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あやかし酒場と七人の王子たち ~珠子とあやかしグルメ百物語~  作者: 相田 彩太
最終章 彼女の願った結末と彼の望んだ結末
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最後の! 作者の駄文と補足説明!


 はじめての人はこんばんは! 何度もお見かけした方は、いつもありがとうございます!

 この駄文も最後となりました。

 本編は終了しましたが、あともう少しお付き合い下さい。


 この十二章と最終章でついに百物語と本作が完結します。

 そこに到達する物語です。


■七王子の権能(ちから)の設定(追加)

架橋(かきょう)権能(ちから)

 最終局面まで覚醒しなかった赤好(しゃっこう)権能(ちから)です。

 (えにし)(ふち)に橋を架け、対象同士を繋げる権能(ちから)です。

 時間や空間を越えて橋で結ぶことが出来ます。

 物理的な橋だけでなく、恋の橋渡しのように心に橋をかけて心を通わせたることが出来たり、副産物として橋の土台や行き先が良いかどうか、幸か不幸かを見極める能力(ちから)があります。

 彼が無意識的に”あやかし”の恋愛相談に乗っていたのは、この権能(ちから)の片鱗です。

 

 この権能(ちから)の最大の欠点は緑乱(りょくらん)迷廊(めいろう)権能(ちから)橙依(とーい)の祝詞の権能(ちから)と被っている所ですね!

 そのせいか、覚醒がかなり遅くなってしまいました。


〇登場人物紹介(新キャラ)


甘言諫言両舌狐かんげんかんげんりょうぜつのきつね 二尾の玉藻

 

 今まで散々引っ張ってきましたが、その正体は第四天魔王の配下、十悪(じゅうあく)のひとり両舌(りょうぜつ)を司る仏敵!

 ですが、第六天魔王から連なる天魔王シリーズは仏敵ではあるが、仏の道を進む者への試練を与える者としての側面もあるので完全な邪悪とも言い切れない存在です。

 特に第四天魔王は肉欲からの解脱を妨げる存在なので、その配下でもある玉藻は珠子と相性が良かったりもします。

 料理と酒とハッタリで事を進めたり、美食と飽食と蘊蓄(うんちく)の布教者である珠子は、ある意味解脱(げだつ)の障害ですから。

 珠子がサレンダーした時は心で『ふっ、おもしれー女』と気に入っちゃってたりします。


 彼女は最初は単純な悪女として登場させたのですが、完全非情な敵として書きずらく、目標を進める中で小さい緑乱(りょくらん)に愛着がわいてきたり、最後は改心というか打算で珠子の味方をする展開にしました。

 本作は出来る限り全員がハッピーエンドにもっていくように書いたので、こういう形もありかと。


 x尾の狐シリーズの名乗りには尻尾の数にちなんだ文言が入っています。

 二枚舌を意味する両舌を入れた玉藻のネーミングは我ながら上手く出来たなぁと思っています。

 じがじさーん!

 


八稚女(やをとめ)


 百物語の最後を締めくくる七王子の母。

 今は”まつろわぬ”神になっています。

 彼女たちのエピソードは日本神話に名前だけしか出ていないので、勝手にキャラ付けしました。

 個人的にはその息子の一側面が垣間見えるように作ったつもりです。

 

八岐大蛇(ヤマタノオロチ)

 日本神話では八稚女(やをとめ)を食べた悪役として登場しますが、本作では八稚女(やをとめ)は性的に食べられているだけなので実はそんなに悪いヤツではありません。

 人間に悪さしたような記述もないので、実はいいヤツなのでは!?

 というわけで、エロエロ下ネタ系になってしまいました。

 ただ、悪い女に騙されやすく、魅了にかかりやすいという明らかな弱点があります。

 複数の頭を持つので、本当は精神操作系の術にも強い耐性があるという設定があるのですが、実は自ら魅了されにいってたりもします。


 八稚女(やをとめ)とは対極に”誰がどう考えても七王子と酒呑童子の父”ということがわかるようにキャラ付けしました。

 個人的に『もはや朕に女装は通用せぬ!』という台詞は、それが顕著に現れていて気に入っています。


■各話のやくたいもない解説

〇第十二章 到達する物語とハッピーエンド


 この十二章と最終章のテーマは時間!

 創作の大人気テーマである歴史改変とタイムスリップ、タイムリープを混ぜてみました。

 昨今、大人気ですよね! 

 でも難しい! というか、他の作家さんはどんな頭で書いてんの!?

