12 素朴な疑問
「あのね…クロード様…質問してもいい?」
「いいよ!!ローズ…どうしたんだい!?」
クロードの仕事が、ひと段落したので、ローズはクロードと一緒に、庭の見える部屋でアフタヌーンティーを楽しんでいる。
部屋自体は、白を基調としたシンプルな部屋だが所々に今が時期の綺麗な花が生けてある、少しガーリーな仕上がりの部屋だった。
給仕しているのはジュリアスである。
ルイはローズの従者らしく、きちんとローズの後ろに控えている。
今日のお茶は、アールグレイとアップルティー、オレンジジュースから好きなものを選べる。
ローズはお砂糖多めのアップルティーが好きだ。
クロードは無糖のアールグレイ。
お茶請けのお菓子は一口サイズの数種類のケーキにカラフルなマカロン、軽食としてベーコンとチーズのケークサレがキレイに並べてあり、見た目も綺麗でとても美味しそうだ!!
後ろで、ルイの食べたそうな気配がする….!可愛いヤツめ!!
……
「あのね、クロード様とジュリアス様は兄弟だから分かるんだけど、アルベルト様はどうして同じ名前があるの?兄弟なの?」
「あー!兄弟ではないんだけど……。ローズはまだ小さいから理解出来るかなぁ…?ジュリアスも兄弟だから名前が同じなんじゃなくて……、簡単に言うと….私達は結婚してるんだよ!」
……
……
(……はっ???結婚してるの?えっ……えっ……まさかのホ○??あーー!!間違えた……同性愛者さん?うそっ!!!この家、そう言う集まり???あんなに私の事可愛いとか言ってだけど幼女だから???お子様限定??まさか大人になったら、見向きもされないとか???えっ……まさか追い出される??)
……
……
クロードの、結婚発言にパニックになり、考え込んでしまったローズを、心配したクロードは、申し訳無さそうな顔をしながら問いかけてきた。
「やっぱりローズには少し難しかったかな?結婚って分かる?」
「わっ…分かります……!違くて…!結婚は男の人と女の人で、するんじゃないのかなぁって思って!!」
(あっ….ぶっ…な…!!危うくフリーズしたままだった!)
「あぁ…ローズは小さいし、記憶も無いから理解するのは難しいと思うけど、この国では、少し前から男の人限定で同性同士で結婚できるんだ!でも結婚って言っても婚姻契約って言って、数人の男性同士で契約上、婚姻関係が結ばれているだけなんだよ!!分かる?」
クロードは、優しく頭を撫でながら、分かりやすく説明してくれる。
〜婚姻契約〜
男性のみに試行された契約で、数人の同性同士で婚姻関係を結べるが、平均寿命の半分程度、約300歳までに、契約上の代表者1人が、女性と婚姻関係を結ぶか養子を取って育てる義務が発生する。
この契約は、女性と子供が極端に減った為に起こった、多い男性への妥協策で、数十年前に試行されたばかりの比較的新しい法律である。
クロード達の場合だと代表者は公爵家を継いだクロードで300歳までに婚姻か養子縁組が義務づけられている。
クロードの父親は、数十年前に病で亡くなっており、公爵家を継いだ事を機に女性が嫌いなジュリアス達と婚姻契約を結ぶ。
その為、現在は、数多くのお見合い話しなどが公爵家に届いているが、本人は、のらりくらりと躱している。
クロード自身、自分の母親の事もあり、あまり女性が得意では無いが…その内、適当に決めてしまうか、養子を取ればいいと考えていた。
……
「う〜ん…何となく分かった…。クロードはジュリアスを愛して結婚したわけじゃないって事だよね?」
「ふふっ!!そうとも限りませんよ!!私はクロード様のことを……」
ジュリアスが片側だけ口角を上げクロードを見つめている……
「おいっ!!子供の前で紛らわしい事、言うんじゃない!!」
(キャー!!ジュリアス!!そうなの??ジュリアス!!!でもなんか似合う!!!ジュリアスなら、アリな気がする!!)
