25 僕の天使
???視点です。
少し短めですが宜しくお願い致します。
ローズ様……僕の天使……
何故…あんなに可愛いんだろう……
何故…あんなに清らかなんだろ……
何故…あんなに優しいんだろう……
何故…あんなに輝いているんだろう……
何故……何故……何故……何故……何故……何故……
何故……何故……何故……何故……何故……何故……
何故……何故……何故……何故……何故……何故……
何故……何故……何故……何故……何故……何故……
何故……何故……何故……何故……何故……何故……
***
僕は、平民の父と平民の母から産まれた。
父は、とてもカッコ良くて優しい素敵な男性だった。
反対に母は、お世辞にも美しいとは言えない女性だった。
赤毛混じりの茶色のゴワ付いた髪に、少し細いきつめの瞳、ソバカス混じりの顔、ガリガリの体、そんな母に、僕はそっくりだった。
それでも母は、平民の間では、とても人気があり、沢山の求婚者の中から、当時、近所でカッコ良いと評判だった父を、結婚相手に選んだ。
当時、選ばれた父はとても喜んだそうだ。
結婚して、僕が産まれて数年間は、上手くいっていたようだが、どこかの下位貴族に見染められたとかで家に寄り付かなくなっていった。
それでも父は、文句の一つも言う事なく、僕にもとても優しくしてくれて、年に数回、煌びやかな衣装で現れては、父と手短に話し、自分にそっくりなクセに、蔑む様な顔をして僕の事を見ると、何も言わずに帰って行く。
直ぐに帰ってしまうが、母に会えて嬉しそうな父とは反対に、僕は、母が来る日か憂鬱だった。
僕に対して女性は皆、基本的に母と同じ様な反応をする。
何処か僕を馬鹿にする様な、蔑む様な顔をした後、目を合わそうともしなかった。
僕は、女性が苦手だった……
あの…母の様な…あの目で…見られるだけで、自分の存在意義が分からなくなる。
僕は、自分の容姿が嫌いだったし、女性のあの…僕を見る目は、もっと嫌いだった。
そんな日々を過ごしていた僕は、ある日、父の伝手で、国の上位貴族の厨房で働ける事となった。
その公爵邸のご主人様達は皆、結婚する意思はなく、女性が屋敷に来る事も殆ど無いので、僕にとっては穏やかに過ごせる最適な環境だった。
これで将来に不安を感じる事なく、穏やかに生きて行けるんだとホッとしていた。
そんな時、僕は運命の出会いをしたんだ。
仕事にも慣れはじめ、日々の寒さが和らいできた春の終わり、公爵家に、1人の春の花の様な髪色の幼い少女が保護されて来た。
初めの頃…僕は、幼い子供と言えど、所詮は女…僕の顔を見たらきっと…嫌な顔をするに決まっていると、僕は、なるべくその子と会わない様に気を付けながら仕事をした。
基本的には、厨房から出る事は無いので、休憩時間や、休みの日などは、あまり動こうとはせずに、自室か厨房の周りで過ごしたりして、憂鬱な日々を過ごしていた。
だが、ローズ様が保護されてから数週間が経った頃、使用人達の間で、ローズ様の話が持ち切りになっていた。
いつも笑顔で、とても可愛らしいとか、使用人の自分達にも丁寧に接してくれるとか、日に、何度もローズ様の話を耳にした。
けれども僕は、いくら幼くたって女性に限って、そんな事がある訳ないと、高を括り彼等の話を全く信じていなかった。
きっと顔のいい使用人にだけなのだろうと、僕は自分の中で無理矢理納得させていた
ところがどうだろう……料理長がジュリアス様に頼まれて、突然、ローズ様とケーキを作ると言いだした時は、何故そんな事になったのかと愕然としたが、やって来た少女は、噂以上に、とても可愛らしく、僕たちみんなに、丁寧に挨拶をしてくれる、常に笑顔の優しそうな美しい女の子だった。
僕を見ても嫌な顔一つしない女性なんて、初めての経験だった。
僕は、雷に打たれた様な衝撃と同時に、そんな女性も居るのだと驚愕していた。
こんな事なら料理長にローズ様を頼まれた時に、断らなければよかった。
ディタが凄く羨ましい……
僕は、ローズ様達が、一息つくのを見計らい、給仕のように手伝いをする。
ローズ様が笑って、僕にありがとうと、言ってくれた。
その瞬間……僕にはローズ様しかいないと、気が付いたんだ。
僕に笑いかけたと言う事は、少なからず僕に好意を持っていると言う事だし
あんなに天使のように可愛らしい子から好意を寄せられたら、答えなければ!!
僕は、男としての使命感に駆られ、それからは、時間が許す限り、彼女と一緒に過ごそうと、心に決めた。
いつも僕たちを邪魔する人間が、ローズ様の周りを彷徨いていて、中々一緒に、居られないが、恋愛に障害は付き物だって言うし、彼等もきっと、ローズ様の事が好きなんだろう。
彼女は僕の事が好きなのに……
彼等は、そんなローズ様の思いを、全く気付かないまま、いつもローズ様を拘束して連れ回す……
助けてあげたいけれど、タイミングが掴めな
い。
彼女は僕と一緒に居たいのに…
僕は、彼等の妨害にもめげずに、ローズ様と仲良くしたくて、彼女の好きな物を調べた。
花のバレッタはとても気に入っていた様なので、一度お借りして、今度、僕がもっと素敵なバレッタをプレゼントしよう。
ネックレスも、靴も、もっと似合うものと取り替えてあげよう。
ナイトドレスはローズ様には少し大人っぽい気がするので、変な虫が付く前に回収しなくては!!
彼女の事は僕が守らないと、彼等は全く分かっていない。
……
……
ローズ様…………ローズ様…………僕の天使………
もうすぐ………準備が整うよ…………
そしたら……ずっと………一緒に居てあげるからね……