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43 魔術師団 4


「触るな!!」

 

 ニヤつきながらローズに手を伸ばす男に、ニックは叫ぶように制止する。


「ハハッ。。手足が拘束されてるお前に何が出来るんだよ!!」


 そう言いながらローズの事を掴もうと更に手を伸ばした瞬間「ファイア」と、ローズの横から声が聞こえた。


「あっちぃーーー!!!テメー!!!一体何した!!!この部屋は魔法防御の術式が組み込まれる筈だぞ!!!」


 アークは伸ばしていた右手を押さえながら溜まらず床にしゃがみ込んでしまう


「お前みたいな人間と俺を一緒にするんじゃねぇよ!!それ以上その子に近づいたらお前の事を丸焦げにしてやるからな」


「くそっ!!………まぁいい。。。時間はあるんだし……

 お前だって、それが限界なんだろ!!??本来ならあの一発で俺を丸焦げにするくらい訳ないのに、軽い火傷を負わせるくらいが限界って事か……よく分かったよ!!!

 では、ローゼマリー様。先程のお部屋に戻りましょうか!?」


「えっ……あの……嫌です…………

 私……ニックさんの側から離れたくありません……」


「そうですか…….困りましたね……

 では、一つ面白い遊びでもしましょうか!?

 私の出すお題に3回合格出来たらニックの側に居てもいいですよ。

 しかも私の出すお題には、どちらが行っても構いませんよ!!どうなさいますか!?」


「…………」

(えっ???どうしよう………絶対やっちゃいけない気がするんだけど……でも……あの人に連れられてあの部屋に帰るのも怖い……)


 そんな事を考えながらずっと無言で俯いていると牢屋の中からニックの毅然とした声が響いた。


「やる!!但し、やるのは俺だけだ!!ファルスター嬢には指一本触れさせない!!」


「別に構いませんよ……一応、その都度お聞きしますね!!どちらが行うのかを……」


「では、準備をして参りますので暫くお待ち下さい。

 ローゼマリー様は此処でお待ちになりますか??」


「はい……ニックさんの側にいたいです……」


「おや……これは…これは……なんだか、少し妬けてしまいますね……では、急いで戻りますので良い子にしていて下さいね」


そう言うとアークはまるでスキップでもするかの様に軽快な足取りで地下室を後にするのだった……


 ローズは、何がどうしてこの様な状況になっているのか未だに理解出来ない混乱した頭のままニックの方を仰ぎ見る、


「ニックさん……大丈夫ですか………」


「私は大丈夫です!!ファルスター嬢は、私の事などより自分の事だけをお考え下さい」


「でも……この様な状況で何をどう考えて良いのか全く分からないのです」


「いいですか……しっかりと聞いて下さい!!今のやり取りを見ていて思ったのですが、ファルスター嬢はある程度、自由が効くと思います。

 なので、アークに従って一度部屋に戻り一人でお逃げ下さい。外へ出てしまえば必ず魔術師団の誰かか公爵様か見つけてくれます!! 出来ますか!?」


「でも、そしたら、ニックさんはどうなるのですか!?」

「私の事は、いいのです!!寧ろファルスター嬢がいなければいくらでもやりようがあります。

 ですので、ファルスター嬢は自分の事だけお考え下さい!!」


 そんな事を言い合っている間に数人の足音が聞こえてきた。


「ファルスター嬢、しっ。静かに!!いいですか、自分の事だけ考えて下さいね」


「は…はい……」


 そんな事を話していると部屋の先にある鉄格子に人影が現れ鉄格子が開けられた。

 鉄格子を開けたのは多分男性であると思われるが、全員、布の様な袋を被り、目元だけくり抜いていて性別もどんな顔をしているのかも全く分からない異様な光景だった。

 