クロードが心底嫌そうな顔をしていると
「まぁ冗談はさておき……!婚姻契約を結んでいると私やアルベルトは、楽なんですよ!!契約者の1人、私共で言えば、クロード様が結婚する女性を探してくれれば、私達は無理して女性と付き合う必要も無いですし、契約してるからと言い訳もできます!」
ジュリアスが、サラッと義務を放棄した発言をすると、クロードは、少し疲れたような顔になり、ジュリアスに愚痴を言いだした!!
「私は大変なんだよ!!国から早く婚約しろって煩く言われて!お前は気楽でいいな!!!」
「ふふっ!ありがとうございます」
クロードの文句に対して嬉しそうに微笑みながら嫌味ったらしくお辞儀をした。
「チッ……!!まぁ…これは…もう少し先の話しだが、もしこの先…ローズの親族がこのまま見つからなければ、私は君を養女にしたいと考えているんだ!!まだ小さいから分からないと思うけど、ローズと家族になりたいと思っているから、私達と家族になってもいいかどうか考えておいてほしい……」
(クロード様…今、舌打ちした…??エッ…!!ってゆうか家族…??クロード様がお義父様になるの…?イケメンパパ!!女子の憧れ!超ー嬉しいんですけど!!現世でのイケメンパパ…ゲットだぜ!!)
何処かのアニメのようなセリフをリアルに使ったローズは、おバカな考えなど噯も見せずに微笑むと、クロードに嬉しそうに問いかけた…
「家族….…嬉しい!!!クロード様がお義父様になるの?」
ローズが少し照れて賛成するとクロードは、満面の笑みを浮かべて喜んだ!
「ローーーズ!!そうだよ!私も、アルベルトも、ジュリアスも、あと他に2人いるけど……!皆……お義父様……家族だよ!!!」
( はっ!?そんなにいっぱい??義父ばっかり??要らないんだけど……!!しかもあと2人いるって言った??ダレですか…?なんか前に言ってたっけ、そんなような事…??って言うか私….…!前世からずっと素敵な彼氏が欲しいんであって、義父じゃないよ!欲しいの!!いくらイケメンだろうとも……!!!)
「うっ……嬉しい………?」
お義父様がいっぱい発言に、目が左右に泳ぎまくっているローズだが、クロードは了承してくれた喜びで全く気づかず感激のあまりローズを高々と抱き上げて、その場で一緒にクルクル回った……!!
(めっ…目が…回る………)
喜んでいるクロードに、痺れを切らしたジュリアスがクロードとローズの間に割って入ってきて
「私にも抱きしめさせて下さいよ!!その内、家族になる約束を交わしたんですから!あぁ…ローズ、早く貴方と家族になれる日が待ち遠しいです…!!今からお父様って呼んでもいいですからね!あぁでもお兄様も捨てがたい!!」
「ジュリアス…恥ずかしい…よ…でもありがとう!!」
(気が早いですねジュリアスさん……!しかも、どっちでもいいんだ!!でも……私も嬉しい!!この世界での初めての家族!)
ジュリアスはクロードからローズを取り上げると思い切り抱きしめた。
ローズはジュリアスの温もりを感じながら、少しの息苦しさと、家族が出来る幸せを噛み締めていた…
「そうと決まったら、早く他の2人にも紹介しないといけないな!!」
……
……
また面倒くさい奴が、増えそうな予感がするルイだった……
クロード・ファルスター
身長187㎝ 金髪:短髪 エメラルドグリーンの瞳
鼻は高くて鷲鼻 少し厚め大きめな唇
公爵家、当主
魔力はオールマイティでメインは火
自分と親しい人には優しいが、敵とみなすと容赦ない性格。
父親を病で亡くし、家族に対して憧れはあるが、母親のせいであまり女性が好きではない。
ローズに対しては完全な家族愛だと思っている。