ニュー・作者の駄文と補足説明
初めての方ははこんにちは!
またねの方は長い間、ご愛顧頂き誠にありがとうございます
百物語も67話を達成し、後半戦突入です。
別サイト(アルファポリス)での掲載に追いついてしまったので、更新話数は落ちてしまいましたが、これからも創作は進めて参りますので、引き続きご愛読頂けると幸いです。
■各話のやくたいもない解説
〇第八章 動転する物語とハッピーエンド
この章は非常に苦難した章でした。
本作のコンセプトにサクッと読めて次に進める百物語というのがあるのですが、その意に反して長くなってしまいました。
似たコンセプトのグルメや”あやかし”の商業作品には、回が進むごとに同じように長編が増えてしまう物もあって、『初期の方が面白かったな』なーんて作者は身勝手な批評をしていた事もありますが、実際に自分が創作してみると『お前も同じじゃん!』てなことになってしまいました。
言い訳はあるんですよ、もっとキャラの掘り下げをしたいとか、読者にちゃんと伝わるように説明したいとか、”あやかし”や料理について詳しく説明したいとか、そのせいで長くなっちゃたんだよって。
ですが、そこはコンセプトを体現できなかった作者の力量のせいなので……、うん、がんばっ!
この章は作者がおめめグルグル、ハートバクバクの動転の章です。
・2018年9月中旬
『化け猫遊女とカレイの刺身』
この青木昆陽の母(村上宗伯の娘)が元遊女説は作者の完全な創作です。
ただ、根拠がないわけではなく、作中で説明したように目黒の青木昆陽先生碑銘(明治44年建碑)を基に創作しています。
この作品をここまで読んで下さった人はきっと妖怪や歴史に造詣が深いので、中津藩の藩医の家系、村上家の初代村上宗伯くらいはご存知ですよね。
え? ご存知ない?
なら、その子孫の村上家7代目の村上玄水ならご存知でしょう。
九州で初めて人体解剖を行った人物ですよ。
え? 二番目じゃないかって?
Wikiにも九州で二番目って書かれてるよですって!?
いやそんな馬鹿な……作者の知識では確かに九州初だと……
…
……
てへっ
九州で二番目ですよ!
どうやら、2000年代前半に新説が出て、福岡藩の藩医、伊勢田道益が九州初だそうです。
ま、伊勢田道益は藩の許可とか取って無かったみたいだしー、村上玄水はちゃんと藩の許可とってたしー、解剖の時の見学者も多かったしー、後の世で有名になっちゃってもしょうがないよねー。
とまあ、そんなこんなで九州では局所的に有名な医者の村上家と、甘藷先生の青木昆陽に実は関係があったのではないかとこじつけてみました。
ちなみに、鳥居様が村上宗伯という名にピンと来たのは、こんな理由があります。
鳥居耀蔵が蛮社の獄で捕らえた高野長英という医者がいます。
高野長英は永牢の刑になるのですが、1844年6月30日に牢屋敷の火災で罪人が一時的に解放され、彼はそのまま逃亡生活に入ります。
その頃、鳥居様は南町奉行でしたので、当然ながら行方や潜伏先を調査したに違いありません。
で、高野長英は各地を転々とするのですが、その潜伏先のひとつという説があるのが村上家なんですよ。
なので、鳥居様は村上家について調べまくったはずなので、村上家の先祖に至るまで異常に詳しくっても不思議じゃなかったりするんですよ。
ちなみに、この時点で鳥居様は失脚の過程にあり1844年10月17日に南町奉行を辞めさせられています。
ま、歴史に紐づけて執筆するのは創作活動の醍醐味のひとつですので、こんな想像の仕方もあるんだと温かい目で読んで下さい。
”沖田総司はBカップだった!”くらいには信憑性は高いと思います。(年がばれる)
・2018年10月4~7日
『安達ケ原の鬼婆とどぶ汁』
作者が小さい頃に読んでトラウマものだった安達ケ原鬼婆を何とかハッピーエンド方向にもっていこうとしたら、思ったより長くなってしまいました。
ちょっと福島の名物料理とかお祭りとかを入れすぎたきらいがあります。
そして、紫君の鎮魂の権能は覚醒しない、なーんて駄文で書いておきながら、覚醒しちゃいましたよ!
