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44 魔術師団 5

「では、始めましょうか!!」


 ローズ達の前に立っていたアークは、持っていたナイフでニック服を切り裂くと上半身を裸にすると、そのまま覆面の男から焼きごてを受け取った。


 十分に熱して先が赤黒く色づき鈍く光る焼きごてを見せつける様にニックの前に翳すと一層笑みを深めたアークは躊躇う事なくニックの腹に押しつけた。


「……ぐっ……っつ………」


「ぃやーーー!!!やめて!!!お願い!!!もうやめて!!!」


 皮膚の焼ける様な独特の匂いと音に混じりニックのうめき声が静かな牢の中に響き渡る。

 ローズはそのあまりの光景に焼きごてを持っているアークに縋る様に懇願した。


「ローゼマリー様。危ないので下がっていて下さいね。万が一触れて火傷でもしてしまっては大変ですので」


 一度持っていた焼きごてを覆面に手渡し、しっかりとローズの肩を掴み直したアークは、主人を守る従者のようにローズに言い聞かせる。

 まるで自分がローズを害する者から守っている様な雰囲気だ。


 ローズはニックを助ける為に懇願していた事も忘れ、その異様な光景に戸惑い言葉に詰まってしまうが、それも一瞬の事で直ぐに自分の気持ちを立て直すとアークに詰め寄った。


「私の事なんかより、ニックさんになんて事をしたんですか!!こんな事は遊びでも何でもありません!!もう止めてください!!」


「おや!?もう宜しいのですか!?まだ、あと2回残っておりますが、それでは私の言う通りにして頂くと言う事で宜しいでしょうか!?」


不思議そうに首を傾げるアークは、今止めるなんて勿体無いとでも言う様にローズに話し掛けると、痛む腹の火傷を堪えてニックが叫んだ。


「いいわけあるかぁ!!!なんだ……1回目はこれで終わりなのか!!??大した事ねぇな!!早く次行け!!次!!!」


「はい。はい。では、次は誰か行いますか!?」


 アークが呆れた様な表情を浮かべ聞き分けのない子を宥めるかの様な仕草でローズの頭をそっと撫でた。 

 ローズはアークが頭に触れた瞬間 嫌悪感に苛まれありの気持ち悪さから身震いしてしまうが、意を決して返事をする。

 けれどもローズが「はい」と言い切るよりも早くニックが「俺に決まってるだろ!!」と、力強く返事するのだった。


「フッ。やはりニックさんですか??面白味に欠けますね………

 ローゼマリー様もそれで宜しいですか!?」


 結局ニックがするのかと堪らなそうに鼻で笑うアークは、ローズに向き直るとローズの顔を覗き込む様に確認を取ると悪魔の様な笑みを浮かべるのだった。


 ローズは思わず2、3歩後退ってしまうが力強い眼差しをアークに向け


「いえ……私がやります!!」


 と、はっきり発言する。


「ダメです!!!何をお考えなのですか!!!自分の事を一番に考えて下さいと言いましたよね!!私は、いいのです。日々魔術師団で鍛えている身ですし、このくらいの傷は後でどうとでもなります!!

 もっと酷い傷を負った事だってあります!!!」


 まさか、公爵令嬢のローズがそこまでするとは思っていなかったニックは驚き動揺する気持ちに蓋をするとローズに向かって少しきつい言い方をしてしまう。


「嫌です!!どんな理由があろうと、誰であっても目の前で傷付けられる人を黙って見ている事なんて出来ません!!!2人に出された問題なら2人で考えては行けませんか!?」


 それでも納得出来ないローズは、ニックにだか辛い思いをさせ自分はそれを見ているだけなんて耐えられないと涙を浮かべながらニックに訴えた。


「いけません!!何故なら貴方は公爵家の人間で女性なのです。

 守られて当たり前の立場であり、私達も何を措いても守るべき存在なのです」


 公爵家の人間と言うだけでも他者より優遇される立場にあり、無条件で守られる立場にある。

 それをしかも、女性と言う稀有な存在になると、そこに絶対が付き何を措いても守るべき立場になるのだった。


「そんな事………」


「話は纏まりましたか!?」


 ローズは未だに納得出来ずに言葉を濁すが2人のやり取りに飽きてしまったのかアークがつまらなそうな顔をして会話に割って入ってきた。


「そんなの俺に決まってるだろ!!一々、聞くんじゃねぇよ!!」


「おやおや。あのくらいでは、全然応えない様ですね!!よく分かりました。

 では、2回目を開始致しましょう」


そう言って覆面の男に合図を送ると。

 男は胸ポケットの中から筒状の道具を取り出してアークに差し出すのだった。

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