護衛の依頼
大晦日の更新ですね。
今年一年初めて、物を書いてきましたがなかなか頭の中にある物を文字に起こすのは難しい!という事が改めて分かった白亜でした。
来年も続けて頑張って話を書いていくわけですが、皆さんの応援や読者がいるという事が何よりの励みになっています。
来年もよろしくお願いしますm(__)m
カナタたちパーティーに今後開かれる5国会議の間の護衛を依頼してきたアルマール王国国王のアルゼンはカナタの質問に応えて護衛の内容とこれからの予定を話していく。
「まず護衛についてだが、今回の会議にはマルクとアルカも連れて行くことになっている。2人は今までにもそれなりに会議の場に顔を出した経験はあるのだが、今回の5国会議のような他国の重鎮が揃うような大きな場はまだ経験がない。アルカはまだいいとして、マルクはそろそろそういった場も経験させておきたいのだ。」
「...ということは、3人を守れば良いわけですね?」
「そうだ。おそらく他国の面々は各国王と他2、3人の護衛という形での参加になると思うが我々は私たち3人と宰相、軍務大臣を含めて5人での参加になる。宰相には軍務大臣が護衛も務めるからそっちは気にしなくていい。」
「了解です。」
「うん。会場はまだ決まっていないが、王国と会場となる国までの往復と会議の時間の間をとりあえず護衛してくれ。我々人間同士で争っている時でないことは他国の面々も分かっているだろうからそこまでの危険はないと思うが、魔族が会場に直接攻めてくる可能性もあるから警戒に手は抜けない。すまないがよろしく頼む。」
王族が一冒険者に護衛を頼んで頭を下げるなど普通は起こり得ない。先の威圧の件もあるが、カナタたちはこの依頼内容が気に入らない場合は躊躇いなく今回の件から手を引くだろう。魔族の脅威もある中でカナタたちパーティーの戦力が消えるのはあまりに痛過ぎる。さらに、ベッソの件からカナタたちの事を調べて少しは人となりが分かってきたことで、このまま縁を切るのは王国としてももったいないと考えたのだった。
カナタたちはエリーナを蝕んでいた毒を消す為に希少な上級ポーションをあっさりと使うほどに一面としてお人好しの面もあると思われている。さらに、1パーティだけで索敵から情報収集までをかなりの精度でこなし、そして戦闘能力も申し分ない。
さっきのように明確にカナタたちに対して友好的に接してさえいればその恩恵はかなり大きいとアルゼンたちは考えたのだった。それゆえ、王国側の考えとしてはカナタたちにはできる限りの待遇で機嫌をとりながら末長く友好関係を保ち続けるという方針をとった。
まあ、アルゼンのようにカナタたちの力や持っているアイテムなどを度外視して個人として素の状態でカナタたちと仲良くしていきたいと思っている者もいるのだが。
「わかりました。俺たちの出来る限りのことはしますよ。」
「頼む。さて、次に今後の予定についてだが、いま別室で宰相たちが話し合っているがおそらく1週間もすれば5国会議に向けて国を出なくてはならなくなると思う。言うまでもないだろうが、一応早めに旅の用意はしておいてくれ。こちらも話が決まり次第改めて君たちにも連絡を入れるようにはする。」
「はい、そのように準備しておきますね。ちなみに、他国の護衛たちの強さって分かったりしますか?おおよそでいいんですけど。」
「大体うちの軍団長クラスと同等の強さだったぞ。数年に1度開かれる”親善武闘大会”で各国の有名どころの兵士たちは大体の強さが知れているからな。」
「軍団長クラス......もし魔族が会場を襲撃してきたらちょっと拙いですね。俺たちが遭遇した魔族は戦闘タイプではなかったのにも関わらずこの王城で出会った王国の騎士たちより遥かに強い気配を感じましたし、おそらく種族的に人間よりも身体能力も高い事が想定されます。実際に手合わせしたわけではないので正確にはわからないですが、俺たち以外の護衛ではちょっと荷が重いかもですね。」
カナタたちと行動を共にする軍務大臣のレベルが軍団長クラスより多少は上である程度で、他国の護衛たちが話通りの実力だとするとカナタたちだけでは全員を守りながら戦うことはできないだろうと冷静に判断する。まあ、王国のメンバーだけに守る対象を限定すればなんとかなるだろうが。
しかし、先日遭遇した魔族の実力からの推測でしかないので、この予想以上の猛者が攻めてくれば途端に話は変わってくるだろうと頭の片隅でカナタは思考する。
「一応我儘をいえば他国の面々も守ってくれと言いたいが、カナタ君たちの身に危険が迫るのならその対象は私達だけでかまわないよ。君たちも我が王国の民なのだから無理をする必要はない。自分の身を大切にしてくれ。」
