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誰が為に  作者: 白亜タタラ
ダンジョン攻略編
37/108

探索者と冒険者

 第15階層、廃墟エリア


 カナタたちのいる迷 宮(ダンジョン)において、宝箱とは”人々を魅了しダンジョン内部へと誘うために用意された罠である”とされる。

 これが、ネメシアに住まう人々が最初に宝箱に抱く考えであり、一般常識である。しかし、その宝箱から得られるお宝の誘惑に自分なら大丈夫と、ここに眠る宝は俺のものだと、そうした人の業が一人、また一人とダンジョンへ足を向けさせる。

 そして、そうした宝を求めてダンジョンへ潜り探索する人々を”探索者”と呼んでいる。


 ネメシアにおいて、ギルドに加入することによりそこで受けられるクエストという、所謂人々からの依頼を仕事として受ける者たちが居る。そういった者たちを”冒険者”と呼び、そのクエスト内容は人探しのようなボランティアじみたモノから、周辺に現れた魔物の討伐など、多種多様に存在する。

 そして冒険者にはそれぞれランクが存在し、下から白、灰、黄、緑、青、赤、銅、銀、金、黒というランク分けになっている。その中で、白~黄までを新人(ルーキー)、緑~赤までが中堅(ミドル)、銅より上は上位者(ベテラン)と呼ばれている。

 最も数が多いのは中堅層であり、そして最も依頼における割合が多いのもこの層になる。依頼人からしても、経験豊富でありランクに裏付けされた実力があることが分かるのだから、そこが頼りにされるのは当たり前といえるだろう。


 そして、新人層は簡単な依頼をこなす、つまり町の便利屋のようなポジションである。中には自分の力量を過剰評価して勝手に消えていく、一番入れ替わりの激しいクラスともいえる。勿論、本当に実力があり、上のクラスに一足飛びで駆け上がる者も中には存在している。

 そういった者たちが居るから、死の危険があるのにも関わらず冒険者に憧れ、目指す若者が多くいるというのが現状である。


 最後に、上位者(・・・)層だ。このクラスだけはベテランという呼び方のほかに、そのランクによって呼び名が存在する。

 まず銅、銀、金クラスだが、それぞれ、ブロンズ、シルバー、ゴールドと呼ばれることが多い。つまり銅ランクの冒険者ならブロンズクラス、などと呼ばれている。

 そして黒クラスだが、これはまた例外でこのクラスに関しては個人名(名称)が呼ばれることが多い。

 例えば、数年前に国家間の戦争においてその活躍が評価されて黒ランクに名を挙げたものは、その有する武器が紫紺の弓であることから【紫弓】と言われている。

 黒ランクの冒険者にはいろいろと特権が存在し、そしてここまで上り詰めることができる者はごく一握りしかいない。現在確認されている黒ランクの冒険者も両手両足の指程度で足りるほどの数しかいない。


 そして上位者と銘打たれたこのランク帯は、その名の通り戦闘、生産、商業など、何かしら一般人から逸脱したようなスキルや能力を有している者が殆どであることからこの名がつけられた。つまり、人としてもスキル的に見ても上位者(・・・)なのだ


 さて、ここまでが冒険者のランクの全てであるかというと、実はそうではない。いや、正確に表するなら、そうとは言えないと表すべきだ。

 冒険者のランクにはもう一つ上が存在する。それが、”朱”である。朱ランクが存在するのに黒ランクまでしか表されないのにはしっかりと訳があり、そしてこれが当の冒険者ギルドも頭を悩ます種である。


 朱ランクの冒険者は全てがパーティ(・・・・)ではなく、ソロ(・・)の者たちである。そしてその数は現在、三人しか存在しない。

 そして、朱ランクの者たちの持つ特権は、その個人が一つの国と同等の存在として扱われるというものである。

 朱ランクへの認定条件は、その存在の脅威度である。その者が有する武力、財力、知力など、あらゆる力において、どれか一つでも国を脅かすと判断された者がこのランクに強制的(・・・)につかされるのだ。そしてそれが危険だと合計五つの国が認定した場合にこのランクが決定されるという仕組みになっている。