 この章は話の最後へと到達する物語と、作者の頭がオーバーヒートへと到達する物語です。


・2019年7月14日 夜~7月15日夜明け

 『赤鬼とキャラどら焼き』


 ここから怒涛の鬼シリーズが始まります。

 今まで王の片鱗を見せていた黄貴(こうき)が本格的に将としての頭角を現し、導いていくストーリーでもあります。

 鬼に涙させるお題で赤鬼の正体は”泣いた赤鬼”と見せかけつつ、実はその正体は鬼になったエピソードを持つ阿倍仲麻呂!

 そんなミスディレクション展開がどこまで読者に通用するか心配しながら書いていました。

 全ての鬼の支配者というキーワードが桃太郎伝説の基になった吉備津彦命(きびつのみこと)の血脈である吉備真備だと看破し、吉備真備が頭の上がらない存在といえば、あっさりとわかってしまうのではないかと。

 キャラどら焼きにもなっている井真成(いのまなり)については一時的にニュースにも取り上げられたのですが、その後の発掘調査での新事実がないのが残念です。



・2019年7月15日 夜半~朝

 『温羅(うら)とBBQ』


 やっぱ最終決戦の鬼なら強い鬼じゃなくっちゃ!

 ということで登場した温羅(うら) VS 黄貴(こうき)から始まるストーリー。

 権能(ちから)ある言葉を使った戦闘法は書いててちょっと楽しかったです。

 昔は王侯貴族であってもスパゲッティを手づかみで食べていたのは結構有名な話で、本当に近代まで庶民の間では一般的でした。

 テーブルマナーについての与太話としてやってみると面白いかもしれませんね。

 ……冗談です。


 本作では吉備真備が少しコミカルやダメそうに書いている面もありますが、あの方は怨霊を鎮める八所御霊(はっしょごりょう)早良(さわら)親王、伊予(いよ)親王、藤原吉子(ふじわらのよしこ)藤原広嗣(ふじわらのひろつぐ)橘逸勢(たちばなのはやなり)文室宮田麻呂(ふんやのみやたまろ)、菅原道真)のメンバーの(かなめ)として(まつ)られているスゴイ方です。

 かつて怨霊であったこのメンバーをまとめるのは常人に出来るとは思えません。

 作者だったら三秒で(さじ)を投げます。

 生きていた時も、死んだ後も相当な苦労人! 真面目一辺倒! それが吉備真備!

 ガンバレ! 真備様!


・2019年7月15日 朝~昼

 『鈴鹿の鬼女とアイスディップ』


 ご存知の方はいっぱいいらっしゃっると思いますが、鈴鹿御前には天女と鬼女と盗賊の3つの伝説があります。

 そして、作者はあろうことか「よーし、それじゃ3つの伝説をひとつにしちゃうぞー」なんて考え始めたのだからもう大変!

 後の大嶽丸とのからみとか、数多くの大嶽丸と鈴鹿御前の伝説をこじつけなくっちゃいけない!


 その第一弾として盗賊と死後に鬼女(怨霊)となったVerを登場させました。

 ちょっと平安期のお菓子である索餅(さくべい)も登場させて、おそらく盗賊として生きた史実の彼女の苦難も盛り込んだりしています。

 調べれば調べるほど鈴鹿御前については謎が多くて、広益俗説弁の中でも盗賊として囚われた鈴鹿(盗賊)は逃げ出した後、追いかけて行った坂上田村麻呂と夫婦になっています。(この鈴鹿の話の中での広益俗説弁の記述は作者が改変しています。元々の記述は楊貴妃の話の中で記載しています)。

 どうして逃げた盗賊と田村麻呂は夫婦になるの!?

 鈴鹿峠の盗賊ってどんだけ魅力的なの!?

 そりゃ大嶽丸もメロメロになるわな!

 とまあ、こんな感じで話を書いた次第です。

 

 ちなみに、長岡京の遷都の要因は早良親王の怨霊が皇族を呪ったせいですが、その後に長岡京が荒廃は多発する水害のせいです。

 そこにちょっと、怨霊としての側面を持たせた鈴鹿の鬼女を入れてみました。

 ただ、現実的にはこの時期はちょうと間氷期の中でも気温が高くなりつつあった時代で、それにより今までより大きな水害が起こったのではないかとされています。


・2019年7月15日 午後

 『大嶽丸とめかぶ納豆』


 やっと登場しました! 日本三大妖怪最後の一体! 酒呑童子や玉藻と比べてちょっと影の薄い大嶽丸です!

 といっても、この話は大嶽丸の前編みたいなものです。

 日本三大妖怪なのですもの、きっと恐ろしくって強くって豪快な”あやかし”なんだろなー

 ……なにこれ?