「ありがとうございます。さっきも言いましたが、できるだけのことはしますね。」
カナタたちにはアイテムボックスもあり、荷物などは全てその中に収納されているのでこれといった準備は必要ない。その中でカナタたちに心配事があるとすれば戦闘能力の低いアスカの存在だろう。アスカの安全のためにできるなら少しはレベル上げをしておきたいところだ。
「というわけで私たちも5国会議に参加いたしますのでお父様共々お願いしますね。」
実際に始まってみなければ分からないことだが、5国会議はなかなかに骨が折れるイベントになりそうだなとカナタは思う。しかし、王国以外の国の人間と会うのは違う文化を見ることが出来そうで楽しみでもあった。特に”獣王国”などは獣人のアスカが身内に居るのだからあわよくばアスカに良い影響をもたらせたらと考えている。それ以外にも耳や尻尾などのモフモフに意識が言っていることも否定はしないが。
その後はもう少し話を詰めて打ち合わせをしていく。宰相たちの会議の進み方と各国の行動力次第だが、とりあえずは1週間くらいの時間が出来るという話なのでこちらはアリスが今後の予定を考えることになった。
カナタたち面々の中での暗黙の了解というか役割分担なのだが、とりあえずしなければならないことや今回のアルゼンとの会話などの重要事はカナタが担当し、パーティーの方針や個々の行動方針はアリスが担当することになっているのだ。
「さて、とりあえずこの1週間余りの時間をどう過ごすかだな。」
カナタたちは一通りの話し合いを済ませて王宮から宿屋に帰ってきた。ハック達が屋敷に来ないかと声をかけてくれたが、今回は断ってこちらに戻った。というのも、アルゼン達の護衛任務までの1週間という時間の使い方についてきちんと話しをまとめる為である。
「カナタとアリスのアイテムボックスに食料や生活アイテムは入っているのだし、そういった雑事で時間を取られることはないのう。」
「うん、だからこの空いた時間はアスカを出来る限り育てたいと思う。」
そう言い放ったのはアリスだった。アリスもパーティーの今後を考える上でアスカのレベルアップは必須だとアルゼン達から話を受けた時既に考えていた。
「それは俺も同感だが、いい狩場でもあるのか?俺たちで組み手をするにしても残念ながらこの短い期間じゃそう期待はできないと思うんだよな。」
「大丈夫。その辺の解決策は考えてある。コホン、え~今日からダンジョンに潜ろうと思う。」
「ダンジョン?この辺にダンジョンが有るのかのう?」
「...たしか、王国にはダンジョンがあるって聞いた気がするけど、王都にあるのか?そこまでは知らないな。」
「それは私も知らない。私が言っているのは神々のダンジョンのこと。あそこなら私たちの支配下に置かれてるからある程度自由に修行できると思う。」
アリスが思いついたのはついこの間まで自分たちがいた神々のダンジョンを利用することだった。神々のダンジョンを攻略してコアと契約したことで今ならある程度自由にダンジョンを弄れる。そこでアスカの地力を上げていこうというのがアリスのアイデアだった。
「なるほど。...アリだなそれ。」
「うん。儂もいいと思うぞ。」
アリス、カナタ、ヤクモはすでに今後の計画を頭の中で考えながら話を進める。しかし、全員が話についていけるわけではなかった。
「あの~、ダンジョン、ですか?今神々のダンジョンとか聞こえたのですが。それに、支配下に置いているとか......どういうことなのか私には話についていけないのです。すみません。」
つい最近合流し、それ以前のカナタ達のことを全く知らないアスカは、繰り広げられるカナタたちの話についていけない。そもそも、ネメシア世界の常識としてはダンジョンは各地にあるし、知られているが神々のダンジョンはその存在すら知られていない。故にそもそもアスカがこの話についていけるはずがなかった。
そしてカナタたち3人、いや、ノルンたちも含めて3人と12匹は皆同じ思考に至った。つまり、全員が全員ニヤリという文字が見えるような悪い笑みを浮かべてアスカを見たのだった。
ノルンたちもその顔はなかなかにワルさを窺えるものになっており、主人にだんだん毒されてきている召喚獣たちはそれでもなかなかにキュートであった。
読んでくださってありがとうございます。
少しでも面白いと思っていただけたなら下の所にある☆で評価やブクマ、感想などを頂けると励みになりますし、とても嬉しいです|oく)




