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誰が為に  作者: 白亜タタラ
ダンジョン攻略編
35/108

転移ゲート

 第10階層では修行などのやることも終わり、ついに次の階層へ降りることを決めた。修行に一日を費やした日から既に二日が経ち、一日目はその疲れからダラダラと一日を使い、二日目は美味しいものを作って堪能したりなど、充実した日々を過ごしていた。そして本日、支度を整えた二人は下の階層へと降りるためにそれ(・・)の前に集まった。


 今までの階層間の移動はそれぞれ下へ向かう階段があり、それを下ってきていた。しかしこの第10階層ではその階段が見つからず、そしてここでは”光る輪--サークルーー”のようなものが直径二メートルほどの円形をした輪が地面に描かれていたのだ。


 カナタのゲーム知識により、これが転移のゲートのようなものではないかと予想して今、下の階層に行くためにここに来ているのであった。というより、今回の階層では他に階段や下に降りられそうな装置もなくこれがもし予想と違った場合カナタたちはなかなかに詰んだ状況になってしまうのだが。


 そして、二人はそのサークルに足を踏み入れた。


 「「......っ!」」


 直後、二人の脳内に直接文字が浮かび上がるというこれまでに経験したことのない現象が起きた。二人は一瞬身構えるが、浮かび上がる文字を確認した時にその警戒を解いた。

 脳に浮かび上がった文字はこのようになっていた。


 行きたい階層を選択してください。

 1. ←

 2.

 3.

 .

 . 

 .

 11.


 「......つまりこれは、俺らの予想が当たっていたってことだな。この光の輪は階層間を行き来できるワープゲートって認識で良いってことだよな。これはかなり便利だな。」


 「これがあれば、ボスのリポップなんかも調べに行くのが楽になりそう。でも、表示される階層は私たちが行ったことがある階層しか出てこないから、今後も階層を進んで行くことで増えていくってことだね。」

 

 二人は初めての経験に対してそれぞれ感想と考察を述べながら11階層への転移を実行した。

 11階層への選択は脳内で行きたい階層を表示された指示に従って思い描くだけで実行できた。


 そして、階層間を転移して来た二人が見たものは辺り一面に広がる廃墟の街だった。

 

 「またこの感じか。という事は夜も気を抜けないってことだよな。夜はアリスの魔法にまた頼ることになりそうだ。」


 「任せといて。とりあえず、この街を調べてみよう。」


 上の階層で既に廃墟の街エリアは経験済みの二人は、すぐに方針を決めるとともに、この階層の街を調べ始めた。

 

 「どうする?二人で別々に探索する?それとも一緒に行く?」


 「街エリアなら出てくる魔物も小型とか、人型が多いだろうから二人別々でも対処できると思うよ。効率的に今回は別れて行こうか。」


 こうして二人は別々に、カナタは右方向に、アリスは真っ直ぐ進んで探索して行った。

 この廃墟では、今のところ恒例のゴブリンさんたちには遭遇していなかった。


 「なるほど。今まではゴブリンだけはあんなに山ほど出てきていたのに、それと双極をなすお前たちが居ないと思ったら、ここにいたのか。」


 (なるほど。カナタが言ってた雑魚敵の定番は、こんなところに居たのね。でも、こうして実際に目にしてみるとスライム(・・・・)って丸くてツルツルしていて可愛いと思うんだけれど。)


 二人は別々の場所でスライムと遭遇し、それぞれで感想を述べていた。しかし、勿論スライムが返答するわけでもなく、虚しくその声は廃墟の家々に吸収されていった。

 カナタの方には七匹のスライムが、アリスの方には四匹のスライムがそれぞれ現れた。


 カナタたちの前に現れたスライムは体の色が水色というか空色であり、その形は所謂ゲームでよく見るスライムそのままであった。サイズ感はその体高が、三十センチほどで今までの階層で魔物を倒してきた経験のある二人からすればなんとも可愛らしいという、魔物に抱くには不適切な感情を抱いてしまうような見た目をしていた。


 しかし


 「ぐはっ!......こっ、こいつ。」


 (えっ!?......)


