ダンジョンでの戦闘を終えて
ダンジョンでの話ももうすぐ終わります。ただ、ここを出たからそれでダンジョンとの関係が切れるわけではないのでまた話に出てくることを楽しみにしていただけると嬉しいです。
第100階層でのコーヤとの死闘と呼ぶにふさわしい戦闘は3時間半にも及んでいた。実際、カナタは体が完全に消滅していたし、アリスも吸血鬼の特性の回復能力がなければとっくに殺されていた。ヤクモたちに関してもそれぞれが上位種の存在であり、体が丈夫であったり、幻術で急所を辛くも避けて攻撃させたり急所をギリギリで避けていたりなどこのメンバーでなければ普通に皆死んでいただろう。
あまりにも疲れすぎていた昨日はご飯を食べたり、会話はしていたがそこまで長い時間ではなく、みんなすぐに寝てしまったのだった。
そして本日、昨日の戦闘を振り返ろうという話になったのだった。
「では。やっと、漸く、遂に昨日この迷宮の攻略を無事に成し遂げることができました!」
「「「パチパチパチパチ」」」
「まだ次の階へ続くワープゲートはありますが、戦いが起るのはここまでだとヤクモもコーヤも言っていたので取り敢えず終了という事にします。そこで、一番の苦戦を強いられたコーヤ戦から振り返り、今後に少しでも生かしていければと思います。」
「その意見に反対というわけではないということは分かってほしい、と最初に断ってから言うがこのダンジョンを攻略したお主たちの脅威になるものなんぞ外の世界には本当に居るのかのう?」
「それは分からない。そもそも俺とアリスはこの場所がこの世界に来て最初に降り立った場所でここから出たことなんてないんだから分かるはずが無いんだけれどな。まあそれはともかく、何事にも備えておくのは大事だしな。俺達もまさか異世界に召喚されるなんて思ってなかった訳だしな。」
「あれに関しては神様たちに感謝しているけどこんな場所に送った事には疑問を感じる。それから、私たちが異世界人っていう話をした時のヤクモの反応は面白かった。」
「あの時の空気は今でも思い出せるな。ノルンとフィルは俺達と魔術的に繋がりがあるからそこまで驚いた雰囲気は出していなかったけどヤクモは明らかに動揺していたもんな。」
「あの時のことは話すでない!そもそも、そんな話をいきなりされたワシの身にもなって考えてみよ。ワシはこのダンジョンの一フロアしか知らずに生きてきて、この場所がダンジョンであると知った時ですら大きな混乱に見舞われたのだぞ!外の世界も知らぬワシが異世界などと言われて驚くのは当然じゃろうが!」
カナタたちは自身のことを仲間たちには話していた。仲間内での秘密はあまりしたくはなかったことと、これから長い時間を共に過ごすのならば食文化や行動からどうせいつかは分かると考えたのだ。
「さてじゃあ、話を昨日のことに戻すけれど、みんなはまず昨日何を感じた?」
「じゃあ私から。私はやっぱり魔法の威力は上げておいて良かったと思った。早い段階で私たちの攻撃があまり効かないことと魔法の無効化ができるという情報がわかったことで最後の魔法を決めた。まさか耐性系スキルのレベルが高い私たちにも影響があるスキルまであるとは思わなかったけど。でも、魔法の充実は戦闘の局面を変えられるのを実感できたのは良かった。今後も頑張る。」
「アリスの魔法が無ければ最後はどうなっていたか分からなかったものな。俺の攻撃で仕留めきれれば良かったんだけれど、一歩届かなかった。」
「あの無効化能力はワシらと同様に眼に関係するものだった訳じゃが、最後までよくわからんままじゃったしのう。範囲魔法は有能じゃった。......そういえばカナタは体が完全に消えておったがどうなっていたんじゃ?」
「私も気になってた。どうだったの?」
「あーそれか。......まず、体が消えるとともに痛覚や感覚が全て消えた。でも俺は意識だけはあったから......そうだな、何もできないし見ることもできないけれどそこに俺が存在する事だけは分かるって感じかな?まあ説明は難しいけどそこには居たんだよ。んで、徐々に体の部分部分が再構築されていく中で視力や、指や体が動かせるようになったから気づかれないように気配をできるだけ消してコーヤに迫った。剣は咄嗟に創ったよ。武器も装備も消滅したしな。」
「うーん。話を聞く上ではカナタの機転が大きかったと思うな。脳や目が再構築された時には既に気配を断っていたんだと思うし、普通はそこまで出来ないと思う。」
「そうじゃな。アリスもカナタもあの状況下でよく最適な行動をとれたものじゃと思う。ワシはブレスも体術もあまり役には立たなかったからのう。アリスではないが精進せねば。」
「ぐる!」
「こん!」
「そうね。ノルンたちのダメージをヤクモがその身を盾のすることで耐えていてくれたのは見ていたし十分な戦果だと思う。それに大きな体を活かしての薙ぎ払いの攻撃なんかはコーヤが大きく回避していたから効果は十分にあったと思うよ。」
「ノルンのスピードもフィルの幻術も戦闘の中で戦い方を変えて工夫していたし、対応面としては皆成長できたと思うな。」
カナタたちは当初から作戦を十分に練り、万全を期して戦いに臨んでいた。それは仲間たち皆にも影響して工夫して戦うことが身についていた。今回の戦闘ではそれがいかんなく発揮できたのだった。
「じゃあ恒例のお待ちかね、ステータス確認に行こうか。」
「「ステータスオープン」」
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ハヤカワ カナタ
