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誰が為に  作者: 白亜タタラ
世界の常識と陰謀編
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ギルド登録

 冒険者ギルドは国に属してはいるが、独立した存在である。冒険者ギルドは各地に点在しており、どこの国に所属するのかと問われるとそれぞれのギルドがある街や都市に属すると答えるだろう。しかし、先にも述べたように冒険者ギルドは独立した存在である。これは遥か昔、冒険者ギルド創立の時に各国に宣言した。「冒険者ギルドはこれから各都市に居を構える。そこで魔物の素材採集や、街の発展に協力するような依頼をギルド所属者に依頼として仕事を割り当てる。しかし、我々冒険者ギルドは国の方針には従うが、国の強制的な命令には従わない。我々冒険者ギルドはこれに所属する者の味方であり、我々は『冒険者ギルドという独立した組織である』と。」


 当時はこの宣言に対して各国の王族や貴族たちが猛反発し、冒険者ギルドを潰す案がたくさん出たそうだ。しかし、魔物の被害は当時から深刻であり、冒険者ギルドが出来るまでは魔物に対応できる力ある強者たちは各々で動いて対処していたため、国々は常に魔物被害が続出していた。だが、冒険者ギルドが報酬を払い、力ある者たちへの依頼達成後の報酬を保証をすることで冒険者として登録を促し、取り込んだ。その後は定期的に依頼をこなしてもらうという関係が構築されて、冒険者ギルドのある街や国は魔物被害が激減したのだ。

 そうして貴族たちもあまり大きな声を出せない雰囲気が出来上がり、冒険者ギルドは当初の宣言通り独立した組織として今も運営されている。


 「すみません。冒険者への登録をしたいのですがこの受付で大丈夫ですか?」


 「はい、大丈夫ですよ。私、王都カイナンの冒険者ギルド所属のマリアンナが受付しますね。」


 マリアンナは、というより冒険者ギルドの受付嬢は皆綺麗な女性たちだ。どの受付嬢も10代後半から20代前半の娘しかいない。そして容姿もかなり整っており、この粗野と暴力に満ちている雰囲気漂う職業に華を添えているようだ。


 「お願いします。」


 「ではまず冒険者の説明をさせていただきます。冒険者には下から白、灰、黄、緑、青、赤、銅、銀、金、黒、とランクがあります。このランクはそれぞれの依頼をこなした回数や、達成率、さらに高ランクにふさわしい態度であるかの審査など、ギルドが定めた基準をもとにランクを決定します。皆さんは今回が初回登録なので白ランクになります。ギルドカードを作成しますのでこちらにお名前と得意な技や戦い方、魔法などをご記入ください。」


 カナタたちは自身の能力は極力明かしたくはないと思っている。カナタの経験的に自身の強みは秘しているからこそいざという時に役に立つと思うのだ。そもそも、ネタが割れれば対応も、対策も立てられてしまう確率が増し、その結果仲間を危険に晒すことになるのだから。


 「はい。出来ました。これでいいですか?」


 カナタたちは言われた項目を各自で記入してマリアンナに用紙を渡した。


 「はい。カナタさんにアリスさん、ヤクモさんですね。カナタ(・・・)さんの得意な戦闘方法が魔法(・・)によるもので、アリス(・・・)さんが()による戦闘、ヤクモ(・・・)さんは素手による格闘術(・・・)ですか、お若いのになかなかバランスの良いパーティのようですね。......ああ、今お聞きした戦闘スタイルの情報はギルドから依頼を斡旋する際に目安にするものですので無闇に口外したりはしませんよ。」


 カナタたちの書いた情報は、カナタとアリスは基本の戦闘スタイルを逆にして、カナタが魔法職、アリスが武器を用いた接近戦スタイルになっている。ヤクモはその種族特性からこのスタイルにした。カナタたちはバレて対策されてもいい戦闘スタイルを晒したのだ。アリスとヤクモはこちらの戦闘スタイルでも十分に戦えるし、カナタも新米冒険者と考えるならば申し分ないほどに魔法を使った戦闘ができる。