 大嶽丸ってば鈴鹿に熱烈にアプローチしたり、色よい返事がもらえたらウッキウキで罠にかかったり、もうしょうがないので鈴鹿を(さら)って3年くらい監禁したり……、戦闘力はさておき恋愛ではポンコツじゃん!

 とまあ、そんな感じでポンコツ丸になってしまいました。


 ビタミンKに関わる医療ギミックについては、急性前骨髄球性白血病に比べ、かなり一般的じゃないのでしょうか。

 乳児死亡率を大きく改善させたスゴイ栄養素です。

 現代ではKシロップが乳児に処方されますが、もし過去でビタミンKを乳児に摂取させるなら、ビタミンKを多く含む食品を食べた女性の母乳で代用可能です。

 具体的には納豆とかワカメとかほうれん草ですね。

 納豆には他の細菌を排他して病気を予防したり、栄養価も高く吸収もよいスゴイ食品です。

 作るのは簡単! 軽く茹でた藁苞(わらづと)(納豆菌以外は死ぬ)に煮大豆を入れておくだけ!

 しかも! 大豆イソフラボンにはバストアップ効果があります!

 おっぱ……、納豆サイコー!!


・2019年7月15日 夜

 『影法師とパエリア』


 ドッペルゲンガー!! とみせかけて歴史を遡ったことにより発生した、ふたりの緑乱(りょくらん)のお話です。

 2つの局面で開催されるバトル回! 

 温度差が! 温度差が激しい! 

 クリティカルが出るまで何度もやり直し出来る小さい緑乱(りょくらん)は強いはずなのに、全然強そうに思えない!

 逆に遠距離からの投擲(とうてき)と狙撃で詰めていくだけなのに大嶽丸はめっちゃ強そう!


 作者は『パエリアの鍋底おこげおいしいなー』と思っていたら案の定、そこには愛好家がいらっしゃって本場スペインではSocarrat(ソカラ)という名前がつけられていました。

 珠子の「パエリア食べる?」の下りはちょっと気に入っています。

 

・2019年7月15日 夜~2019年7月16日午前

 『楊貴妃と(なずな)


 「大嶽丸の伝説で討ち取られた大嶽丸が天竺から戻って来たのは、実は未来から戻って来たんだよ!」

 「な!? なんだってー!」


 「楊貴妃は、実は宦官の高力士だったんだよ!」

 「んなわけあるかい!」


 とまあ、本章の伏線を全て回収したら、とんでもない結末になってしまいました。

 前者はさておき、後者は無理がありまくりです。

 楊貴妃の正体が九尾の狐で日本に逃れてきたというだけでも眉唾ものなのに、それを手引きした高力士は未来から来た楊貴妃だった!?

 シナリオ書いたやつ出てこい!

 作者です……。


 史実の高力士は玄宗の忠臣で信頼の厚い存在でした。

 史実では玄宗の祖母、武則天に献上された古参の宦官です。

 宦官の割にマッチョだったという記述もあります。

 シナリオ書いたやつ出てこい!

 

 ちなみに余談ですが7月15日は楊貴妃の命日でもあります。


 (なずな)は中華食材としては一般的で人気の高い食材です。

 日本でも野原や川辺によく自生しています。

 よく育った薺は独特の風味がありとても美味しいです。

 いくらでも、どこにでも生えているので野草採りの際に食べてみるのもいいかもしれません。


・2019年7月17日

 『珠子と神饌仕合(しんせんじあい)三本勝負!』


 めたくっそなっげぇよ!

 それもそのはず、この話は元々百物語の三話を使う予定だったのです。

 でも、それに到るまでの構成力不足から、詰め込んでしまうことになりました。

 百話もあるんだもの、話数が不足するなんてないよねー、ハハッ!

 そう考えていた作者が悪いんです。

 しかも、本来なら地獄門の裏側で十悪と戦う蒼明(そうめい)のシナリオもあったのですが、やむを得ず割愛することに……。


 久しぶりの料理要素が強い話で、最近流行りの神と英雄のガチンコバトルよろしく、神 VS 珠子という構図にしたのですが、戦闘(バトル)ならともかく、料理バトルって人間の方が有利すぎない!?

 各国の料理とレシピをスマホひとつで検索して、どんな高級食材でも金に糸目をつけなければ1日で手に入る現代人はまさにチート!

 60億の人類が毎日食べる料理への成果(レシピ)を簡単に手にする人類が料理バトルの相手ってのは、神様といえども無茶な相手!