 ローズは彼等は一体何者で、これからどうなるんだろうと恐怖で体が竦んでしまい、ニックの居る牢屋の鉄格子を両手をギュと握り締めるのだった。


 2人組の覆面とアークはニックを拘束している牢の前まで来ると、鉄格子越しに声をかけてきた。


「心の準備は出来ているかなぁ??……」


 中のニックを嘲笑うかの様に話すアークはローズの側まで来ると自分も鉄格子を握ってみせる。

 恐怖からか思わず体を固くするローズに気付いているのかいないのか分からないがそのままニックに話し出した。


「ふはっ。天下の魔術師団の隊長がいいざまだな……

 じゃあ今からルールを説明しよう。

 先ずは、一つ目、お題を確認する前にどちらがお題を行うか決める事。

 但し、お題を聞いた後変更する事も可能だが、一度だけだ。

 次にお題を聞いたらどちらかがクリアするまでは終わらない。

 降参してもいいが、その後は君達に一切の権限は与えない。

 それでもやるかい!?今なら止めて大人しく部屋に帰る事も出来るよ!!部屋に帰って私と楽しく過ごすのも利口な考えだと思うけど」


 ローズはどうすればいいか分からず決定出来ずに鉄格子を握り締めるしか出来ない……

絶対にやってはいけないゲームの気がするが2人で部屋に帰ったとして何をされるか分からない今、ローズは完全に手詰まりだった…….


「グダグダ言ってねぇでさっさとやるぞ!!やるのは俺だけだ!!早くしろ」


 拘束されているにも罹らず強い眼差しでアークを睨みつけるニックに少しイラッとした表情を浮かべたアークは覆面達に向かって

 「おい!!扉を開けろ!!」

 

 と怒鳴るのだった。


「はい」


 アークの横にいる覆面は指示を出されると直ぐに持っていた鍵で牢屋の鉄格子を開きだす。

ギギィと言う鈍い音を響かせて扉が開くと3人はローズを連れてそのまま中へ入りローズとニックの前に立ちニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべ楽しそうな雰囲気を滲ませた。


「じゃあ先ず一回目はニックさんでよろしいんですか!?」


 ローズが何がどうするのかと考えるよりも前にニックが「俺に決まってる!!」と叫び、ローズは不安気にニックを見上げるも、ニックはなんて事ないように微笑むと「大丈夫だ」と小声でローズを励ますのだった。


「フハッ。その強気がいつまでもつか見ものだな……ローゼマリー様もこんな事に巻き込まれて災難だったな……」


「くそがっ!!!おいっ!!!早くあれ用意して来い」


 覆面の男は腕に負った軽い火傷を見ると苛立ち紛れに他の覆面男性に怒鳴りながら指示をだす。

 指示を出された方も渋々ながら一度部屋から出て行くと火傷を負わされた男は未だに怒りが収まらないのか、ニックの腹を思い切り蹴り飛ばすのだった。


「ぐっ。。。ゴホッ。。。ゴホ……」


「ニックさん!!大丈夫ですか!?」


「大丈夫だよ。こんなの団長達との訓練に比べれば何て事ないんだから何も心配する必要はない」


「ははっ。お前…マジでムカつくな!!そのムカつく顔が苦痛で歪むところが早く見たいよ」


「やれるもんならやってみろ!!この国トップクラスの魔術師をナメんなよ!!!」


「ハッッ。。。オラっ!!ちょうど用意出来たみたいだぞ……」


 そう言った男が向けた視線の先には出て行った男たちが居て、手には熱々の炭が入っている火鉢の様な物を持っていて、中から数十センチの火柱が上っている。


 もう1人の男の手には長さが1mくらいの焼きごてが握られていた。


 その道具で何をするつもりなのか想像がついてしまったローズは血の気が吐いた様に真っ青な顔で思わずニックを見つめてしまう……


 だが、ニックは何て事無さそうにニッコリとローズに向けて微笑むのだった。


「ヨーシ……じゃあ今から楽しい遊びの始まりだ!!」

 

 そう言うと、男は持っていたナイフでニックの服を引き裂いた


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