作者はなんていい加減なんでしょうねぇ。
・2018年10月7~8日
『実方雀とアワビモドキ』
最初は、神として祀られた藤原実方と実方雀の対決で、本物を偽物がぶったおす! とか。
料理の世界は著作権なし! 二番煎じであろうと、最終的にうまければよかろうなのだー! とか。
西尾維新先生の偽物語の名セリフみたいに『偽物のほうが圧倒的に価値がある。そこに本物になろうという意思があるだけ、偽物のほうが本物よりも本物だ』みたいな展開を考えていました。
だけど、この話では本物は別に悪いわけじゃないので、本物を倒してハッピーなんて展開は一方がハッピーになるだけで、もう一方は不幸だよなと考えて、本物も偽物もそれは周りが勝手に言っているだけで、重要なのは本人の心だ、というストーリーにした次第です。
おかげで急遽、十六夜姫を登場させたりして苦労した結果、やっぱり長くなってしまいました。
そして! なんで! また伏線を増やすの!
緑乱の過去の伏線なんか書いちゃって、ちゃんと回収できるんでしょうね!
大悪龍王との対決とか珠子ちゃんの恋愛模様とか、まだまだ書かなきゃいけないことは沢山あるのに!
もう! 作者は知りませんよ!
ホントどうすんだよ俺……。
・2018年10月4~11日
『座敷童子と龍の髭』
「なんだか昔に比べて絹の手触りが悪くなったねぇ」
そういうお年寄りたちの声を聞いて、原因を調べていくうちにネタを思いついた話です。
現代の絹は生産性を高めるため、糸が太く大型の蚕から作るのが主流ですが、日本の養蚕業はその方向では中国の安価な絹には勝てず、高品質路線にシフトしつつあるのが現状です。
その中での小石丸亘理が復刻しつつあるという情報をつかんで作り上げました。
龍の髭という砂糖菓子は中華街ではパフォーマンスでやっている所もあるので、見物すると楽しいです。
ですが、相当な腕力が必要なのも事実です。
なので、珠子ちゃんに新たな設定が追加されてしまいました。
どうすんだよ……、どんどんヒロインがゴリラになってくぞ、この物語……。
・2018年10月11日~17日(旧暦9月9日)
『馬鹿と馬方蕎麦』
くっそなっげぇよ!
この章の一番の問題作です。
黄貴の人材発掘と赤好の恋愛話に加え、橙依の少年漫画要素を融合させた上でストーリーを進めるという荒業をやってしまったので、こんなに長くなってしまいました。
ちなみに2018年10月17日は大安で、旧暦9月9日の菊の節句で重陽の節句でもあり大変めでたい日です。
壬午の日でもあるので、ここで馬鹿の話をもってきたかったのでタイムラインにちょっと無理が生じています。
具体的には珠子ちゃんがワープしてます。(おいおい)
10月11日のAMで東北で龍の髭を作ったら、夕方には『酒処 七王子』で馬鹿に蕎麦打ちのレクチャーをするという強行軍……。
が、がんばっ!
個人的に珠子ちゃんが『館に火を放ちました!』という所は彼女の素っ頓狂ぷりが発揮されてて好きなシーンです。
・??年??月
『以津真天と常夜鍋』
再度登場! 謎の登場人物A!
彼女の正体は次の章で明らかになるので、楽しみに待ってて下さいね。
うん、バレバレですよね……。
作者の以津真天との出会いは”地獄先生ぬーべー”からです。
その恐怖のビジュアルはちょっとトラウマ物なのですが、話としては以津真天はいいもんでした。
なので、その設定を踏襲しています。
”いつまで”をベースに会話するのが大変でした。
そして、またまた漢詩の登場!
唐代の詩人方干の漢詩です!
方干は進士(科挙の一科目)に合格せず、官位もありませんでしたが、その知識と知見の広さはかなり有名だったようで、弟子は沢山いたようです。
方三拜(方干は何度も拝礼するくらい価値があるという意)というあだ名で呼ばれていたくらいなんですよ!
