表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/135

31 大人の階段


「よし!!じゃあ始めようか!!」


 ギルバートの合図に、ワクワクしながらローズは手を伸ばす……



***



 ギルバート指定の、赤い布地にカラフルな小花の刺繍がしてあるシンプルなワンピースに着替えたローズは、床に敷かれた何枚もの画用紙の前で、ルイと一緒に準備万端、ギルバートを待ち構えていた。


 ギルバートがパレットに、色とりどりの絵具を出し、用意している所を、今か今かと待ち構えているローズとルイを、クロードとジュリアスが楽しそうにソファに座って、お茶を飲みながら眺めていてる…ローズはそれを、セレブの楽しみ方…流石です!!と、心の中で合掌していた。


 ちなみに、アルベルトは騎士団で真面目にお仕事中だ!!ローズはこちらも、アルベルト様….なんかごめんなさい……頑張れ!と、心の中で合掌していた。



………



 ギルバートに絵の具入りのパレットを前に置いてもらったローズは「何描くの??」と質問する。


 ギルバートは優しく微笑むと


「それはローズの好きに描いていいんだよ!!筆を使ってもいいし手や足、体、全部使って描いていいんだ!!」


 そう言って、見本と称して手に真っ青な絵具を付けて豪快に画用紙に色をのせ始めた。


「うわーーー凄ーーい!!やってもいい?」


 ローズは興奮しながらギルバートを見ると


「あぁもちろん!!」


 ギルバートは、絵具を手にしたまま楽しそうに答え、それを見たローズは、恐る恐る絵の具を手に付けてみた…


 前世の時は外で遊んでばかりで、絵具を使うのなんて学校の授業以来なので、とても新鮮な気分だった。

 しかも、筆ではなくて自分の手に絵具を付けるのなんて、記憶にも無い幼い頃の手形以来ではないだろうか……


 ローズは、内心とても感動していた…


「うわ〜………冷たい……」


 手に付けた絵具の少し冷たいとろっとした感触を楽しみながら、瞳をキラキラさせて画用紙に色を付けてみる。


 その姿をクロード達は、宝物でも眺めるように見つめているが、そんな事はお構い無しに、ローズは夢中で画用紙に色付け始めた。


「ルイ!!超ーーー楽しいよ!!早く一緒にやろうよ!」


「仕方ねぇな…….」


 ローズのキラキラ輝く澄んだ瞳に見つめられたルイは、渋々ながら絵具に手を伸ばすが、尻尾が大きく揺れ動いている……嬉しいようだ!!


(いつも、いつも、可愛いヤツめ!!!やりたかったクセに…!!このツンデレキッズが!!)


 そんな変態オヤジみたいな事を思うヤツが1人混じっているが、2人は、夢中で画用紙に色を付け始めた。


 すると、あまりにも夢中になり過ぎてルイの尻尾に絵具が付いてしまっている。

 それに気づいたローズは、ニヤリと不敵な笑みを浮かべ……


「ルイ〜〜新しい筆見つけた!!」


 ローズはルイの尻尾を掴むと、そのまま画用紙に塗り付けた。


「あっ!!コラ!!何してんだよ!」


 そう言って ルイはローズに注意するが、次の瞬間、ルイもニヤリと笑い「オラッ」とローズの顔面に筆で色を付けた。


「あーーールイッ!!ひどい……!!プッ……

キャハハ!!えいっ!!」


 2人でキャッキャ言いながら画用紙そっちのけで色の付け合いが始まってしまった。


 それを微笑ましそうに見ていたクロード達だが、ふと、ローズと目が合った……その瞬間、ローズがまたニヤリと笑い、絵具塗れの体でクロード目掛けて突撃して来た。


「ははっ!!こ〜ら…ローズ…何をしてるの??」


 全然、注意する気の無い言動と顔をしたクロードが、ローズの顔のペンキを手で拭うと


「クロード様達も一緒にやろう??」


 と、ローズは、絵具塗れの顔で可愛らしくおねだりする!!

 他の貴族が見たら真っ青になりそうな、クロードの高級スーツにお構い無しに抱きついているローズは、次に、絵具まみれの手でジュリアスを掴むと、そのまま2人を誘って画用紙まで連れて行こうとする。


「ふふっ…いいですよ!!」


 普段は、泣く子も黙らせる冷たい表情のジュリアスも、ひ孫を見るおじいちゃんみたいにデレデレと締まりのない顔をしながら了承すると、それから皆で、グチャグチャになりながら画用紙に色付けしだした。

