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38 お茶会 7


「ローゼマリー様はフリード様をどう思われますか!?」


 席に戻るなり早速話しかけてきたレイラはローズの気持ちが知りたい様で逸る気持ちが抑えられていなかった。


「素敵な男性だとは思いますが、好きだとか付き合いたいとかそう言った感情は今一まだよく分からないんです……」


 前世合わせればもういい歳なのだが、未だに男女のアレコレに対してピンときていないローズは素敵な男性達に囲まれているものの初恋すらまだ経験しておらず、本や漫画に書いてあったようなその人の事を考えるだけで胸が苦しくなるとか会いたくてたまらないなど、そう言った気持ちがよく分からなかった。


「じゃあルイ様やジョイ様に対してもですか!?」


「そうですね……彼等とは幼い頃から共に育ちましたので兄弟のような感覚ですかね??好きは好きですが愛してるとか付き合いたいとかはよく分かりません……」


 真後ろに2人が控えているにも拘らず堂々と異性としては見ていません宣言に周りにいる聞き耳を立てていた人達も気まずさが隠しきれなかった。

 後ろに居る2人は表情を変える事無く感心無さそうな雰囲気を出しているもののお子様なローズのよく分からないです…発言に、まだまだ誰かと恋愛するような事は無さそうな雰囲気を感じとったようで呆れと何故だか少しの安堵が含まれているようだった。


 ただ、その安堵が何を意味しているのか自分達の気持ちを正確に計る事は彼等もまだ出来きていないようだった。

 彼等もローズの事を言える立場では無さそうだ……


「そうなのですね!!では、誰かを自分の物にしたいとかそう言った感情は無いんですね!!」


「そうですね……誰かを人に渡したく無いとか自分だけのものにしたいとかそう言った感情はまだよくわかりません」


 自分の気持を正直に話したものの自身の出した答えを情けなく感じてしまうローズはあんなに彼氏が欲しいと思っていたにも拘らず好きは人すら出来た事がないなんてと自分のポンコツぶりを話しながら徐々に落ち込んでいき肩を落としてしまうのだった。


「まぁ!!!ローゼマリー様はまだお子様でいらっしゃるのですね!!色々とごめんなさい。

 これからは何か分からない事があれば私が色々とお教えしますわ!!

 私の事も姉のように思って頂いて大丈夫ですよ」


 ただでさえ落ち込み気味のローズに向けて放たれたダメ押しの一手に更に追い討ちをかけれたのか、このまま地面にめり込むんじゃ無いかって言うくらい落ち込むローズは辛うじて了解の返事だけすると自身の不甲斐なさからガックリと項垂れてしまうのだった。


 ただ落ち込むローズとは反対にローズの出した答えに大満足なレイラはニコニコと楽しそうにそれからもローズに向かって話し掛け続けた。

 ローズは自身の不甲斐なさでいっぱいいっぱいで、もうそれどころでは無かった為、何を話したかまでは覚えていなかったが、楽しそうに話すレイラを見ながらこの国の女性の中では比較的付き合い易いタイプだと感じていた。


 レイラはこの国の女性らしく自分本位で我儘な所もあるが決して嫌な女性な訳ではなく、それを当然の事だと教育されてきただけである事がポンコツローズにも感じ取れたのだ。

 最初の印象よりはいくらか好印象に変わったレイラと会話する事をローズが楽しく感じ始めた頃、少し離れた場所から聞こえてきた咳払いによって遮られるのだった。


「…ん…んんっ…ローゼマリー様……せっかく久しぶりキャロライン様とお会いしたのにお話ししなくて宜しいのですか??」


 軽い咳払いの後モゴモゴとキャロラインと話すように促してきたイーサンに分かっていますよとローズは苦笑い気味に視線を送ると仕方ないなぁと言わんばかりにキャロラインに声をかけ始めた。


「キャロライン様。お会いするのは久しぶりですが、最近何か楽しい事などありましたか??」


「あら??唐突にどうしたの??そうねぇ……

 最近楽しかった事と言えば……

 しつこく言い寄ってきた他国の王子が足を滑らせて誤って池に落ちた時は胸がスッと致しましたのよ」


「ハハ……ソウデスカ……」

(それは、貴方が故意に落としたのでは無いのですか??最近の楽しかった事で思い出すのはそれなんですか!?イーサン様もそれでいいんですか??)


 流石のキャロラインとそんなキャロラインの答えを聞いて満足そうに頷いているイーサンの女性の趣味が何だかよく分からなくなってきたローズは乾いた笑みを漏らしながら何とかその場を乗り切ろう話題を切り替え始める。


「じ…じゃあ好きな食べ物とかは何があるんですか??」


「ふふっ。なんだか今日はローズとお見合いしているみたいね!!でも、私の可愛いローズに聞かれたなら特別に教えてあげるわ。

 昔から耐性を付ける為に微量の毒を含む事があるのだけど、それらを口にする時はドキドキして気分が高揚するのよ。

 その後に感じる痺れや息苦しさも何とも言えない快感があるわね」


「……あっ………はい…………」


(ぎゃーーー止めて下さいよ!!!皆んながいる前でとんでもない変態発言していますけど、皆んなの何とも言えない気まずい表情すらも楽しんでいらっしゃいますよね!!??

 もう、本当に好きなのか周りの気まずい雰囲気を楽しんでるのかよく分からないけどキャロライン様がドSと言う事だけはしっかりと理解できた気がする……

 おい!!!そこで嬉しそうに流石キャロライン様ってブツブツ言いながら頷いているイーサン様も変態の仲間とみなしますからね!!そんな貴方は真正のドMなんですね…… 

 これが貴族の社交ってやつなんですか…‥貴族って……何か凄い………)


 なんだか盛大な勘違いをしていそうなローズは、初の社交の場だと言うのに独特の空気で幕を閉じる何とも言えない終わりを迎えるのだった。

 決してこれが普段の社交の場の雰囲気では無く、普段の社交の場では皆がもっとギスギスしており自分のミスは勿論、少しでも隙を見せたら捕食者に取って食われそうな雰囲気か醸し出されていた。

 ポンコツ気味のローズの初めての社交の場としては個性は強いが悪意を待って接してくる人が居なかった為、まずまずの出来なのでは無いだろうか。

 流石キャロラインである。


 レイラ・ヴィヘルム 伯爵令嬢  16歳


 茶髪のロングヘア 茶色の瞳 あまりパッとしない顔立ち


 思った事を直ぐ口にしてしまう残念令嬢ではあるが本人にあまり悪気は無く悪意を持って人を陥れるタイプでは無くストレートにぶつかっていくタイプ。

 この国の特徴的な女性ではあるがその中でも比較的付き合い易い少女であった。

 男性の見た目、財産、権力に弱い典型的な貴族女性でもあるがその中でもトップレベルのフリードに好意を抱いている。


 レイラの邪魔さえしなければ比較的 扱い易い少女である。

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