漏れ出る気配
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カナタとノルン、アリスとフィルはそれぞれがしっかりと鍛錬し成長を遂げた。
お互いがお互いを伺えばその離れていた時間にどれだけの努力をし、どれだけの工夫を重ねながら戦ってきたのかを知ることができた。いや、正確には自身がここまで来るまでにしてきたことを重ねて、理解をすることしかできなかったというべきだろう。
故に二人と二匹は言葉を重ねる。
「じゃあ俺のほうの成果から行こうか。」
「ガルゥ!」
離れて探索するようになってからのドロップアイテムやボス部屋でボスを倒して入手したアイテムのお披露目会が始まった。
カナタたちの入手品
・各種魔物の素材×多数
・各種回復アイテム×多数
・花の香水
・瞬神の靴
・軽重力の靴
・赤の籠手
・草の膝当て
・水の小刀
「やっぱり牙とか爪のような魔物の素材はたくさんでるよね。私の方ももう数を数えてないよ。」
「魔物の中ではやはり上位種の個体ほどドロップアイテムは良いものになる傾向があるみたいだな。ただ、魔物ランクで最下級種のゴブリンからドロップするゴブリンの牙と魔物ランク二のヘルドックの牙が、俺たちからしたら全く同じくらい使わないものって分類で同格なんだよな。素材系のアイテムは俺たちしか居ない今の状況じゃあアイテムボックスの肥やしにしかならん。」
「やっぱり、ボスからのドロップは良いものが出るよね。実際、今装備しているものなんて殆どがボスのドロップ品だもの。」
カナタもアリスも自身で装備品の作成を最近はもう行なっていなかった。ボスの部屋で入手できるアイテムの方が性能が良く、わざわざMPを全損させてまでして創っても良いとこ同格で、殆どが性能で劣ってしまうのだ。
「じゃあ私の方の成果を発表します。」
アリスたちの入手品
・各種魔物の素材×多数
・各種回復アイテム×多数
・錆びた直剣
・朽ちた骨短刀
・鋼鉄の盾
・月花の髪飾り
・花香る唐傘
・救命の指輪
・八角の棍棒
「うん。とりあえず性能とか効果は置いておいて、髪飾りはアリスが持っていなよ。あぁ、唐傘もだな。俺の方で手に入れた香水もアリスに渡しておく。」
「まあ、カナタが髪飾りをつけているのはないかな。ありがたく私が使わせてもらうね。」
「では、先生。鑑定のほどよろしくお願いしま〜す。」
「グル〜」
「コ〜ン」
カナタのおふざけで行ったお辞儀にノルンとフィルが続いて頭を下げる。口調もカナタの真似をしているようだ。
「もう!皆んなして遊んでないの!......じゃあ一つずつ視ていくね。」
【花の香水】
薔薇や菊、牡丹などの花の香りがちょうど良く混ぜ合わされた高級な香水。貴族のご婦人達の間で人気の品。ただし、虫系の魔物を惹きつける効果もある。
【瞬神の靴】
移動速度の大幅な上昇効果がある。また、移動に伴う疲労の軽減効果が多少ある。
【軽重力の靴】
靴から足にかかる負荷を重力を軽減することで減らす。移動速度に若干の補正がつく。
【赤の籠手】
赤い籠手。火に対する耐性が少しある。普通に市販されているクラスの剣なら防ぐことができる。
【草の膝当て】
草で編まれた膝当て。防御力はほぼない。天草色の草で編まれた見た目が若い女子の間で人気がある。
【水の小刀】
MPを消費することで、刀身から少量の水が出る小刀。この水は飲むこともできる。また、使用者の腕次第では刀身に水を纏わせることも可能。
「カナタの方のアイテムはこんな感じね。結構常用できるものが出たみたい。」
「そうだな。靴に籠手と装備も徐々に増えてきた。水の小刀なんて、水の確保が困難なところに行く時なんか便利そうだ。」
「まあ、私たちみたいに魔法で水を作り出せる人にはただの小刀なんだけど。」
カナタたちはドロップアイテムを鑑定しながら各々の意見を述べるが、アリスの言う通りに、二人はこと生活に関してはかなり万能な能力を持っている為あまり困らない。
「じゃあ次は私の方のアイテムを視ていくね。」
【錆びた直剣】
その刀身が錆びてしまった直剣。あまり使い道がない。
【朽ちた骨短刀】
朽ちてしまって、もはや何の骨で作られたかわからない短刀。あまり使い道がない。
【鋼鉄の盾】
鋼鉄でできた盾。かなりの重量だが、使いこなすことができればそれ相応の堅牢さを誇る。
【月花の髪飾り】