 そしてそんな危険な者たちをも従わせる強制力は冒険者ギルド、ギルド総マスターが持つ契約スキルによるものである。このスキルは普段は大したものではない。ただ一点、”ギルドに加入したもので、その力が国により危険と認定されたものは然るべき措置を行う”。この一文が書かれた契約書をギルドに入会するときに書かされている。

 そして、ギルド総マスターのスキルはギルドにおける契約の強制執行権である。

 これは効力が断定的であり、普段は何の効果もないが、事ギルドでのことに関しては最高レベルの権限がある。そしてこのスキルも、未だかつて抗えたものは存在していない代物なのだ。


 ところで、探索者と冒険者は何が違うのかというと、冒険者も依頼を受ければダンジョンに潜ることもしばしばある。しかし、探索者は基本的にダンジョンでの仕事しか受けないという程度の違いだ。

 ダンジョンで倒した魔物のドロップアイテムを冒険者ギルドで換金したり、お宝を見つけてその金で富豪になったりと内容は似ているが、まぁ、ダンジョン専門の冒険者というのが一番近いかもしれない。


 11階層で宝箱を見つけてからは、カナタたちの階層探索は今までより更に速度を落とし、丁寧に隅々まで調べて回るようになった。勿論、カナタのゲーム知識による宝箱からは何れ良い物が出るだろうという予想と、宝箱を開ける時のワクワク感が楽しいという純粋な欲求によりこのような行動方針になった。


 そして現在、15階層に漸く降りてくることができた。


 11階層からここまで、全てのエリアが廃墟で、建物内には古ぼけた食器や家財道具などがあったが、二人は特に何か必要なものがあるわけでもないので、建物は夜に宿泊するためだけに用いて、後は基本的にダラダラと探索を続けてきた。

 朝はアリスの魔法により動けなくなったアンデットを倒し、昼はその日に泊まる家を探しながらもこのエリアの探索を同時進行で進めてきた。


 今までと異なることが起きたのは13階層からで、昼間でもアンデットが廃墟の街に存在したのだ。これまでは夜に姿を現すことはあったが、昼間に平然と闊歩していることはなかった。

 アンデットたちは階層が深くなるほどに多少なりともその戦闘力も上昇していたが、それはここまでに出現してきた魔物たちも同様だったため、特筆するべきことはないだろう。


 15階層までの間に見つけた宝箱はなんと、三つもあった。


 「これだけ宝箱があったわけだけど、これって多いのかな?いや、前に考えた仮設通りだとするなら10階層より先に到達した人がかなり少ないとかか?」


 「うーん。これがお宝であるという可能性を秘めていると考えるなら多い方なんじゃないかな?それにカナタの言った通り、ここまで来た人っていないのかも。」


 ここまでで見つけた宝箱では以下のものが入手できた。


 ・鉄製の直剣

 ・宝石などが埋め込まれた金色の手鏡

 ・50000ケル


 五万ケルはきっちり二万五千ケルずつ分けた。手鏡は勿論アリスにカナタが譲り、その代わりにとアリスが鉄製の剣をカナタに渡した。こうして、特にアイテムの分配などで揉めることもなく、しかし、入手アイテムに関しては、あまりアタリと言えるものは手に入らなかった。


 当然アリスも女の子なので宝石の美しさに目を輝かせもするし、身だしなみを整えるための鏡は重宝した。しかし、ネメシアに来てからのアリスは一番に身の安全と今ではカナタのことを気にすることを何よりも優先しているため、自ずと優先度的にそういったものが疎かになりがちであった。

 カナタはその辺のことに勿論気が付いているのだが、今のこの状況では残念ながら自身が強くなってアリスが受ける痛みや辛いことを減らす事位しかしてあげられないでいた。

 ネメシアという世界では少なからず、アリスにも実力をつけてもらわなければならないという現実に心苦しく感じているが、後のことを考えると今はこの選択をとることがアリスのためになると思うので、この選択を貫いている。


 こうして15階層、今まで通りなら、ボスの部屋があるこの階層に二人は慎重に足を踏み入れていくのだった。



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