 皆でワイワイ言いながら楽しく色付けし出したが、最終的に出来上がったのは、もう何色だか分からないような黒に近い色に染まった画用紙だけだった。


 それでもローズはとても満足そうで、乾いたら部屋に飾りたいとギルバートに訴えた。


 だが、その絵はローズの部屋に飾られる事は無く、丁度、6枚あったのでクロード達の自室とルイの部屋に額に入れて飾られたようだ。


 6枚と言う枚数にギルバートの作為を感じるローズだったが、ローズと一緒に色付けた画用紙は大人になっても皆の部屋にずっと飾られる事になる。

 大人になったローズは、親バカもここまで来ると尊敬するよ!!と、密かに思う事になるのだった。


 そうこうしているうちに、アルベルトも仕事が終わり帰宅して来たらしく、ローズの部屋に顔を出したので、皆でそろそろ夕食の時間だね!と話していると、ギルバートが突如、爆弾を落としだした。


「よし!!そしたら久しぶりに皆で、夕食前に風呂でも入るか!!」


…………………………………………………………………………………

…………………………………………………………………………………


    「………はっ??………」


 (この男は、一体…何を言っているんだ………?

久しぶり……???私には…そんな経験は、ありませんけど……)


 ローズは困惑気味に皆の顔をキョロキョロ見回すが、そんな事はお構い無しに話がどんどん進んでいく……


「おっ!いいな!!俺も騎士団帰りで、サッパリしたいし…

 ローズ知ってるか??普段は面倒くさがって皆、洗浄魔法で綺麗にしちまうが、この屋敷には大きな風呂があるんだぜ!!」


 アルベルトが、面白い物でも発見した子供のように楽しそうな表情で、ローズに話しかけるが、ローズは困惑しながら思った…!!

(あるんだぜ!!じゃ無いよ!!大きな体して子供みたいに……大きなお風呂……!凄い興味ある……だが、何が悲しくて…イケメン成人男性達と、一緒にお風呂に入らなければならんのだ!!そんなの喜ぶなんて、どんな淫乱女だよ!!

 中身は100歳近いおじいちゃんでも見た目はイケメン……

 体は幼女でも、心は思春期女性だぞ!!セクハラなんて言葉じゃ収まり切らないぞ!!)


 ローズの困惑は止まらない……


(一対一ならどうにか見ずに回避できたものの、この人数じゃ回避は不可能ではないだろうか??

 前世の父親のでさえ見た事が無いのに……

 愛する人のならまだしも、何故に……一気に6人も……ダメだ!!絶対に避けなければ……!!)


 意を決したローズはおずおずと手を上げて…….


「でも……私…ルイと一緒に部屋のお風呂で大丈夫だ……よ……」


 小さな声で主張する……が……その言葉を聞いたアルベルトはニカッと笑うと絵の具まみれのローズを抱き上げた。


  「よし!!行くか!!」



 「NOーーーーーーーーーーー!!!!」



 ローズの絶叫は風呂場まで続いたのだった……



…………



…………



…………




 ……ローズは異世界で……また、一つ大人になりました…


 異世界って凄い……!!なんか……凄い……!!!別に基準なんて…全然……分からないけど…なんか凄かった……


 でも……ルイを見つけると、なんか安心できたなぁ……


 ルイが居てくれて良かったーー!!


 ルイ、サンキュー!!なんかごめんだけど……


 子供ってやっぱり可愛くて素敵な存在だね!!


 なんかごめんだけど…………


 ………………………………………………………


 はぁ……いつか………恋愛出来るのか……私……


 あんなの……無理かもしれない……………………


 ………………………はぁ……………………………


 …………………………………………………………






***





「ローーーズちゃーーーん!!お義母様が帰りましたよーーー!!」


 大量の荷物を持ってエリオットが帰宅して来た。


「あっ!!エリオット様!!お帰りなさい!!」


 ローズはエリオットの帰りを笑顔で迎えたが、エリオットは不満そうに眉を寄せるとローズに近寄り肩を掴みながら


「ヤダ!!ちょっと会わないうちにお義母様の顔を忘れてしまったの??そしたら初めからやり直さないと……」


 と……帰った早々面倒くさい事を言い放った……!!


(あぁ….エリオット様ってこんな人だったわ……少し会ってないだけで忘れてた!!)


 ローズはエリオットとの絡み方を思い出し慌てて言い直した。


「あっ……いえ!!お帰りなさい!お義母様!」


「ただいまローズちゃん!!聞いたわよ!!怖い思いをしたんでしょ!?揃いも揃って使えない男達ね!!後で、お仕置きしておくからね!!

 可哀想に……お義母様が慰めてあげるから、一緒にお部屋へ行きましょう」


 満足そうなエリオットは、ローズを抱き上げると頬にキスをした。

 ローズはまた慌ただしい日々が来るのかと、少しの疲労感と、少しの喜びを感じて、エリオットに運ばれて行くのだった。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