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誰が為に  作者: 白亜タタラ
ダンジョン攻略編
36/108

宝箱

 第11階層、廃墟エリア、夜


 「はい。お待たせ。今夜は、煮込みハンバーグにしました!ソースはデミグラスに前の階層で取れた木の実をすり潰して入れてある。それに隠し味で少しコーヒーを加えてみました。」


 「パチパチパチパチ!」


 「野菜は、温ブロッコリーと温ニンジンを付け合わせにしてある。これも多少塩味はつけてあるけど、ソースをつけて食べてみて。」


 こうして晩御飯を机に並べていき、二人はそれぞれ向かい合う位置で席に着いた。

 現在二人が居るのは、11階層の廃墟街の中に建っている一軒の家だ。この家はその中でも比較的綺麗で、机や照明などがまだ生きていて使えるというのがこの家を選んだ理由である。また、この家は一軒家で、その広さもカナタとアリスの二人といわずに、何なら四人でも快適......かどうかはわからないが、広さ的には何の問題もなく生活ができるだけの面積を有していた。


 「「いただきます!」」


 こうして二人の晩御飯は始まった。


 「......!おいしいー!!お肉も柔らかくてジューシーだし、このタレがご飯にすごく合う。......!野菜も美味しいっ。これは、素晴らしいですぅ~。」


 「ははっ。アリスに大絶賛されると作ってよかったってすごく思えるよ。......おおー。我ながら美味い。白飯が進む。」


 二人の夕食は和やかにそして賑やかに過ぎていき、本日も大満足で終えることができた。しかし問題はここからで、入浴、そして睡眠がこれからの予定だが、この廃墟エリアにおいて夜は、出て(・・)しまう可能性があるのだ。


 「今日は、生活魔法で済ます?綺麗にはなるし、俺たちの気持ちの問題なんだから、この廃墟エリアを抜けるまでは風呂なしでも俺は大丈夫だけど?」


 「......シャワー浴びたい。お風呂入りたい。」


 「そういえば、ハングベアー戦でレベルが上がって以降結界の魔法って使ってなかったな。今のアリスの実力でならどれ位の間効果を持続させられるんだ?」


 「そういえば......たぶん、今からなら朝くらいまでは持つと思うけど。」


 「そうか。なら、取り敢えず先に俺がお風呂に行ってくるよ。その後からならアリスは結界を張ってからお風呂に入れば少しは安心できるだろ?」


 「カナタっ!......それで行こう。ありがとう!」


 カナタも水魔法と火魔法を使うことができるようになった事で、今まではアリスが行っていたシャワー用の魔法が自分でもできるようになったのだ。

 そして、いくらアリスが強くなったとはいえ、お風呂でシャワーを浴びている背後などからゾンビなどのアンデットが襲ってくるなど女の子にはただただ恐怖でしかない。いや、男女とか関係なく恐ろしいだろう。


 こうして、先に入ったカナタの入浴時は無事何事も起こらず、そしてアリスの強力な魔法による結界によりアリスの入浴時も何事も起こらなかった。

 いや、起ってはいた。アリスの入浴時に結界に掛かり、動けなくなったスケルトンが家の周囲に数体現れたのだ。しかし、カナタもアリスももう外には出ないためそれに気づくことはなかった。

 因みに、アリスの魔法による結界は、内部に存在する魔素を消費し維持にも充てているため、この中には魔物はポップすることができないようになっている。


 アリスの結界により、なんの問題も起こらずに快眠できた二人は無事に朝を迎えた。

 

 しかしそれは、屋内だけの事でありこの家の外周部は凄いことになっていた。


 「うん。わかっていたよ。前の階層でもそうだったし。うん......しかし、アンデット系は見た目がエグイ分、迫力が倍くらいに増して見えるな。」


 「気持ち悪い!ただただ気持ち悪い!でも、アンデットって太陽光に当たっても消えるわけではないんだね。朝になっても私の拘束系の結界に捉えられて動けない状態だけどそのまま残ってるもん。これはいいことを知れた気がする。」


 その後、家の周囲に集まって結界の効果により動けないゾンビやスケルトンたちアンデットの群れ、その数なんと百体ほどを倒していった。

 アリスはアンデットの弱点である光魔法でサクサクと倒していく。


 「”光玉”、”光矢”」


 アリスの周りには光の玉と光の矢がいくつも浮かび、近くに居る敵から順次攻撃されて倒されていった。そしてアリスの生み出す光の玉と光の矢は消費したモノから更に付近の魔素を取り込み、形を再構築されていき、また出現する。


 カナタは、華月を振るいながら周囲の敵を切り倒していく。そして、使えるようになった魔法も用いて殲滅速度を上げていく。


 「”光斬”」


 カナタの魔法は勿論、ファイヤーボールなども使用できるが、最近は刀に魔法を纏わせてそれを放つ遠距離攻撃をよく使っている。


 そして、朝一から百体ほどのアンデットを倒すという大仕事を一時間ほどかけて終わらせた。相手は動けないので難しい事ではなかったが、何分その数が多すぎて時間だけが過ぎてしまっていた。


