのあまりローズを抱き上げて頬擦りしている……せっかくの王子様な見た目なのに、威厳も何もあったもんじゃないな……とローズは思いながら残念王子に頬擦りされていた……


 ギルバートは一度領地に帰った後も、月に1〜2度のペースでローズに会いにきていたので、こんなに長い期間合わなかったのは出会ってから初めての事だった。

 残念王子はローズに中々会えなかった寂しさからローズ欠乏症が発症しているようで暫く頬擦りされ続けるのだった……


 ギルバートはローズに会えない日々が辛いらしく、屋敷にある転移魔法を使用しようとしているが、この魔法は特殊な魔法で転移装置を扱う専門の資格が必要な上、その資格を取るのも上位貴族と騎士団副団長以上と限定されており、移動に必要な装置も国の公爵位を持つ家と各国の王城、国境の砦などにしか設置しておらず、扱うには国に使用許可を取る必要があるので個人の気持ちで行き来できるほど簡単な魔法ではないらしい。


 ただそれを王弟の立場を存分に利用して使用許可を求めたようで、最近になって、ローズが完全に養女になった暁にはお互いの公爵邸にある転移装置を使い行き来できるようになる使用許可が下りたらしい!!

 ローズはそんな事に王族パワーを使うなんてと軽く呆れていたが、ローズ自身も転移装置を使うのが少し楽しみではあった。


 ちなみにクロード達は皆、転移資格を所有しており、彼等の中で一番最後に資格を取ったのはエリオットで婚姻契約を結んだ後、資格取得の許可が出たらしい。


 エリオットも取得当初は喜んでいたらしいが、未だに一度も使用した事が無いそうで、アレは意味の無い資格だったわと、ローズに話していた。

 


***



「あんた……そんな事に王族の権力を使うなんて、本当…大概ね!!」


 ギルバートが屋敷に着いたので、今は出迎えた皆と一緒に庭が見えるテラスで一息ついている


 そんな中、ギルバートのローズに会いたいが為の執着に、エリオットが少し呆れたようにギルバートを見ていた。


「当たり前だろ!!可愛い娘に会う事が一番大切に決まっているだろう!!王城でも可愛い娘の為なら仕方がないと許可が出たんだぞ!!娘は大切だと……まぁ、その代わり養子に入ったら王城へ行って国王に挨拶しないとならないが……」


 ギルバートは鼻息荒く、当然の事のように話しているが、ローズはギルバートの最後の言葉に引っ掛かり、そんな話は聞いてないぞ…と、ギルバートの事を思わず凝視してしまう……


「あんた……また面倒くさい事を……」


 エリオットは完全に呆れ顔だ…


「ギルバート……お前…変な事に絶対ローズを巻き込むなよ!!」


 アルベルトが心配そうにギルバートに釘をさすと、ジュリアスがさらに続く……


「そうですね……ローズ様は可愛らしいですし、王都へ連れて行くのはまだ不安です!!やはりギルバート様だけ契約から外しますか!?」


「おい!!やめろ!!大丈夫だよ!!俺が付いてるし、挨拶してすぐ帰るから……なっ…!?」


 ジュリアスの容赦ない一言に ギルバートが若干焦りながら弁解する……


 (王弟のくせに…王族の威厳は何処に置いてきたんだろう……!?初めて会った時のキラキラは……一体……?ギルバート様……ファイト!)


 やはり残念王子なギルバートへ軽いツッコミを入れつつ、初めての王都に少しワクワクしてしまうローズは、ギルバートに王都の事を尋ねてみた


「王都…!!他領へ行くのって…初めでなのでドキドキします……どんな所なんですか??あっ……でも私…ここの領地の町も行った事ないんだった!!」


 ローズはそう言って無邪気に笑うと


「養女になって落ち着いたら領地の人達にお披露目もあるから、その時ゆっくり見て回ろう…!!」


 クロードがゆったりと優しく微笑むとローズを覗き込むように見つめ頭をポンポンと2回撫でた。


(ちくしょう……イケメンの破壊力…!!)


 アルベルトは子供のような笑顔で楽しそうにローズに向かって「そうだな!!色々な物が沢山あってローズはきっと楽しいぞ!!沢山見て回ろうな!!」と言うと


「そのうち俺の領地にも来て、一緒に見て回ろうな!!行き来しやすくなるんだから!もうローズの部屋も作ってあるし、庭も改装済みだ!!楽しみにしてろよ!!」


 愛するローズの為に自分の部屋の隣にローズの部屋を作ったギルバートは、屋敷の執事にあそこは奥様用のお部屋なのに…と、小言を言われたらしい……

 ただローズはギルバートと趣味が合うのでギルバートが用意した部屋をみるのが楽しみでもあった。


「はい!!凄く楽しみです!!私、これから色々な所に行ってみたいです!!」



「ローズは本当に活発だな!!だが、絶対に1人では行動するなよ!必ず、ルイと他の大人も一緒じゃないとダメだからな!!」


 活発なローズの元気な言葉に皆が笑顔になるが、アルベルトには額を小突かれながら釘を刺されてしまった……


「クスクス…は〜い!!大丈夫ですよ!」


 アルベルトの心配症の父親みたいな言葉にくすぐったくも嬉しいローズは楽しそうに微笑んだ




………



「それで…ローズ……もうすぐ契約する日が

近づいてきたが…君の気持ちは決まったかい!?」


 クロードがローズの頭を撫でながら、ローズの誕生日が迫り、皆も揃ったのでローズの答えを聞くために優しく問いかける


「はい!!もうずっと前から私の気持ちは変わりません!!私は皆さんと家族になりたいです!!いいですか??」


 ローズはキッパリ言い切ると、溢れるような笑顔を見せた……


 一人で苦しかった時に彼等と出会い、慈しむように支えて貰いながら日々を過ごすうちにローズにとっても彼等は掛け替えの無い存在になりつつあった。


 彼等と家族になる事は、随分前からローズの願いでもあったので、もうすぐその日を迎えられる事をローズもとても楽しみにいていたのだ。


 そんなローズの思いを感じとったのか彼等は


「あぁ……もちろん!!ローズ……私の娘……!!」


「当たり前だろ!!ローズ…俺の娘か……うん!いいな!!」


「ローズちゃん…嬉しいわ!!これで本当にお義母様よ!!」


「嬉しいです…これから宜しくお願い致しますね!ローズ様!!」


「俺も…とても嬉しいよ!!俺の唯一だ……」


 と、5人それぞれの言葉でローズの事を受け入れてくれた。


 これでようやく彼等が家族になる準備は整ったのだった……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ローズが完全に幼女になった→養女では? 養女になったら、各方面から縁組みの話が来るのでは 特に王家から いつも楽しく読んでいます。 更新がちょうど一息つける時間なのでほっとします。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