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誰が為に  作者: 白亜タタラ
閑話:こうして歯車は狂い始める編
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勇者召還

カナタたちのダンジョン攻略は今回で取り敢えず終了し数話ほど別の視点での話になります。

新キャラは好き勝手に話を展開させる予定なのでお楽しみに。

・・・実は今回の視点切り替えが終わると暫くはまた出てこないことは内緒( ^ω^)

 ネメシアにおいてダンジョンを攻略したパーティーやその個人などを「超越者」と言う意味を込めて【トレイス】と呼ぶ。これは、ダンジョンを攻略した者に与えられる加護の恩恵により、人を超えた力を得たことを表していた。歴代のトレイスには寿命の理を外れたことで自身の国を長い年月をかけて興したり、己が武の道を突き進むために人里を離れて修練をする者など、皆その名を知られた有名人ばかりだが、神々のダンジョンの攻略者は今まで一人として存在しなかった。

 そもそも、神々のダンジョンと一般的なダンジョンの二種類があることすら人々は知らないのだ。


 「そのトレイス達は外の世界に多くいるのか?」


 カナタたちはダンジョンコアと契約したことで他のトレイスのことをコアから聞いた。そしてその時にトレイスという名称も知ったのだ。


 『現在存在するトレイスは50人ほどが確認されています。ただし、私がコア同士の情報をまとめることでダンジョンコアが契約した人間が50ほどであると知れただけであり、外の世界で今も生存しているかはわかりません。』


 「それでも最大で50人ほどと知れたのは大きいね。少なくともそれだけの数の強者がいる訳だもの。警戒しておいて損はないわ。」


 『そうは言われますが、この神々のダンジョンの攻略者である貴方方に匹敵する者はそうそういないと思います。通常ダンジョンと神々のダンジョンではその難易度が圧倒的に違いますから。』


 「まあそれでも、俺たち同様に時間をかけて強くなり続けている可能性もあるんだ。頭の片隅にでも入れておくさ。」


 こうしてカナタたちは自分たち以外の攻略者の情報を知った。これは神々のダンジョンのコアだから知れた情報であり、格の劣る一般的なダンジョンではこうはいかない。


 「さて。じゃあ、そろそろこのダンジョンから出してくれないか?」


 『畏まりました。先ほども申しましたが、契約されたカナタ様とアリス様は心の中で私を呼んでくだされば意志の疎通ができますので、お気軽に話しかけてください。......ではゲートを開きます。』


 そうしてカナタたちは転移してからずっと過ごしてきたダンジョンから外へと繋がるワープゲートに入っていった。


 ーーそして、時は少し巻き戻る。ーー




 法皇国アルガイア


 今まで、ネメシアでは召喚魔法というものは悪魔との契約をするものだったり、低位の魔物を呼び出して使役するもののことを指していた。しかし、アルガイアでは長年異世界から人間を呼び出せないかという研究を行っていた。もちろんこれは他国へと知られれば大問題に繋がるため、極秘裏に行われてきたのである。

 そして本日、50人の高位神官と同じく50人の子供から大人まで、さらには獣人と、ありとあらゆる種族の奴隷(・・)を用いて召喚魔法を行う。


 「では、始めたまえ。」


 当たり前のように、なんの感情もなく告げられた言葉は死刑執行(・・・・)の言葉と同義であった。

 最高位神官長が開始の言葉を告げるとここ、法皇国の"リスタブルグ教会"に集められた高位神官たちが魔法の呪文を唱える。

 今いる"大聖堂の間"はここに集められた100人が思い思いの場所で座っても余裕があるほどに広い。内装は白の壁紙に、白色の灯りが辺りを包み確かに神聖な場所と言える趣になっている。そして、入口から1番遠く、2段ほど高くなったステージのような場所に彼らが崇める御神体の像がでかでかと建っている。

 その像は名を"イラスク神"と呼ばれ、神の名の下に神官が幅をきかせている。

 ちなみに、イラスクという名の神は存在していなかったりする。


 そして、魔法陣がこの広い床一面に広がる。


 「キャーーーーーー!!!」


 「ガガガガァァァァァアアア!!」


 「アァァァァァア!」


 その後は阿鼻叫喚の様相が繰り広げられた。もちろん悶え苦しんでいるのは奴隷たちだ。

 神官たちが行っている魔法は集められた奴隷の魔力を強制的に吸い上げ、さらに足りない分は生命力すら消費させて行う召喚魔法であった。先に述べたようにこの神官たちには奴隷の命などどうでも良く、自分たちの望んだ召喚がなされるか否かしか興味がないのだ。


 そして数分が経った頃、ようやく魔法陣が一際強い輝きを帯びて辺りを赤い光が包み幾何学な文様が浮かんだ。

 この時にはもうすでに奴隷で生きている者は1人もおらず、ある者は口や目から血を流して倒れ、またある者は身体中が裂けて血塗れになったまま絶命していたりとこの魔法の非道さが現れていた。