 「ふう。この調子なら日中はその日に泊まる家を探して、夜にアリスの魔法でアンデットを捉えて行った方が敵を倒していきやすいかな?この魔素の飽和状態を解いてから下へ向かうゲートを探すとか。」


 「なんだかんだで集まったアンデットを倒すのにも時間がかかってもうすぐお昼だし、カナタの案でいいんじゃないかな。それに動けない相手とはいっても、行動できないわけではないから反撃は常時注意しないといけないし、戦闘面、効率面共にいいんじゃないかと思うよ。」


 「じゃあ、これからゆっくりと次の宿泊場所探しに行こう。」


 こうしてカナタたちのこの層の探索は今まで以上にゆっくりと進み、そして数多くのアンデットたちを倒していった。

 そして、それ(・・)は唐突に発見することができた。


 「これ(・・)もあったか。しかしそうなると、ここから先は更によく探索して調べていかないといけないな。」


 「ねえカナタ。この宝箱(・・)って何?というか、なんでこんなところにあるの?」


 「ああそうか。まだアリスには話したことはなかったな。ダンジョンっていうのは人々をその内部に誘き寄せるために宝を内部に出現させることがあるんだ。その宝の形が宝箱であり、その中に宝が入っていたりする。と、俺が居た地球ではそういう物語が数多く有って、そう書き記されているんだ。」


 「なるほど。確かにこんな危険な場所に何のメリットもなく入っていくもの好きな人なんて数が知れているもんね。」


 「ただ、宝箱にもアタリとハズレがあって、中身が金銀財宝とか、高性能な装備の場合はアタリだし、逆に回復ポーション一個なんてのはハズレの部類だったりする。」


 「うわー。回復ポーションなんて、ここまでで襲ってきた魔物からドロップするものだし、期待した分だけその落差が大きいと精神的ダメージは大きいわね。勿論当たりの宝箱なら人生勝ち組なんだろうけれど。」


 「いや。それだけじゃないんだ。実は、宝箱に擬態するモンスターでミミックって呼ばれる奴もいるんだ。そいつは、宝箱の蓋が口になっていて宝箱を開けた人間をそのまま開いた口に取り込んで捕食するんだ。しかもこいつはなかなか強い部類のモンスターでもはや、ハズレとかではなく災厄といってもいいレベルの相手という認識だった。」


 『......宝箱に化けるなんて油断も隙も無いわね。しかも、宝箱なんて見つけたら誰しも気が緩むのが自然なものだし、前情報がなければそんなの災厄の名は妥当だと思うわ。』


 カナタたちが見つけたのは、二人の膝ほどの高さまでの大きさがある宝箱だった。その色は茶色で、所謂the宝箱という見た目だった。


 「......!鍵穴はあるけれど、これ普通に開くぞ?どうする。このまま開けていい?」


 「ちょっと待って!.........今神眼スキルで視てみたけれど何も見えない。つまりカナタの説明通りダンジョン産の何か特殊な物質でできたモノみたい。このまま神眼スキルは起動した状態でいるから開けていいよ。勿論カナタ自身も十分注意はして。」


 「......とりあえず少し開いてみたけど、襲われないからミミックではなかったな。じゃあこのまま開けるぞ!」


 そうして、宝箱に入っていたモノは一本の小瓶だった。


 「これは......見事にフラグ回収ということか?」


 「......かっ、カナタ!それ、”エリクシル”って名前なんだけど、瀕死の状態の人でも元気に走り回れるほどの回復効果があるらしい!アイテムランク7(・・・・・・・・)のレアアイテムだよ!」


 「!!!。フラグはしっかり圧し折られているパターンだったか。しかしこれがエリクシル。エリクサーのさらに上のアイテム。......問題は俺たちは回復能力が高いから、もうこれの出番は当分来ないことだな。」


 ネメシアにおいてアイテムにも等級が存在する。例えば、回復ポーションなどはランク1のアイテムであり、欲しければ購入することなどで入手することができる。しかし、エリクシルなどアイテムランクが上昇するにつれて入手難易度も上がり、手に入り難くなっていく。因みに、等級は最高で10まで存在し、そのランクのアイテムは世界に一つしか存在しないものだったりする。エリクシルのランク7というのはかなり珍しく、入手もし難い。その入手方法は、カナタたちのようにダンジョンで見つかる宝箱からの入手だったり、最高レベルの錬金術師が貴重な高ランクアイテムを集めて調合することで作り出すことができるかもしれないというレベルの入手難易度である。


 「このエリクシルって光を当てても全く反射しないほどに黒いんだけど......大丈夫なの?」


 「アリスが持っているかい?一応不死性は俺の方が高いから念の為ってことで。」


 「......ありがと、預かっておく(・・・・・・)。」


 こうしてエリクシルはアリスが持っていることになり、カナタたちの初宝箱開封会は幕を閉じた。しかし、初めての入手アイテムがエリクシルというのは、かなり運のいい結果だった。とはいえ、カナタたちにはもしもに備えたアイテムボックスの肥やしでしかなく現在では大した使用方法は思いつかなかった。


 カナタたちは、エリクシル入手という幸運なイベントの興奮冷めやらない状態で少しだけいつもよりペース速めで、さらにこの階層の探索を進めていくのだった。



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