ステータスプレート
昼前にネルからステータスプレートと言うこの世界、ネメシアに存在する超技術の塊の話を聞いた。この世界のことを知らないカナタたちは次々に話される情報に感心しきりであった。
ステータスプレートのことを一通り聞いた後は昼食を食べてからこの村の村長の家にカナタとアリス、そしてヤクモの3人分のステータスプレートを貰いに行った。
なんでも従魔にまでプレートを用意する人間はほとんどいないらしい。
カナタたちはステータスプレートを持っていないことを正直に村長に話した。ステータスプレートの所持はネメシアの国の全てが支援しているから話は問題なく進んだ。とはいえ、これまでに一度もステータスプレートを所持したことがないと言う話に村長も流石に訝しんだのだが。
カナタたちはこの場所で自身のステータスを表示する可能性のある行動はできないと考え、宿屋に戻ってからステータスプレートの登録をすることを村長に告げてその場を辞した。
「ああ皆さん。お帰りなさい。」
「ネルちゃん。ただいま。」
「コク」
「うむ。今帰った。」
宿屋へと帰ってきたカナタたちをいつものカウンター席で店番をしていたネルが出迎えた。そして、挨拶を済ませるとヤクモも含めて全員でカナタたちの2人部屋に集まってステータスプレートの登録をする。
「よし。じゃあ俺からやってみよう。」
カナタが指に針を刺してステータスプレートに血を垂らす。血は一滴でいい事もネルから教えられてる。登録は一瞬で終わりそこにはカナタのステータスが表示された。
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ハヤカワ カナタ
【レベル】:103
職業:勇者
【HP】(体力):136
【MP】(魔力):200
【STR】(筋力):182
【END】(耐久力):150
【DEX】(器用):87
【AGI】(速度):190
【LUC】(幸運):30
【従魔】
・ノルン
【スキル】
苦痛耐性:LvMAX
状態異常耐性:Lv7
痛覚鈍化:LvMAX
衝撃耐性:Lv6
魔力消費軽減:Lv4
魔力回復速度上昇:Lv5
腕力上昇:Lv6
剣術:LvMAX
投擲:Lv6
夜目:Lv8
抜刀術:Lv8
刀剣術:Lv7
縮地:Lv6
見切り:LvMAX
纏術:Lv7
気配感知:Lv6
魔力感知:Lv7
威圧:Lv4
頑強:Lv1
火属性魔法:Lv4
水属性魔法:Lv3
風属性魔法:Lv3
氷属性魔法:Lv2
雷属性魔法:Lv1
光属性魔法:Lv4
闇属性魔法:Lv4
高速思考:Lv5
反応速度上昇(中)
物理ダメージ減少(中)
魔法ダメージ減少(中)
身体能力向上(中)
成長速度上昇(小)
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「これは......」
「なるほど。ステータスはこの表示モードの時は誰にでも見えてしまうみたい。」
「血を垂らして登録をしたらこの表示板が出たし、おそらく消すことも......うん。出来るな。どうやら念じればちゃんと反応するようだ。登録者とリンクしているみたいだし、考えに同期して表示のオン、オフが......って、なるほど。お金の支払いもこのシステムが関係してるってことかな。」
「エクストラスキルが表示されていないよ。何か制限が、ある?......神眼スキルならステータスプレートにもエクストラスキルが表示されている!?」
「ワシの目では見えんのう。おそらくその表示はアリスクラスの目でなければ見えんのじゃろう。」
「とはいえ、あの場所で登録しなくて良かったな。勝手に表示されたんじゃあ隠しようもなかった。俺達からするとステータスはアリスに確認してもらって話し合ういつものスタイルの方がいい。」
「基本はステータスの表示はせずに身分証やお財布の役割になりそうね。このネメシアという世界では財布の、つまりステータスプレートのスリはあり得ないらしいから首に掛けておけって言われたっけ。」
「ステータスプレートは登録者にしか使用できず、再登録もできないから1度使用したものはただのプレートの価値しかなく、強奪したことが知れれば国を追われるらしいからのう。価値に対してリスクが釣り合っておらんから盗むような輩はいない、と。」
