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誰が為に  作者: 白亜タタラ
世界の常識と陰謀編
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村到着

 そこは土を何年、何10年と長い年月をかけて人が通ることで踏み固められてできた道を進むことで見つけた。外の世界は初めてのカナタたちはこの世界のことを何も知らない。それこそ世間一般では今までいたダンジョンが特別な場所であり、こちらが普通の世界なのである。

 カナタたちは皆、目に映るものすべてに興味津々でキラキラと目を輝かせている。勿論それはこの世界で生きていくのだから常識を知るという意味でもカナタたちはより一層の関心を持ちながら調べている。


 文明レベルは、元の世界換算で中世と言われる年代に近い。アリスもカナタも世界は違うが同じ地球出身であり、2人ともこの年代基準はそれぞれが理解できた。


 世界観はダンジョンで最初に確認したように魔法という能力が存在し、剣やスキルなど、さらにはレベルやステータスという概念が存在するということは理解している。


 カナタたちが辿り着いたそこは壁、というよりは柵により周囲を囲んだ集落であった。柵は人間の体ほどの太さの木々を寄り集めて地面に突き刺すことで固定されている。アリスが眼で確認したところこの柵は木の1本1本が魔法でまとめて接着されており、ただ地面に刺してあるだけではなく、そういった力も用いて地面と固定するようにされているらしい。これらの情報を集落が見えるギリギリの距離、大体50メートルほど離れた地点からこっそりと確認している。


 いきなり現地の人々と接触して無知を晒すよりも、先に得られる情報は集めておきたかった。極端な話、最初の接触に失敗して敵対行動を取られてしまった時に予想以上の強者が居てやられて(・・・・)しまう事だって往々にしてあり得る。さらに言うなら、先ほどの()による監視のような事があったことで警戒心は最大に引き上げている。


 「うーん。土を固めてできた地面に木の柵による防壁。文明レベルは見た感じだと俺らが元居た世界よりだいぶ遅れているようだけれど、魔法や魔物の素材などの要素が加わることで俺たちがいた世界とは違うこの世界独自の歴史を辿っているんだろうな。俺らの元の世界の常識は知識として使うがこの世界の常識は早めに知っておきたいかな。」


 「時間的に今は日が落ちて辺りも暗くなってきた。この時間によそ者の私たちが村に向かうより、朝を待って明るくなってから訪れた方が心理的に受け入れやすいと思う。」


 「アリスの言う通りじゃな。ただでさえ見た目は10もそこそこの子供2人に白銀の毛並みを持つノルンと3つの尾になった尻尾を持つフィルという2匹の従魔たち。そしてワシの見た目は20程度だしのう。明らかにこの時間に魔物の蔓延る街道を歩いているのは怪しいだろうのう。」


 カナタの成長は不老不滅のスキルにより召喚時の時のままで10代前半で固定された。アリスは魔素を取り込んで一時的に体を成長させることはできるが、吸血鬼の100歳程度などまだまだ子供と変わらないし外見上はカナタ同様に召喚時から成長はしていない。

 ヤクモの人化の術はカナタたちと共に行くと決めたので容姿は2人と共にあっても違和感のないようにこの年代の娘に決めた。人化の術は1度その体を決めてしまうと容姿を変更するのは困難になる。初めての時は無から形を構成できるのだが、2度目以降は脳が、そして構成した体の感覚が自身のスキルで出来た体を認識してしまっているので変更し難くなる。

 そしてノルンとフィルは体を小さくしているが、上位種の魔物であることは見る人間が見ればわかってしまうだろうし、容姿も目立ってしまう。今の2匹の姿を見てフェンリルと幻狐だと気づく者は少ないだろうが、見た目はどうしようもない。


 「まあ、アリスの言う通りだろうし、ヤクモの指摘も尤もだな。幸い俺たちは野宿には慣れているし苦もないからそこの木陰で今日は休もうか?」


 「あまり目立つ煮炊きは出来ない。......ご飯はオムライスがいい。』」


 「おぉ!ワシもオムライスでよいぞ。カナタの世界の食べ物はどれも美味くていかんなぁ~。」


 「はいはい。ヤクモもオムライス位でそんなだらしない顔をしない。ノルンたちもそれでいいか?」


 「ガル!」


 「コン!」


 「はいはい。その尻尾の振りを見れば分かったよ。......よし。じゃあいただきます。」


 アイテムボックスに作り溜めてあるオムライスをそれぞれの前に置いていき”いただきます”の掛け声でみんなが食べ始める。

 今日はあまり目立つわけにはいかないのでお風呂は無しで、生活魔法を使って体を綺麗にしてからその日は休んだ。


 現在地などの事は全く分からないが、魔物もいるネメシアでは各町や村を行き来するのはあまり頻繁に行うものではないのかもしれないとカナタは歩きながら考えた。今は初めて発見した村へと向かって歩き出したところだ。だが、昨日見ていた時もそうだが村の入り口らしきところに2人の門番が立っているのだが、村に出入りしている人が1人もいないのだ。