 というか、もし江戸時代の料理人が現代人の料理人と対決したら、現代人は神にも思えるでしょう。

 というわけで、珠子無双が始まった次第です。


 そして、作者は好きなんですよ”試合に負けて勝負に勝った”という展開が。

 また、作者は”前代未聞の展開!”とか、”この発想はなかった!”というのが大好きです。

 当然本作にもそれを反映しています。

 スポーツや料理などの競技もので最後に主人公が負けるという展開は稀にあります。

 ですが、勝てば主人公の目的が達成出来る場面で降参(サレンダー)するのは本作が初めてでは!?

 いや、きっと世界初でしょう! そうだ! そうに違いない! 

 じがじさーん!

 

・2019年7月18日

 『八稚女(やをとめ)と七王子と珠子と一期一会の料理』


 ダイヤモンド(Diamond)

 エメラルド(Emerald)

 |ラピスラズリ《Lapis Lazuli》!

 トパーズ(Topaz)

 オパール(Opal)

 ルビー(Ruby)

 アメジスト(Amethyst)


 デルトラ(DELTORA)クエスト!!


 作者は言いましたよね、好きな展開を書くって!!

 そんなわけで、みんな大好きアナグラム!

 七王子が母から継いだ七つの権能(ちから)櫛名田(クシナダ)の豊穣が合わさって”高千穂の乙女(たかちほのおとめ)”!

 これは無理っ! 誰も気づくはずがない! ヒントが少なすぎだもん! 

 というか、以前から”高千穂の乙女”というキーワードを登場させるべきだった!

 ちょっと反省。


 ここは百物語の最後に母と再会する息子の物語です。

 ですが感動的な再会を7連続してやっても飽きるというか、作者はそんな展開は好きじゃない。

 なので、年少組はやや感動的に、年長組はややコミカルにしてみました。

 7パターン作るのは思ったよりも苦労しました。

 個人的に黄貴(こうき)の母、王権の女神はお気に入りです。

 

 そして、最後の出来事のキースキルとなるあの日をもう一度(ワンモアデイズ)の発動!

 七王子が帰って来てからの珠子の心情が何か違うのでは!?

 そんな伏線を残して最終章へと突入します。


〇最終章 彼女の願った結末と彼の望ん結末


 やって来ました最終章! 

 最後だから作者の好きな展開とか大好きな展開とかを書きまくっちゃうぞー!


 『彼女の異変と彼の異変』

 『歴史改変と時間跳躍』


 作者は好きです! SF!

 しかも昨今人気のタイムリープもの! 

 気が付かないはずの歴史改変にタイムリープで対抗するなんてなんて胸躍る展開!

 これは筆が進むに違いな……。

 なんだよもう、歴史改変とタイムリープの説明とか、歴史の上書きにタイムリープで対抗するとか、頭の中がごっちゃごっちゃで書いても書いても上手く書けない!!

 こんな時は図だ! 図! 

 よしっ! スッキリした!

 というわけで久しぶりに図が挿入されました!


 『未来の百物語と始まりの百物語』

 『八岐大蛇(ヤマタノオロチ)と百鬼夜行』

 『男の戦いと父の戦い』


 最初は過去に跳ぶのは七王子だけで、それが合体して七岐大蛇(ナナマタノオロチ)になってバトルするって予定でした。

 でも、作者は思い出してしまったのです……。

 最終決戦に今までのストーリーで絆を深めた仲間が集まる展開が大好きだってことに!

 それに須佐之男(スサノオ)ですらビビる八岐大蛇(ヤマタノオロチ)に勝てそうな存在は……、個には(むれ)で対抗するしかない!

 よしっ! 百物語成立した時、『百物語に登場した全ての”あやかし”が出現する』という怪異が起こる設定にしよう!

 そして百鬼夜行で八岐大蛇(ヤマタノオロチ)と対決だ! ←ここまではまとも。

 だから『まずは”あやかし”とグルメの百物語を書こう』 ←どうしてこうなった

 いや、本当に書いちゃうとはねぇ。


 作者の創作手法は、まず書きたいシーンを思い浮かべ、そのシーンに向けて話を進めていくという方法を取っています。

 八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を前にした黄貴(こうき)啖呵(たんか)

 「道を開けよ妖怪王!」 

 「「「百鬼夜行のお通りだ!!」」」

 このシーンを書きたいだけで百物語を(つづ)ってきたんですよ!!

 いやもう、長かった。

 感慨もひとしおです。


 『海からの使者と未来からの使者』

 『心の橋と絆の橋』

 『日の出と百鬼夜行』


 作者は好きです! 強大な敵に仲間全員で立ち向かう少年漫画的なバトルが!

 作者は好きです! 巨大怪獣 VS 近代兵器が!