うん……マイナーにも程があるよね。
ほうれん草と豚肉を水と酒だけで煮る常夜鍋の起源は魯山人や旧制高校の寮生という説がありますが、昭和五年一月発行の村井多嘉著、『一年のお惣菜、付録月月のお漬物』に”豚肉とほうれん草酒煮”という全く同じレシピが登場しているので、常夜鍋という名前はともかく、このレシピの鍋はこの頃にはかなり一般的だったのかもしれません。
ちなみに、村井多嘉先生のレシピはどれもおいしいです。
国会図書館のデジタルアーカイブで誰でもネットから閲覧できるので、興味のある方は再現してみて下さい。
この”豚肉とほうれん草酒煮”は『柚子の絞汁と生醤油を掛けて食べる』とあります。
まさにポン酢!
ポン酢おいしいです。
・2018年10月下旬
『猿の手とおでん』
猿の手の物語はオリジナルがバッドエンドだったので、その後の猿の手をモチーフにした類型の物語では、悪戦苦闘しつつ何とかそれをハッピーエンドにもっていこうという話がよくみられます。
アウターゾーンもそうでしたね。(どんなオチだったかは君の目で確かめてくれ!!)
ですが、作者の知る限り、猿の手自身をハッピーエンドにする話はなかったので、ひねくれ者の作者は『よーし、それじゃ俺が一番乗りしちゃうぞ』と意気込んで作った話です。
ちょっと話の展開が強引だったような気もします。
また基本的にインドア派の作者ですが、日本酒のおでん汁割りを飲むために赤羽の”丸健水産”に行ったりしました。
さすが人気店! 行列待ちをしなくてはいけませんでしたが、めがっさ美味かったです。、
新型コ〇ナの影響で持ち帰りが可能なのですが、残念なことに2020年11月まではお家で出汁割りが楽しめるようにおでんとお酒が持ち帰れたのですが、12月より酒類は持ち帰り不可なんだそうです。
作者のツイッターにアップした”丸眞政宗MaruCUP”は、店舗で食事とおでん出汁割りを楽しんだ後、お店の人の許可を得て瓶を持ち帰ったものです。
・2018年11月2日
『ヌエとエクレア』
『ああ、ヌエは雷とともに現れるという逸話から、雷の意味を持つエクレアを選んだのね、ふーん安直じゃん』なんて言わないで下さい!
作者だって頑張ってるんですよ、そこから何とか意外性と整合性を併せ持つ話を書こうとしているんだから!
とまあ、そんな形でヌエの本質が世間一般とは違う”愛”にしてしまいました。
でもね、愛って不思議ですよね。
素晴らしいもののはずなのに、重かったり、怖かったり、止まらなかったり、取り戻せ! とか、わけわかんないですよね。
ほら、ヌエっぽいと思いませんか。
作者がヌエは鵺とも鵼とも書くのを知ったのは、みなぎ得一先生の『いろは双紙』からです。
そこから鵺と鵼を夫婦という設定にして、意外性を持った本質に仕立て上げたお話です。
そして! 作者はどれだけ伏線を増やすの!
前のも含めて、まだ、全然解消していないでしょ!
百物語も残り33話しかないのよ! 3分の1しかないのよっ!
どうするのよ! もう知らないっ!
……すみません、投げ出さずに頑張ります。
◇◇◇◇
さて、今後の展開ですが、やっとストーリが動きます。
次の章では大悪龍王を巡る物語になる予定です。
ずっと前から名前だけは登場していたので、その正体をこんなに引っ張るなよ、なーんて思われているのではないかと冷や冷やしています。
肝も冷えています。
創作活動には情熱という熱が必要なのに、こんな寒い時代じゃ書き続けられないよ……。
そんな作者のハートを熱くしたいと思いませんか?
思ってくださいますよね?
作者に熱を送るのは簡単です!
温風ヒーターも、投げ銭も不要ですっ!
ほら、そこにお気に入りボタンとか評価ボタンがあるじゃろ……
よしっ、宣伝完了!
ではまた、次の更新をお楽しみください。




