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誰が為に  作者: 白亜タタラ
閑話:こうして歯車は狂い始める編
63/108

勇者達の転換日

この話で閑話は終了してまたカナタたちの視点に戻ります。

キャラが増えると管理が難しいー!

作家さんて当たまん中どうなっとるんじゃーーΣ(・□・;)

 法皇国の勇者召喚の魔法でユウタたち勇者が召喚されてから既に1月が経った。ユウタとその友達で固められた勇者パーティー4人組はネテロの指示で法皇国の騎士たちと模擬戦をしたり、街の郊外に出て魔物との初戦闘をこなした。


 初めて見る魔物という名の化け物に最初は恐怖で足がすくんで動けなかったユウタたちだったが、同行していた騎士たちがしっかりとフォローをしながら確実にダメージを与えて弱らせて行った。


 過保護ともいうべき護衛の騎士たちに守られながらトドメだけは譲られたユウタたちはそれでも経験値を獲得して着実にレベルを上げていった。


 「勇者様、あ、あ、握手してください!」


 法皇国の法都カルガンの街を歩けばこうして子供からお年寄りまで握手を求めて近寄ってくる。


 「はい。よろしくね。」


 「きゃー、ありがとうございます!」


 ユウタたちは嫌な顔一つせずに握手に応じて、子供が相手の場合などは頭を撫でてあげたりもするほど住民たちに好意的に接している。


 「私たちの知名度もだいぶ上がってきたわね。最近握手を求められることも増えているし。」


 「街への福祉活動にも参加しているのがいい効果を発揮しているんだろうな。あの日から笑顔を向けられて話しかけられることも増えた。」


 「俺たちは勇者らしくあらねばならないんだから今の状態で満足してはいられないよ!俺たちはもっとレベルを上げて国に貢献していかないといけない!」


 「ユウタはほんと真面目ね。程々にガス抜きしないと体がもたないわよ?」


 「何を言っているんだハルカ。勇者の称号を得た俺はこの国の役に立つことをして勇者らしくあらねばならないんだ。まだまだ気を抜けないぞ!」


 地球にいた頃のユウタは顔もスタイルも良かったこともあり学校では常に周りに誰かがいて、それこそクラスの中心人物的存在だった。そんなユウタはネメシアに召喚され勇者の称号を得たことで一層注目と人気を得て持て囃されている。


 「おうおう、名高い勇者様は人気者だなぁあ!?」


 「ぎゃはっ、今日もいい子ちゃんぶって世のため人のためってかぁ!?よく飽きもせずに続くもんだぜ。」


 しかし、共に召喚された不良たちのグループはユウタたちと対照的に遊び尽くしていた。


 「お前たちはまたこの前とは別の女の人といるのか!?お前たちも俺たちと共にこの国を救うために召喚されたのだからもっと真面目に出来ないのか!」


 不良グループはネテロに言われる訓練には仕方なく参加するがそのほかの時間は用意された食事を食べまくったり、ネテロに言って用意させた女で遊んだりとかなり奔放な振る舞いをしていた。


 「いーんだよ俺らは選ばれた人間なんだから。少し訓練しただけでこの国の騎士たちと同等に打ち合えるくらいになったんだぜぇ?この世界チョロすぎ。」


 「そうそう。最初は魔物とやらに多少ビビっちまったがもう俺たちの敵じゃねぇ!」


 「私はこの両手いっぱいの宝石を眺めていられればなんでもいいしぃ、あんたらみたいに汗かいてまで努力するなんてあり得ないんだけど。」


 「そうだぜ、善行はやりたい奴がやっときゃいいんだ。選ばれた存在である俺たちはこの世界で俺たちのしたいように生きていくさ!」


 「お、まーくん善行なんて難しい言葉よく知ってたな!まあこいつらの言った通り俺たちは与えられた力ぁ使って好きに生きっからよろしくー。」


 不良たちをまとめているサクサが最後に言うことだけ言って不良グループは去って行った。

 言動からも分かるように不良グループの面々は力を与えられたことでこの世界を舐め切っている。


 それでもネテロに言われて最低限の訓練はしているし、魔物との実践も少なからずやらされているのでレベルも上がっている。

 因みにネテロの指示にだけは従う理由は今の好待遇が取り上げれて面倒な仕事を日々するのが面倒だからという利己的な考えからだ。


 元々ステータスの値が召喚された当初から高い彼らの行動を諫められる人間はおらず、ますます調子に乗ってしまっているのが現状だった。


 「まったく!あいつらといいタクト(・・・)といいもう少し自覚を持った行動をしてほしいものだ!」


 タクトは偽りのステータスを周りに見せたことで弱い自分が一緒では足手纏いになるとネテロや法皇に直訴して今では単独行動をしている。召喚された者同士纏まって行動した方がいいと訴えたユウタの意思に沿わない不良グループとタクトに対して苛立ちを感じるユウタだが、少し愚痴をこぼして再度街の散策に戻って行った。