【レベル】:103
職業:勇者
【HP】(体力):136
【MP】(魔力):200
【STR】(筋力):182
【END】(耐久力):150
【DEX】(器用):87
【AGI】(速度):190
【LUC】(幸運):30
【従魔】
・ノルン
【スキル】
苦痛耐性:LvMAX
状態異常耐性:Lv7
痛覚鈍化:LvMAX
衝撃耐性:Lv6
魔力消費軽減:Lv4
魔力回復速度上昇:Lv5
腕力上昇:Lv6
剣術:LvMAX
投擲:Lv6
夜目:Lv8
抜刀術:Lv8
刀剣術:Lv7
縮地:Lv6
見切り:LvMAX
纏術:Lv7
気配感知:Lv6
魔力感知:Lv7
威圧:Lv4
頑強:Lv1
火属性魔法:Lv4
水属性魔法:Lv3
風属性魔法:Lv3
氷属性魔法:Lv2
雷属性魔法:Lv1
光属性魔法:Lv4
闇属性魔法:Lv4
高速思考:Lv5
反応速度上昇(中)
物理ダメージ減少(中)
魔法ダメージ減少(中)
身体能力向上(中)
成長速度上昇(小)
【エクストラスキル】
異世界言語
アイテムボックス
不老不滅
万物創造
不撓不屈
常在戦場
魔素適応
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アリス・コトノセ
【レベル】:105
職業:吸血姫
【HP】(体力):102
【MP】(魔力):223
【STR】(筋力):98
【END】(耐久力):100
【DEX】(器用):165
【AGI】(速度):161
【LUC】(幸運):40
【従魔】
・フィル
【スキル】
苦痛耐性:Lv9
痛覚鈍化:Lv9
状態異常耐性:Lv9
衝撃耐性:Lv6
魔力消費軽減:LvMAX
魔力回復速度上昇:LvMAX
魔法創作:LvMAX
詠唱術:LvMAX
杖術Lv9
高速思考:LvMAX
見切り:LvMAX
言霊術:Lv6
反応速度上昇(中)
物理ダメージ減少(中)
魔法ダメージ減少(中)
身体能力向上(中)
範囲攻撃時威力上昇(中)
成長速度上昇(小)
【エクストラスキル】
異世界言語
アイテムボックス
神眼
魔法真理
血液貯蔵
常在戦場
魔素適応
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実はカナタたちに発現した職業はどちらもカナタとアリスの専用職だった。カナタの【勇者】はステータス上、人の限界値を超え、仲間を思いながら身を挺した者にのみ与えられる職業だった。アリスの【吸血姫】もステータス上、吸血鬼族がその種の限界値を超え、さらに自分の許容値を超える血液を摂取した者が与えられる職業だった。どちらも専用職であり、同じ職業に就ける者はもう存在しない。そもそも専用職とは、同じ職業は二つとして存在せず、神のシステムが定めた特殊な職業で、今ネメシアに存在する者で専用職に就いているのは十人に満たない。
カナタもアリスもステータスの上昇に加え、新たなスキルやレベルの100越えなど目につくことはいろいろとあった。だが特に気になるのは増えたエクストラスキルだった。二人が手に入れた魔素適応は高濃度の魔素の中でも生存できるというものだった。
本来魔素を体に取り込み続けると人体には何かしらの影響が出る。カナタたちは適度に魔物を倒すためにMPを消費して魔法を使ったり、食べ物を創っていた。そのため魔素が奇跡的に過剰供給にならずに済んでいた。とはいえ二人はその不死性故に生き残ることはできたとは思うが。
常在戦場スキルは長期に渡り常時戦闘態勢の状態を崩さずに生活することで得られる。ただし気を抜いたり完全な無防備状態が続くと今まで溜めてきた期間が無に帰すというなんとも我慢と忍耐がいるスキル取得条件であった。
常在戦場スキルの効果は自分に向けられる敵意や悪意の感知能力の上昇。奇襲や襲撃をされた時の自身の身体能力の上昇である。ダンジョンの中で常に戦いに身を置いていたカナタたちには有難いスキルだった。
そしてカナタが新たに得たのは不撓不屈。何度致死のダメージを受けても立ち上がり、戦い続けた者に得られるスキルだ。このスキルを有しているだけで頑強さがかなり上昇し、身体能力も上昇する効果がある。これはステータスの値にさらに上乗せされるもので、今見えているステータスの数値以上の値をカナタは有していた。そもそも、カナタたちの有する数々のスキルはみなステータスの数値に上乗せされる形で反映するため、実際にカナタたちの強さは今見えているものより数段上なのだ。
アリスに増えた血液貯蔵は吸血鬼種に反映されやすいとされたスキルだった。血液を一定量以上摂取し、自身の糧にした者に与えられるスキルである。大体、エクストラクラスのスキルが発現するには気が遠くなるほどの量を飲んでいないと得られない。そして能力は、摂取した血液の保管である。つまり一般人には全く意味のないスキルである。まあ一般人がこの能力が発現することは取得条件的にあり得ないが。
ともあれ、毎日夕食に血を飲んでいるアリスは定期的に血を摂取し、貯蔵した血を使って回復ができるという事であった。全くアリス向きのスキルである。
二人のスキルにはレベルがMAXまで上昇したモノも増えてきた。100階層の間で得た経験はそれほどまでに濃密で、二人を成長させたのだった。
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