 そんなわけで、船幽霊が駆逐艦をひっさげて助太刀に来てしまいました。

 ですが展開としては、やっぱり全員の協力で牙を折り、最後は長男が決めないと!

 そんなわけで牙を折るのは、みんなの連携で最後は橙依(とーい)が決め、ラストバトルは八岐大蛇(ヤマタノオロチ)人間体 VS 黄貴(こうき)となりました。


 伝承が無いと年を取ってしまうという設定は、最初の方の緑乱(りょくらん)のモノローグでも書いたのですが、この設定はもっと書いておけばよかったなぁと思っています。

 少し、悲壮さが足りないかと。

 ま、本作は明るく楽しい作品だからいいよねー。


 『時を越える想いと時を駆ける想い』


 作者は大好きです! おねショタ展開!

 作者は大好きです! 伏線!


 過去に跳んだ橙依(とーい)緑乱(りょくらん)が竜宮城の”ご家族ご招待券”を使って1000年を5年くらいで戻るというシナリオは当初から考えていました。

 乙姫様がかなり序盤(十三の物語)で登場しているのはこのためです。

 そのころ百物語を書こうなんて思っても無く、酒呑童子編の後、すぐに珠子の呪いが発現してその元凶である八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の牙を取りに行くという展開を考えていたのですが、その後『百物語を書こう!』と方針転換というか方針拡張してしまった結果、読者が忘れているだろうと思われる時期になってやっと登場するという展開になってしまいました。

 憶えていた人やこの展開を予想していた人はスゴイです!


 ある意味、橙依(とーい)と珠子のハッピーエンドのラストで、ここで<完>となってもいいとも思ったりしました。

 ですが、やはり最後まで書きたい、蛇足(だそく)どころか大蛇足(だいだそく)と呼ばれようが、この次のエピソードを書かなければ後悔するという一念で真のラストエピソードを書きました。


 『幸せな結末と幸せの結末』

 

 作者は好きですSF! そしてSFにはメタ要素も必要!

 なので、組紐での説明にはメタ要素を入れてみました。

 みんなが主役の物語、つまり七王子や珠子視点の物語を綴って世界(本作)は出来ているのだと。

 ちょいメタ!


 そして作者は好きです! タイムパラドックスとか平行世界(パラレルワールド)とか、歴史の修正力とか!

 それらに対する作者の考えのひとつとして『歴史は紐で編まれた組紐で出来ている』理論を書きました。

 これが正しいとか間違っているとか様々な意見があると思います。

 実は作中に書かれた歴史改変の内容には矛盾や不合理性がアリアリなので、それを誤魔化しているのはナイショです。

 個人的には『辻褄(つじつま)が合わなくても、ええじゃないか理論』と名付けています。


 この真のラストエピソードは今までの伏線の集大成として書きました。

 蒼明(そうめい)があんな行動に出た伏線は序盤から書いていまして、要所要所で珠子の車嫌いを知ったり、その原因を調べたり、家族と両親のについて調べている描写があります。

 桂男の話では最後の判断を確認するような会話もしています。

 本作で描かれた物語と我々の現実の世界とは微妙に違うということも、こっそりとわからないように書いていたりもします。

 泥田坊の話で1993年の平成の米騒動について珠子がタイ米の話題をした時、不作の原因を旱魃(かんばつ)と書いていたりとか、2019年5月を過ぎても元号が平成のままだったりとか。

 蒼明(そうめい)がシルバニアファミリーではなくメイプルタウングッズを持っているとか!

 作中の歴史は我々の現実のものとは違っていて、登場人物の作中の行動で我々の歴史に近づいて来るという描写を書きたかったのです。

 うーん、メタ!


 こんなに伏線をモリモリしちゃったら! もう書くしかないじゃないのー!!

 というわけで、真のラストエピソードが完成しました。


 蒼明(そうめい)の行動やラストシーンには様々な意見があると思います。

 ハッピーエンドってタグが付いていたのに、ハッピーエンドじゃないじゃないかー!? と思われる方もいらっしゃるのではないかとも思います。

 ですが作者は、どんなことがあってもパパとママと一緒にいたかったという珠子の願いを叶えることがハッピーエンドであると信じ抜いて、たったひとりでも、誰にも理解されなくても、それを成就させようとした蒼明(そうめい)を書きたかったのです。

 たとえ、ひとりよがりであっても。


 だって、書きたくなっちゃったんだもん! しょうがないよねー!

 

 『幸せな結末と幸せの結末』


 このサブタイトルは英訳すると『ハッピーエンドとハッピーエンド』です。

 ニュアンスの違いは考えるな、感じて下さい。


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