その後はアリスとヤクモもステータスプレートの登録を行った。アリスのプレートにはカナタと同様にエクストラスキルの表示がされなかった。ヤクモのプレートには人化時のステータスが表示され、エクストラスキルはおろかスキルの表示も表れなかった。アリスの眼でも見えないヤクモのスキルが、もしかしたら表示されるかもしれないという期待を少しはしたのだが、結果はまあ見ての通りだった。
ステータスプレートの登録を終え、表示の設定をオフにした後は宿の代金と約束していた授業料を早速ステータスプレート経由で支払った。
ステータスプレートにお金を入れる方法だが、お金にプレートをかざすだけでまるで魔法のようにーーいや、本当に魔法がある世界なのだがーーその場からお金は消えて収納されるしい。
カナタたちはもしもの時のために10万ケルずつをそれぞれプレートに収納して、残りは今まで通りにアイテムボックスに入れてある。カナタたちがこれまでのダンジョン攻略で手に入れたお金は、今回のプレートに移した30万ケルの消費程度はなんともない位には稼いでいる。さらに、宝箱などから入手した宝石などもあるため、金銭面に関してはそこらの貴族たち以上に裕福であった。
ネメシアにおけるお金の基準は
・一般的な家庭の人が1月で得る収入が10000ケル程度。
・パンや野菜などの値段が50ケル程度もあれば買えるくらい。
・平均的な冒険者が稼ぐ1回の依頼の報酬が安くて1000~5000ケル。
・上位の冒険者への依頼料が10000~無制限。
こう考えると、10万ケルの所持だけでも相当な金額であった。まあ、このような背景があるからこそ一攫千金を夢見て冒険者を目指し、危険なダンジョンに挑む者が後を絶たないのだろう。
翌日からは、取り敢えずの問題も解消されたので、ネルの時間があってお店の邪魔にならない時に一般常識を教えてもらい、それ以外の時間は村の中を見て回ったり、村人とのコミュニケ―ショーンをとって過ごした。
そこまで大きくない村なので村人たちの顔は割とすぐに覚えた。村人たちは最初は見るからに怪しいよそ者のカナタたちに対して警戒をしていたが、そもそもステータスプレートの事を知らなかったというあり得ない話がすぐに村で広がり、その後に村長からステータスプレートを貰ったという事実が知れ渡ったことでこんな無知な奴らが何かをしでかすことはないのでは?という風潮になるまでそんなに時間はかからなかった。その後は宿屋のネルとの関係を見たり、普通に生活をしているところを見たり、時々簡単なお手伝いをしているうちに村の子供たちが接触してくるようになった。
「お前たちを俺の仲間に入れてやる!」
子供たちの中でリーダー的な立場の子なのだろう。少し一緒に遊ぶようになってから数日が経った時に唐突にそう告げられた。カナタたちがこの村に来てから数週間が経過しており、大分この村にも馴染んだ。
「いや。君たちと遊ぶのも楽しかったけれど、俺達もずっとここに居るわけじゃないからな。仲間云々は無理だが、これからも今までのように遊んでくれ。」
「なっ、お前たち居なくなるのかよ!」
「え~。いなくなっちゃヤダ~」
カナタたちの勉強会もかなりの回数を重ね、常識については身についてきたように思う。この村での暮らしもなかなか楽しいのだが、カナタたちは不老の存在だ。接触する機会が増えて、情が湧きすぎてしまうとそれはお互いのためにならない。村人たちが何年か後にカナタたちの容姿が変わらないことで不審に思ったり、それすらも乗り越えて友好的に過ごしていたとしても必ず悲しい別れは来るのだ。
故にカナタたちはもう少しこの場所で暮らした後は、また旅を再開しようという話を既にしていたのだった。
残念ながらこれまで仲の良かった子供たちには少しだけ今までのようにはいかずに距離を置いた接し方をされてしまったが、今回の話はいずれしなければならなかった。その時が速いか遅いかの差でしかないことだが、カナタたちにとって初めてネメシアで出会った人たちであり、良くしてくれた人たちとの別れは考えるだけでも少しだけカナタたちの心情に影を落とした。
しかし、得てして思いもかけない状況というのはこういった時に起こったりするのだった。
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