検・証・回!
第10階層、ボスの部屋。ハングベアーとの戦いによってカナタとアリスの周囲は更地になり、所々その衝撃で陥没したりしている。
ダンジョンにおいて、その空間は"未知の力"、ダンジョン能力によって守られ、破壊できないようになっている。しかし、それは空間に及ぼす影響であり周囲に生えている木々や地面などはその限りではなかった。
そして、第1階層に有った大岩のように破壊不能の影響が及ぶのがどこまでなのかは未だわかっていない謎であった。
アイテムとなって自分たちのアイテムボックスに消えたハングベアーがそれまで居た地点を二人は少しの間眺めていた。その間何を考え、思っていたのかは本人たちにしかわからない。そして、唐突にアリスはその場に座り込み、MPの大量消費によって自身のMPが尽きかけた時特有の倦怠感と疲労により荒くなっていた呼吸を整えるために回復を図った。
カナタもそんなアリスの状態を確認して、自身もアリスの元に歩いて戻り、隣に腰掛けるのだった。
「お疲れ、アリス。最後の魔法は凄かったな。話は聞いていたけどあんな竜の頭が出てくるなんてな。白く輝く竜なんて男心を魅了してしまう姿をしているよ。これで、目下のアリスの"必殺技"としては十分な威力を有しているし、次の階層でも心強いよ。」
『私の現MPの殆どを消費する魔法だからそう易々とは使えないけれどね。でもこの階層ではボスモンスターであるハングベアーがこの階層の魔素を過剰に吸収していたわけでもないのに前の階層のボスと同等の戦闘レベルだった。これから先はさらに厄介な相手が出てくることが今の段階でも予想がついてしまうのが不安要素ね。』
「5階層のハントラビットは速度に優れたステータスで、アリスの眼の能力はともかく俺はついていくのがやっとだった。そして今回の10階層は、攻撃力に優れた個体だった。......まあ、俺たち含めて普通の人間だったらハントラビットの攻撃力ですら一撃で致命傷になるほどの攻撃力なんだよなぁ。だからハングベアーは攻撃力に優れていても、俺達としては端から一撃も当たらない、いや、当たれない予定だったから速度が対処できるレベルの相手で好都合だった。これから先は速力も攻撃力も有した敵に備えて行かないとな。」
『今回はカナタの抜刀術も以前と同様にスキルの効果を使うのではなく、自身の力で放った攻撃でも通用した訳だし、取り敢えず次も今まで通り慎重に進んでいけばいいかな。』
「そうだな。今では、ボス以外は個人で対処できるだけの戦闘能力を二人ともつけてきたし、通常階層は少し警戒レベルを落としていってもいいかな。勿論油断するというわけではなく、日々を過ごす上での負担を軽減するという意味で。」
『そうね。次の階層からはもっとゆっくりしたいかな。今回の戦闘も内容は濃いものだったし疲れはきちんと抜いておかないとね。』
二人は今後のことを軽く話し合いながらもこの戦闘での疲労を回復するためにこの場に留まり暫しの休憩とした。
「じゃあ今回も、これまでの戦闘とボス戦で得た経験値で上がったであろうステータスの確認と行きますか。」
『もう、この世界に於ける人生の楽しみの上位イベントがステータスの上昇とその確認なんだと思っている。自分が頑張って行動した結果がステータスという形で現れるのはやっぱり嬉しいし楽しいもの。今回はどうなっているのかしらね。』
「『ステータスオープン。』」
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ハヤカワ カナタ
【レベル】:26
職業:投剣士
【HP】(体力):58
【MP】(魔力):76
【STR】(筋力):66
【END】(耐久力):61
【DEX】(器用):36
【AGI】(速度):52
【LUC】(幸運):26
【スキル】
異世界言語、アイテムボックス、不老不滅、万物創造、苦痛耐性:Lv5、痛覚鈍化:Lv5、剣術:Lv4、投擲:Lv3、夜目:Lv2、抜刀術:Lv1、刀剣術:Lv1、見切り:Lv1
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アリス・コトノセ
【レベル】:25
職業:殲魔術師
【HP】(体力):52
【MP】(魔力):91
