仲間の気持ちを背負って一歩踏み出す
本日初めて閲覧数などが見れるページを発見しました。全てが初めての試みなので皆様が今更かよと思うかもしれませんが、私は皆さまが読んでくださっていると知ってとても嬉しかったので急遽一話更新しました。
読者様が居ることがこんなに励みになるとは思いませんでした。これからも頑張って行くのでよろしくお願いします。
この世界に来て、襲い掛かる苦難を何とか乗り越えた二人だったが、その中でそれぞれ新たなスキルを得て成長し、その力でお互いがお互いを支え合うという決意をした。
二人がこうして会話しているのはゴブリンとの戦闘を行った小高い丘ではなく、そこから少し森に入った場所で身を木々に隠して周囲を警戒しながら会話をしているのだった。この場所なら周囲から自分たちは発見され難く、自分たちは開けた方を見ていれば対処できるという好立地だった。
「さて。これからのことを考えたいと思う。まず、リリーさんたちの所持していた二枚のギフトカードについてだ。」
カナタたちはリリーたちを埋葬する折、付近に落ちていたギフトカードを回収していた。このことからアイテムボックスのスキルは、スキル所持者が死ぬと中身を落とすらしいと考えた。ただしカナタたちの持つアイテムボックスのスキルは神界を通った副産物であり、この世界の者の中では現状所持している者は存在しなかった。
この世界のアイテムボックスは、形は製作者に依存するが基本はカバンのような見た目をしている。また収納量もカナタたちのように無限ではなくて、製作者の技術次第でまちまちであるとともに時間停止機能もついてはいない。
「一枚ずつ分けるのは当然として、アリスは何か考えている願いってある?」
『......私は戦闘スキルを得たいと思っている。たぶん、モンスターに近づいて戦うのは私には厳しいと思う。......だから魔法を主体にしようかと思うんだけど......どう?』
カナタはその具体的な考察に関して舌を巻く思いだった。まだ十歳の少女が即座に考えつけることではないと思うのとともに......
(悩んだのかどうか察してあげられないが、生まれた時から喋ることができない少女が己の声よりもまず、戦う術を求めているなんて。)
そのことがアリスを守るというカナタの決意をより強固なものにする。
だからカナタ自身の考えについて確認を問いかけない。彼女の考えを尊重しようと考えた。それに魔法を主として戦うスタイルは何故かアリスには向いていると直感的に感じた。
「分かった。アリスに魔法は任せるよ。じゃあ俺は接近戦のできる......そうだな、剣士でも目指そうかな!」
カナタはゲームなどの経験と知識を活かしてバランスを重視したこれからの自分を夢想した。
......カナタ自身が剣士をカッコよく思たことも決めた要因の一つではあったが。
「うーん、でも今は剣も無いしなぁ......どうするか。」
そこでカナタはふと自身の状態に気づいた。
「......うん。決めたよ。俺はモノづくりのスキルを狙う。」
『えっ?』
剣士を目指すと言っていたカナタがすぐにそんな前言とは全く違うことを言い出せば、アリスが困惑するのも無理はなかった。
「俺達が死ぬ可能性はかなり低いけど、お腹はすくし、生活もしていかないといけない。なら、そっち方面を早急に何とかした方がいいと思う。それに武器も作れれば一石二鳥だしな。剣の腕は時間をかけて上げていくよ。」
『そう。......そうね、ごめんなさい。気づかなかった。』
「いやいや。気にしなくていいよ。じゃあこれ、ギフトカードね。グリアドさんは既にカードでスキルを得て、耐えていてくれたみたい。......システムの判定だけじゃなくてみんなの気持ちもカードに宿っている気がするよ。」
『うん。みんなと一緒に生きていく!』
そうして二人は自分に最適なスキルを願いながらギフトカードを起動した。
そうして得た二人のスキルは......