 スライムは、その全身をバネのように使い唐突にタックルを行ってきた。力を溜める動作も、その弾力のある体内をうまく使うことで見た目上は予備動作すらないタックルを行ってきたのだ。

 カナタはいきなりの攻撃に対してモロに腹部へタックルを食らい、その衝撃で数歩後退させられた。アリスは、咄嗟に神眼スキルを使うことでなんとか回避することができた。


 そして二人の纏う空気は先ほどまでのスライム可愛いだとか、雑魚敵だとかいう認識のものとは打って変わり、ピリピリと辺りに伝播するのではないかというほどの圧力を持ち始める。

 カナタは、華月をアイテムボックスから取り出し、油断なくその腰に下げる。アリスも杖を取り出し、臨戦態勢を整えた。

 二人がそれぞれ別の場所で構えをとった時、スライムたちも攻撃を開始した。


 スライムの攻撃はタックルしかないのか、その場にいる個体たちが全員間髪入れずにぶつかってくる。アリスの方は、神眼スキルを瞬間瞬間で発動することで回避と共にその攻撃について威力、スピード、その射程範囲などを視て(・・)検証及び、学習していく。

 カナタの方は躱せるだけの隙間がある場合は躱し、それが敵わないような複数同時攻撃の場合は、もう開き直ってその身を盾に歯を喰いしばって耐えた。そして、カナタは一匹一匹避けながらすれ違いざまに華月で切りつけ、攻撃を受けた時にはお返しにとまた華月を振るってその数を減らしていった。

 残りのスライムが一~二匹にまで減ってしまえばカナタにはもうその攻撃が当たることはなく、一方的に戦いは終了した。

 アリスの方もカナタから遅れること数分後に、すべてのスライムを倒し終わった。アリスの方はダメージを食らうこともなく、また、スライムのことに関してもある程度は調べることができた。

 アリスに関しては、広範囲魔法を一発放てばこのあたりに居るスライムなど有無を言わせずに倒しきることができるのだが、この未知の場所に対しての破壊行動はどんなトラップを巻き込んで発動させるかなどの危険や、戦闘経験という実践を積むチャンスを減らさないために地道に敵を倒していく。

 

 そうして、数時間後にアリスがカナタを探して合流した。大体初めての階層探索はこのように、アリスがある程度時間が経過したらカナタを探して合流するという流れである。


 「おう、アリスお疲れ。どうだった?」


 「こっちはスライムが沢山いた。青いやつ。見た目は可愛いのに、みんなしてぶつかってくるから一匹ずつ燃やして倒したよ。」


 「やっぱりそっちにもスライムが居たか。スライムって、体が柔らかいから打撃が通りにくいし、斬撃も何回か切ってダメージを蓄積させないと倒せなかったよ。」


 「スライムは炎攻撃がよく効くみたい。雷はその表面から地面に流れて行っているみたいで効かなかったし、氷はただ固まるだけで、氷が解けたらまた動き出した。土属性はカナタと同じで物理ダメージだから効果はあるけれどHPを削りきるまで何回か当てないといけない。でも炎は一発当てるだけでその体が燃え上がって簡単に倒せたよ。』


 「スライムって水っぽい感じがあるから雷とか効くかと思ったけれど違うんだな。よく燃えるって酸素とかが関係しているのか?......その体構造がよく分からんな。まあ何はともあれ、スライムはそこまでの脅威ではないこともわかった。何発かモロにタックルを食らったけど、そこまでHPも減らなかったし、攻撃パターンももうなんとなくは掴めた。」


 「後は、他の魔物が居るのかを調べるのと、夜にあれ(・・)が出るのか。」


 「周辺調査はまぁ、追々ゆっくりとやっていくとして、夜はやっぱりアリスに頼るしかないかな。一応どんな奴が居るのか見ておきたいから、拘束系のやつで頼む。」


 「わかった。初日だし、MP多めに使って魔法張っとくよ。午後はどうする?」


 カナタたちは合流しながら、野営できる家を選んでいた。森などとは違い、家がそのままあるので場所はそこらじゅうにある。しかしその家が廃墟であるため住みやすいとは限らない。なので二人は、夜を明かすのに許容できる場所を探していた。


 「今日はもう止めない?夜も一応警戒はするし、もう疲れちゃったよ。」


 「わかった。じゃあこのままご飯食べて、ゆっくりしようか。」


 こうして二人は、今晩泊まる家を探しだし、お昼ご飯に興じていくのだった。




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