【STR】(筋力):37
【END】(耐久力):41
【DEX】(器用):51
【AGI】(速度):46
【LUC】(幸運):32
【スキル】
異世界言語、アイテムボックス、神眼、魔法真理、魔法創作:Lv5、詠唱術:Lv6、魔力消費軽減:Lv3、 魔力回復速度上昇:Lv3、杖術Lv1、高速思考:Lv1、見切り:Lv1
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「......俺の幸、運......」
『今回は私も変化しなかった。私たちの運は、自分たちの実力で乗り越えろってことなのよ。もう気にしないで行きましょ。』
「そうだな。運なんて、アリスと共にいることができれば別にいいか。さて気を取り直して、スキルを見て行こう。」
『私も近接格闘戦ができるように上の階層では杖で戦っていたのが"杖術スキル"という結果として現れた。後、二人とも回避に重点を置いて行動してきたから"見切り"のスキルもついたわね。』
「元々持っていたスキルはレベルが上がったものもあるし、成果としては上々だな。俺の"刀剣術"は刀を使った戦闘で行動にアシストがついてキレが増すみたいだ。また少し戦闘がしやすくなったな。」
『私の"高速思考"は神眼スキルを使った上で思考したことがこのスキルを得た要因みたい。名前の通り、思考する速度が速くなる。戦闘中の判断に時間をかけて考えることができるのは便利なスキルよね。』
「アリスの場合、局面局面での魔法の選択にも時間をかけられるようになるのは大きなアドバンテージだな。スキルの数々は次の階層で感覚とかを掴むとして、上がったステータスも慣らしていかないとな。」
『うん。じゃあ次はドロップアイテムにいこう。』
「了解。アリスも気になっているみたいだし早速見て行こう。」
消耗品
・回復薬×12
・破邪の聖水×1
「回復薬を落とす魔物がランダムなのか、統一性がないんだよな。この前はゴブリンからもドロップしたし。そして、破邪の聖水はアンデットたちに絶大なダメージを与えられるアイテムだった。でもこれを落とす魔物は五センチくらいの蚊型の魔物でなかなか見つからなかったな。」
『見つけた時も私が神眼スキルを使っているときに偶々近くに居て見つけたやつだったし、かなりレアなのかも。』
「まあ今後も見つけたら倒していくくらいの気持ちで気長にいこう。さて、他の食肉とかその魔物の肉体の一部だったアイテムはとりあえず置いておいて、メインのハングベアーのドロップアイテムに移ろう。」
ハングベアーのドロップ品
・大きなクマの手
・撃滅の鋭爪
・エリクサー
『クマの手は食用の肉みたい。そう言えば地球でもクマの手って名前の食材があったわね。......美味しいのかな?』
「見た目はそのまんまクマの手だから俺的には食欲は湧かないけど魔物肉は美味しいっていうのがあるから、その味が気になるアリスの気持ちもわかる。まあ今日の晩御飯に使ってみよう。」
今の時間は、ハングベアーとの戦闘に時間がかかったことでもう夕方であった。カナタたちは今日は次の階層に降りるつもりはなく、ここで一夜を過ごすつもりのため特段急いでいるわけではなかった。
『美味しいこと期待!やっぱり焼いて食べるのが基本?煮込むのかな?』
「とりあえず、俺たちの上半身位の大きさはあるから、焼くのも煮るのも試してみよう。美味しかったら味付けも研究していくのもありだな。」
クマの手は、その持ち主だったハングベアーの手よりもかなり大きなものがドロップした。その量はカナタたちが何日も食べ続けられるほどで、料理の研究として使ったとしても困らないだけの量はあった。
『じゃあ次ね。"撃滅の鋭爪"は籠手のように手に装備して使う装備みたい。でも出っ放しの二十センチ近い鋭い爪が邪魔で普段使いは難しいかな。』
「素手で戦う人には有用な装備かもしれないけれど俺達にはあまり使えないものだったな。」
こうして二つのドロップに関してはまあまあの結果だったが、無事10階層の攻略と、ボスの撃破を終えて、検証をしているうちに少しは回復した二人は少し早いが晩御飯の準備に移っていくのだった。
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