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ハヤカワ カナタ
【レベル】:3
職業:なし
【HP】(体力):19
【MP】(魔力):20
【STR】(筋力):15
【END】(耐久力):19
【DEX】(器用):11
【AGI】(速度):13
【LUC】(幸運):14
【スキル】
異世界言語、アイテムボックス、不老不滅、万物創造、苦痛耐性:Lv1、痛覚鈍化:Lv1、
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アリス・コトノセ
【レベル】:2
職業:なし
【HP】(体力):10
【MP】(魔力):12
【STR】(筋力):8
【END】(耐久力):13
【DEX】(器用):10
【AGI】(速度):13
【LUC】(幸運):11
【スキル】
異世界言語、アイテムボックス、神眼、魔法真理
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カナタはアリスのステータスがわからないため、アリスが木の枝を使って地面にステータスを描いていく。
「魔法真理とはまた大層な名前だね。スキルの効果はどんな感じ?」
『魔法のことは、魔法陣なり、魔法の本体なりを見ればほぼ何でもわかるみたい。だから反対属性の魔法をぶつけて相殺させることも、私の技術が増せば魔素を操作して術式の改変をして相手に返すこともできるみたい。』
「もう魔法に関してはアリスの右に出る者はいないな。俺の方は、MPを消費するけれど物体の創造ができるみたいだ。まあ、名前の通りだけれど。」
そう言って二つ作り出したリンゴをカナタは自分の分に一つ、もう一つをアリスに手渡す。
「リンゴ一つで五ポイントMP消費する。モノによって差はあるんだろうけれど、ただの果物でこれだと剣を創り出すにはもっとレベルを上げないと無理みたいだ。」
『私の視る限りだと、カナタのMPが回復するまで三十分位はかかるわね。......ここを通るモンスターが少数だったり倒せそうだったら戦いましょう。私もレベルは上げておきたいもの。もう震えているだけなんて絶対嫌!』
カナタたちは一度ゴブリンたちを倒しているため、少しは戦闘に関する恐怖心を減らすことができた。また、この世界において弱者がどうなるのか、躊躇うことが何を意味するのかを経験として理解していた。
だから二人は今後のために作戦を練り始める。
「じゃあまず、俺の世界でのゲームについて説明するね。」
『ゲーム?』
「分かりやすく説明すると、ゲームというのは機械技術で作られた、この世界のシステムのようなものを五感を通して安全に疑似体験できる装置みたいなものだと考えてくれればいい。」
『うん。この世界にいるから何となくは理解できるわ。』
「それでゲームの中だと、モンスターを倒すと経験値というものがもらえて、レベルが上がって強くなっていく。その中で一緒に戦ったメンバーにも経験値がもらえるものもあるんだけど、この世界がどうか調べたい。」
『私も今後の為にも経験と検証を行うのは大切だと思う。』
「で、とりあえずこの場所が何処なのか具体的なこともわからないし、食料も断定的にだけど何とかなる。だから安全を確認しながら慎重に周囲の索敵も視野に入れていこうと思うんだけれどどうかな?」
『うん。賛成。でももう暫くはここで待ち伏せして安全を確保したい。一つでもレベルが上がっていた方が安心だし。今日はとりあえずこの場所にいて明日から策敵に入ればいいと思う。』
「そういえば目覚めてからそれなりに時間も経過していたね。じゃあ、アリスの案でいこう。まず最初は敵が単騎で今の俺達でも倒せそうだと判断したら、アリスに魔法で倒してもらいたい。で、次は二人で協力して戦おう。その二つの戦いのデータを基に今後のことを決めていければと思う。」
『了解!』
やはりゲーム知識がある分カナタの方が作戦立案に長けていた。しかし、状況の判断などはアリスの方がよく気が付く。これは二人がそう在ろうとしている形の本当に始まりに過ぎないが、しかしちゃんと一歩を踏み出し始めていた。
そうして二人はああでもない、こうでもないと作戦を立てながらその後二体のゴブリンが現れるまでの一時間を過ごしていた。
始めての評価をしてくださった方もいたようです。
もう感謝しかないですね。
ただ、皆様の期待を裏切らない、そしていい意味で裏切れる作品を作れるかが不安ですね(-_-;)
これからも誰が為にをよろしくお願いします。