 「なるほど、これが邪神様の加護か。力が漲ってくるぜ!」


 3柱の神が力を送って干渉したことによる影響の1つ目が目覚めてしまった。


 「サクサさんについてこれまで生きてきたけど今日でもう終わりだぜ!ステータスオープン!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 アヤセ コクドウ



 【レベル】:33



  称号:魔戦士



 【HP】(体力):336


 【MP】(魔力):87


 【STR】(筋力):187


 【END】(耐久力):160


 【DEX】(器用):44


 【AGI】(速度):100


 【LUC】(幸運):5



 【エクストラスキル】


 言語理解


 闇の誘い


 魔なる肉体


 一刀闇絶


 【邪神の加護】


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 邪神の加護によって大幅にステータスが上昇し、元々は戦士の称号だったものが”魔戦士”に変わった。魔戦士に変わったことでそのスキルはグレードアップはしているのだが今まで持っていた戦士としてのスキルは全て消えてしまっていた。

 そしてコクドウには邪神から少なからずこの世界の実態についての知識が付与されていた。

 

 知識の中身はこの世界に存在する【13匹の魔物】についてだったり、神によって5つの世界を融合させてこの世界が出来たなど情報は幅広く、しかし浅い知識を得たのだった。


 「とりあえず、この法皇国という国はあんまり長居していい国ではないらしい。俺たちを呼ぶためだけに数100にものぼる人間を殺してるみたいだからな。今は俺たちの力が役に立つから高待遇で迎えられているが、それがいつまで続くかわかんねぇし下手したら最悪の末路(・・・・・)もあり得やがるからな。」


 コクドウは魔戦士になったことで新しく手に入れたスキル、闇の誘いで音もなく影の中に沈んでいった。


 その数時間後に街から帰ってきたサクサたちが王宮の自分たちに与えられている部屋で待っているはずの2人(・・)が居ないことに気づくのだが自分達同様どこか街をぶらついていると考えて気にしなかった。


 その後数日経っても帰ってこない2人をサクサたちは関心から外し再度気にしないことにした。サクサたちは称号のおかげでこの国でも上位の戦闘能力をもつ。そんな2人が害されるはずがないと高を括ってしまったのだ。


 その後サクサたちが居なくなった2人と再び会うことは無いのだがそれを本人たちが知ることはない。




 「なっ、なぁもう1回言って(表示して)くれないか!?」


 1人割り当てられた部屋でタクトは自分のスキル”賢者の原典”に語りかけていた。側から見ればだいぶ怪しい行動だし、頭がおかしくなったと思われても不思議はない光景なのだが、幸いこの部屋にはタクトしかおらず、現在の姿を見られる心配はなかった。


 だが、当のタクトは一応この部屋に1人なのを知っているからこそ賢者の原典に話しかけたのだし、それよりも今は先ほど確認した現象(・・)を確かめることの方が大事だった。


 『はい。スキル賢者の原典のレベルが上がったことにより機能"自我の確立"が解放されました。以降は私がサポートを務めます。』


 広辞苑をさらに増量したような分厚い本の形状をしている賢者の原典が1人でにページがパラパラとめくられていく現象が起きる。

 そして、開かれたページにはタクトの問いかけに応えるような内容が書かれていた。


 「俺のスキルが驚きの進化をした!君はスキルを解除しても大丈夫なのか?いや、スキルの機能なのはわかってるんだが、こう受け答えがスムーズだと不具合とかが心配でな。」


 賢者の原典のスキルが勝手に語りかけることはないが聞かれたことにはしっかりと答えている。その事がより自我を得たことをタクトに印象付けて人に対してするような接し方になってしまったのだ。


 『私に自我はありますが、ご主人様のような人間のそれとは違いそういう機能ですので苦痛や私自身への影響はありません。』


 「うーん...高度なAIみたいなもんなのかな!?君も......そういえば名前は......ないよな。言っても俺のスキルだし。流石に自身のスキルに対してずっと君とかって呼ぶのもなんか違う気がするし...うん。じゃあ”シンラ”とかどうだ?森羅万象からとったんだが」


 『森羅万象とはどういったものですか?私のデータベースにはない言葉です。』


 「ああ、俺の元居た世界の言葉だしな。森羅万象ってのはこの世の全てとかありとあらゆる物とかって意味だったはず。君のその知識量はそれに匹敵してほしいとか、するだろうって期待を込めてみたんだが...嫌かな?」


 『流石にこの世の全ては知れませんが、ご主人様の名付けは素晴らしいと思います!このシンラ、改めてご主人様の役に立てるように努力してまいります!』


 法皇国に召喚された勇者たちはゆっくりとそれぞれが別の思惑で動き出し始めた。召喚者たちをまとめて協力して事に当たりたいユウタが後日消息を絶った2人の事を知るのはまだ先の話。


 そしてこの時に行動を別にしたことが後に大きな出来事に繋がるのだが、ユウタたちが気づくことは勿論なく事の目撃者(・・・)当事者(・・・)となるのだった。



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