 これは、昨日のアリスやヤクモの話ではないが訪れて来る見ず知らずの者には警戒するのは当然であるように思えた。


 「そこで止まれ!」


 「不自然な行動をした場合は即座に攻撃をする。大人しくしておけ。」


 村に歩いて近づいてくるカナタたちに気が付いた門番は手に持った槍をカナタたちに向けて誰何してくる。ただ、手に持っている槍はボロボロの木に刃を紐を寄り合わせたような縄で括りつけただけの簡素なものだった。カナタたちは敵対の意思は無いと分かりやすく見せるためにその場で足を止め、門番の言葉に首を縦に振る。両者の間には20メートル位の距離があり、少し大きな声で話しかけてくる。


 「貴様らは何者だ!?この村には大したものは何にもねえ。何をしにここに来た!?」


 「俺たちは最近旅を初めて各地を観光して回っている。此処が旅の中で最初に訪れた場所で、何があるのかも分かっていない。ただ少しの観光と、寝る場所を提供してくれたら有難い。勿論俺たちは敵対の意思は無いと宣言しておこう。」


 カナタたちは最初にこのような状況になる事は予想出来ていたため、話す内容もある程度打合せしていた。ただその中で嘘は言わないことにしようと決めていた。自分たちの実力などは勿論無闇に明かしたりはしないが、話す内容には偽りを入れないことが信用を得やすいと考えたのだ。そして、言葉の矛盾から警戒されないようにするために何も知らないことも最初に明かしたのだった。

 門番たちは小声で話し合った後カナタたちを村に入れてくれた。


 「こんな見ず知らずの人間を村に入れてくれてありがとうございます。」


 「ああ。それは良いんだが、そこの魔物はお前たちの従魔か?暴れたりは本当にしないんだろうな?」


 従魔という存在は知っているようだが、目にした経験は無いのかもしれない。ノルンたちはどう見ても可愛いもふもふなのだが村人からすると警戒の対象であるらしい。それも見た目は子供のカナタたちよりも比重は上であることが警戒の仕方で分かった。


 「ノルンとフィルは賢いので勿論暴れたりはしませんよ。ただ、当然のことですが危害を加えられればその限りではないことは明らかにしておきます。俺たちはあなた達と友好的に過ごしたいと考えています。しかし、俺たちに対する警戒は当然のことだと理解していますがあまりに理不尽な行動には関してはこちらも対処させてもらいます。」


 「この村にはそんな常識もねえ奴はいねえ。都会のことはよくわからんが、村の連中は皆助け合って生きている。不当な行いを旅人にすることはねえ。」


 「こちらも不要の軋轢は生みたくないので、自然な関係を取れたらと思います。ただ俺たちはかなり常識知らずなので、知らず知らずのうちにご迷惑をお掛けしていたらすみません。その時は都度注意してくだされば改善しますので。」


 村に入ってからはよそ者が珍しいのか人々がジロジロと視線を向けてくる。ただやはり、ノルンとフィルへの視線が多いのは予想通りだった。


 「村のもんに危害を加えなければ何をして過ごしてもいい。ここが小さいがこの村の宿屋だ。まあ何もない所だが、楽しんでくれや。」


 門番の1人が監視と道案内として宿屋まで先導してくれて、そう時間もかからずに宿屋についた。村の規模はそこまで大きくはないようで数分も歩けば端から端まで辿り着けるほどだ。それこそ田舎の辺境といった感じがする。総人口は100人にも満たないほどだろう。建物は石を積み上げたのか、大きな石をくり抜いたのかはわからないが、石で出来ていることは分かった。これも魔法がある世界だからこその建築技術なのだろう。もしかしたら、土属性の魔法で家をそのまま作り出しているのかもしれない。そんな妄想をしながらカナタたちは案内された宿へと入って行くのだった。



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