 光が収まった時、魔法陣の上では10人の人間が立ち尽くし、辺りの様子を窺っていた。


 不思議なのは召喚が終わるとともに生贄にされた奴隷たちの骸も流した血液もきれいさっぱり消えていたのだ。故に召喚された者たちはあの惨状を目撃しなかった。


 「ここは......」


 「裕太っどうなってるの?」


 「おう!てめぇら。俺たちに何しやがった!?」


 「.........」


 召喚されたのは10人。内、5人は同じ服を着ており、その恰好はカナタやアリスが見れば学生服だと分かっただろう。見た感じは、5人とも高校生で上は緩めのシャツにブレザーを着ている。そして男子はズボンを、女子はスカートを履いている。

 その他の5人は皆アロハなシャツを着て、下はところどころ穴の開いたジーパンを履いていた。ことネメシアにおいてはかなり目立つーーアロハシャツは地球でも目立つがーー恰好をした面々が無事に犠牲を要しながら召喚されてしまった。


 「皆さま。ようこそ私たちの呼びかけに応えて召喚に応じてくださいました。我ら法皇国アルガイア一同、皆様を歓迎します。」


 そう言って最高位神官長は柔和な笑みを浮かべて語った。


 「私はこの場を取り仕切り、皆様をここへと導かせていただいたネウロと申します。いきなりの召喚で右も左も分からない状況に不安もあるかと存じますが、我が国が生活は保証しますし、これより大部分の説明はさせていただきます。」


 この場には法皇や皇妃も召喚を見学しており、少し後ろの方で煌びやかな椅子に腰掛けている。

 アルガイアの権力としては法皇を頂点とし、皇妃などの身内が次点で存在する。そしてネウロは上から3番目の権力者である。もちろん公爵位などの貴族もいて少し紛らわしいが、神殿の最高位であるネウロは貴族の中でもトップクラスの権力を持つ公爵たちと同等かそれ以上の発言権があると考えていい。

 それほどにアルガイアでは神を祀る神官は崇められる職なのだ。


 「まず、こちらにおられるのが我が国の皇である法皇様とその奥方の皇妃様です。このたびの勇者召喚(・・・・)を見学してくださっています。さて。皆さまを召喚した理由から話しますと、この世界ネメシアでは魔物と呼ばれる生物が存在し、国民を悩ませています。さらには他国との戦争により我が国は疲弊している。皆さまには我が国を救って頂きたく思い来ていただいたのです。」


 「わっ、私たちは帰れるのでしょうか?」


 「残念ながらそれは出来ません。最近になって漸く召喚の魔法が完成したのです。送還の魔法はまだまだ研究段階なので、申し訳ない。」


 「そんな......」


 「ふざけんじゃねーぞ!勝手に呼んでおいて帰らせねーとかありえねーだろ!」


 「ただ。皆様にも悪いことばかりではありませんぞ?皆様のような転移者は皆、異世界に来る時に強大な力を手にすると文献に書かれていました。衣食住は我が国がなんとか致しますし、その力で私たちを救ってくだされば後は好きに過ごしていただいて構いません。元の世界でどのように過ごされていたのかは存じませんが、不自由はないと思いますよ?」


 「おうおうおう。マー君よ、落ち着きなさいって。見た感じ、そこの奴らも俺っち達が通っていた学校の制服を着てやがる。つまり、呼ばれたのは皆んなが同じ学生であり、俺っち達だけがヤベェ状況ってわけじゃねえ。それに、俺っち達は面白楽しく生きる権利を得たってそこのおっさんが言ってんだ。怒る必要ないっしょ?」


 いきなり告げられる様々な事柄を必死に飲み込もうとする者や、家や家族への郷愁に嘆く者。そして、自分の都合の良いように解釈する者など様々だ。だがネウロは止まることなく説明を進める。


 「皆様にはまず、御自身のステータスを取得して頂きます。ここに用意しました”ステータスプレート”に一滴で良いので血を垂らして頂きます。それにより皆様の個人情報が登録され、能力、すなわちステータスが表示されます。まずはどうぞ。」


 こうして召喚された10人は各々に渡されたステータスプレートに血を垂らす。最初から乗り気の者や、針で指を差して血を垂らすことを怖がる者などいろいろな反応があったが、仲間内で説得や話し合いの末に全員がステータスを取得した。

 どうやらこの10人は男女二人ずつの四人がまず友達同士で、他の男四人と女一人の五人が少し悪い雰囲気を持った仲間のようだ。

 そして、1人だけポツンと無言でいる男が最後の1人である。

 彼も同じ制服を着ていることから同じ学校の生徒であるとは思うが、どうやらそこまでの交流はなかったらしい。


 召喚者達のステータス取得が終わり、漸く話は一歩先へと進み始めるのだった。



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