月の光で花を咲かせると言う伝説が残っているムーンドロップ草の花をモチーフにした髪飾り。即死効果のある攻撃を三十%の確率で防ぐことができる。
【花香る唐傘】
傘を開くと花の香りが優しく届く、お洒落アイテム。
【救命の指輪】
所持者の死亡を一度だけ無かったことにできる指輪。効果起動後にこの指輪は崩壊する。
【八角の棍棒】
八角形の形をした棍棒。持ち難く、使い辛いが敵の武器を一定の確率で破壊する効果をもつ。
「アリスの方も上々の成果だな。服とかの装備に関しては機能面もそうだが、俺たちは過ごしやすさ重視だから普段はこの私服姿に変化はないな。でも装飾品のアイテムは大分変化した。」
「魔法の効果の付与された指輪とかは、使用者の指サイズに勝手に調整されるし、嵌めている感覚も日常生活も普段通りだしで、身につけない理由がないもの。」
カナタたちの装備はTシャツにズボンという、少し前と変わらない格好をしている。しかし、その指には指輪をして、髪には簪の形をした月花の髪飾りがアリスの頭上に輝いている。それに籠手や靴などのこのダンジョンで手に入れたアイテムが装着されている。
二人のステータスは指輪の効果や装備の効果が反映されて少なからず上昇している。指輪も今までの階層で入手した数個が各指に嵌っている。指輪の効果は各指一つずつ、十個まで反映される。
「俺たちの格好も、少しづつ洗練されてきていると言って良いのかな?入手アイテムで各種ステータスの強化を図るのはゲームの基本とはいえ、傍目からするとなかなか目立つ格好な気がするよ。」
「まぁ、今はここに私たちしか居ないし良いんじゃない?」
「それもそうだな。それに装備の効果を身をもって感じてしまうとこの状態を手放しにくいよ。」
ステータスの上がった体に慣れてしまうと、やはりその性能は魅力的であった。
しかし、離れていた今迄のことを話しているこの状況は次の瞬間には一変した。
「「ッ!」」
一瞬。本当に一瞬でこの50階層全てを包み込むほどの強大な魔力と殺気が放たれた。
二人は会話をしていた時とは打って変わり、即座に背中合わせで腰を浮かせ、周囲を窺う。手にはすでに刀と杖が握られ、二人が纏う雰囲気も本気モードというべき張り詰めた結界のようにピリピリと周囲に伝播していく。
「グルルルルゥ」
「クゥゥゥウウ」
ノルンとフィルも最上位魔物のフェンリルと幻狐としての反応と気配を剥き出しにして周囲を警戒する。
「アリス、敵は?俺たちがここに来てから、この空間における生物は気配感知で存在していないと思っていたんだがどうなっている?」
「何もいない!私の眼には生物は映らない。この気配は恐らくボスが発しているんだと思う。」
「ここまでの階層から推測できるのは、ボスはボス部屋から出ることはできない。そして敵がその部屋に入るとその者を認識して行動する。前の階層ではその気配が部屋から漏れて察知出来ることもあったが、今回は違う。明らかに俺たちに向けて殺気を放ち、気配を滾らせていやがる。」
「ボス部屋に居ながら私たちを認識でき、干渉できる。今までのルールそのものが適用されていないのか、適用されていて尚これほどのことができるのか。後者ならちょっと、覚悟を決めないといけない。」
今までのボスも一筋縄では倒せず、全力を賭して戦ってきた。だが今回はそれらを凌ぐほどの戦いになることは容易に想像できる。
「はぁ〜。とりあえず、このままの状態なら今の状況が変わることはないみたいだ。ボスもこっちに来ることは無いみたいだしな。......どうする?上に引き返してもう少し実力を上げてから臨むか?」
[.............いや、このまま行こう。引き返してもいたずらに時間がかかるだけだと思うし、敵の強さが圧倒的だから戦いながら視ていこう。]
「そうか。いや、そうだな。俺たちらしく実践の中で勝機を見出していこう。今回はノルンたちは紋章に戻ってもらうこともあるから、そのつもりでいてくれ。」
致死ダメージを受けても、即死でなければ召喚獣であるノルンたちは紋章の中で回復できる。さらに、幻獣種の二匹は尚のこと死ににくい。たが今回は一歩、いや半歩でも間違えたら即、死が待っている。故にカナタは二匹のオトモに先に断りを入れておく。
こうしてカナタたちは足をボス部屋の扉の方に向けて歩き出したのだった。
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