 「では、皆さんのギルドカードができるまでにギルドの規則の説明をいたしますね。まず、ギルド内では原則として冒険者による暴力行為を禁止しています。先ほどのような野次は目を瞑りますが、それ以外が発覚した場合はギルドランクの降格や、除名処分も有り得ることを理解しておいてください。」


 「うーん、それだと、もし襲われた場合などはどうなりますか?応戦もしてはいけないと?」


 「もちろん、防衛行為は許可しております。常識の範囲で人々に危害を及ぼさないようにと作られた規則ですので。」


 「なるほど、わかりました。」


 その後も細かいギルドのルールについて説明を受けた。


 ・ギルドの依頼は自分のランクの1つ上までしか受けられない。カナタたちは1番下の白ランクなので灰ランクまでの依頼を受けられる。さらにあまり自分より下のランクの依頼は受けないほうがいい。下のランクの依頼は新人に受けさせて、新人を育てることが推奨されているのだ。つまり、自分のランクに合った依頼をこなすことが推奨されているということである。


 ・討伐した魔物の素材やドロップアイテムなどの換金は受付横の買取窓口で行える。他より広く作られたカウンターに素材を乗せて鑑定を行い、報酬を得られるそうだ。ここでカナタたちはネメシアのアイテムボックスは自分たちのものと比べて性能に大きな差があることを知った。


 ・受けた依頼に失敗すると違約金が発生する。過去には破産した人もいたらしい。さらに、ギルドランクにも影響があり、失敗回数が多いとランク降格もあるらしい。


 とりあえず覚えておかなくてはいけないのはこれくらいだろう。


 カナタたちは先ほどの慌てて入ってきた男の依頼についてもマリアンナに聞いてみた。


 「"月下の雫"はこの街から出て北にある山脈、その名も北の山脈と呼ばれる場所に生える薬草です。ただ、北の山脈はその道中の森が強力な幻覚を発生させて人々を惑わすことで有名なんです。運良く無事に帰って来た人だと、森に入った人の1割未満くらいしかいませんし、その他は緑ランク以上の優秀な冒険者たちだけです。なので、今依頼の処理をしていますが、この依頼を受ける冒険者はいない可能性が高いですね。」


 「......あんなに慌てて薬草を求めるってことは緊急で治したい人がいるのか月下の雫でないと治らない人がいるんだろう。うーん。依頼の内容と受ける人の有無にもよるけど、もし誰も受けないようなら俺達でこの依頼を受けようか。」


 カナタのそのセリフにアリスとヤクモはニヤニヤ、ニタニタとカナタを見ていた。なんだかんだ言いながらやさしいことを2人は分かっているのだ。さらにノルンとフィルもカナタの足元で頭をこすりつけてよく言ったとでも言いたげな顔をしていた。


 「ああ、いえ、カナタさんたちはFランクなので今回の依頼は受けられませんよ?」


 「うん!?ああそうか......まあ最悪の場合ギルドを通さないで採って来てあげればいいか。」


 「......そういうことは私たちの耳に入らない所で行って頂きたいんですが。」


 「ああ、すみません。でも、注意してくれるってことは禁止しているわけではないってことですかね?」


 「流石にギルドも個人の行動の全てを束縛したりはしませんよ。そもそも私たち冒険者ギルドは街のお役立ち組織から今の形に変化していったのですから街の方が困っていたらやはり助けてあげたいんですよ。でも冒険者の方が危険な目に遭って怪我などをするのも嫌ですし、そういう危険を減らすためのルールでもあるのでカナタさん達も気を付けてくださいね。」


 受付嬢たちは冒険者ギルドの受付として数多くの人間を見てきた。冒険者になりたての少年少女から年を重ねてしっかりとした経験と実績を積み重ねて上位ランクの冒険者になった人までそれは様々だ。中には冒険者になってから数年で金ランクにまで登った人まで見ている。それらの経験から見た目は年若いカナタたちが見た目の通りの実力ではないことは見抜いていた。

 故に、心配はするが依頼を受けることに関しては口出しをしなかったのだ。普通ならあなた達にはまだ早い依頼だと止めているところだったのだ。


 こうして受付嬢の隠された眼力には全く気付かなかったカナタたちは、丁度依頼の申請を終えた男の方へと歩いていくのだった。



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