女神の贈り物は規格外?
漸くチートを手に入れますが、無双はまだまだ先です。さらに言うと、主人公たちはちゃんと努力して強くなっていきますので末長く見守ってくださると嬉しいです。
僕たち五人は、それぞれが故郷の消滅理由と自分に関する先祖返りについての説明を受けて納得はできないが、そうして割り切ることでしか前に進まない現状を理解し始めていた。
ただ当然一個人が星に影響しうるほどの事柄を認知しているはずもなかったので、そちらに関しては漠然と事の次第を受け止めるしかできなかった。
「さて、ここまでいろいろ説明してきたけれどとりあえず何か質問がある子はいる?」
唐突に設けられた質問タイムに対して、僕たちは少しの間今までのことを考えた。そして考えの纏ったものから質問していく。
「とりあえず今までの経緯はわかった。だがそもそもパラレルワールドとはなんだ?そして五つの地球がタイミングを合わせたように消滅したのは何か理由はあるのか?なんだか出来すぎているように感じるのだが。」
と、最初に意見を発したのはハイエルフに女性だった。彼女は見た目こそまだ二十歳前後のように感じるが先ほどの説明を考えるなら見た目と年齢は一致しないのかもしれない。現に彼女が纏う雰囲気は理知的であり、重ねた年月を感じさせるほどにこの状況でも落ち着いているように見える。
「ああそうね。あなたの世界では魔法文化はかなりの進歩を見せるけどそういったことに関しては発展してなかったわね。」
「パラレルワールドとは、この世界における過去、現在、未来におけるもしもの世界のこと。つまり一つの行動が起こるたびにそれは分岐していき世界は無数にあると言う概念なの。」
「ただ当然そんなのを観測することなんて私たち神にしかできないわ。それも高位の神か、観測神のようにそれ自体を司っている神とかね。」
(そうか。今ので分かったけどそれぞれの世界の常識が違うから知ってる情報にも偏りがあって、知識にも差異がかなりあるんだな。実際、僕はパラレルワールドのことはアニメやラノベでそう言ったこと取り上げた作品で見たことあったしな。)
「あとあなたたちだけど、さすがに同一世界でもないのに全くの誤差がないなんてことはないから消滅が一番早い世界の子に合わせて消滅が確定してるあなたたちを呼んだのよ。大体誤差で十年といったところかしら。」
「じゃあ俺達を呼んだ理由はなんだ?」
次にワーウルフの青年が問う。
「簡単に言うなら種の継続ね。さっきも言ったけどあなたたちはそれぞれの種族の原種たちなの。基本的に先祖返りなんてそう簡単には起こりえないもので、生まれても一つの世界に一人。要は生まれるのが奇跡的なほどに珍しいの。」
「さらにただ先祖返りをしただけでなく、自分の今の種族とは異なる種族になり、原種として生まれてくるなんて言うのはかなりの奇跡なの。だからあなたたちを呼ぶのにも神が数人がかりで力を合わせて呼んだ程なのよ。この神界への召喚なんて人の身では生涯一回しか耐えられないほどに高度な術式を編んで呼び出しているんだし。」
僕たちは僕たちが思っていたよりはるかに珍しい生まれをしているらしかった。それも神が滅びる世界から助け、呼び出してまでこんな説明をしてくれるほどに。
「ではその儂たちを呼び出して、儂たちはこれから何をすればよいのじゃ?」
次に聞いたのはハイドワーフの男だった。
(確かにそれは気になるよね。こんなところに呼ばれるくらいだし神の眷属になるとか?)
「あなたたちにはこの後、私たちが新たに作った星に行ってもらいます。とはいっても行く場所もまた地球。そこは滅びたあなたたちの星を合わせて作り出した新たな世界。」
「名を”ネメシア”。そこでは魔法と武力とモンスターが入り混じる世界。あなたたちの世界の要素を合わせてまとめた世界。そこでは何をするのもあなたの選択次第。力を求めるも、知識を求めるも、異性を求めるも、すべては星が、そしてそれを管理するシステムがサポートするわ。」
(これはかなり大変な流れになってきた。よくあるネット小説なんかだと、力はもらえてもそれは自分だけではなく、調子に乗ると痛い目を見るお約束が今にも見えそうだ......。)
「とは言ってもネメシアに生きる生物はすべてこのシステムにアシストされるから気を付けてね。」
(うわぁぁ......)
「まあ見せた方が早いわね。とりあえず”ステータスオープン”と唱えてみて。」
僕らはみんな言われるがままにステータスオープンと唱えた。
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ハヤカワ カナタ
【レベル】:1
職業:なし
【HP】(体力):15
【MP】(魔力):16
【STR】(筋力):10
【END】(耐久力):11
【DEX】(器用):8
【AGI】(速度):8
【LUC】(幸運):13
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「「「うわっ」」」
おそらく彼ら三人の世界ではそういう類のメディアがそこまで発達してないのだろう。目の前に現れた自分の情報に対して声を上げて驚いていた。
それとは逆に、僕はなんとなくその言葉から察していたので現れたことに対しての驚きはあったが、むしろこれからをどうするのかを考えることの方が忙しくて大した反応はしなかった。
また吸血鬼の少女も驚いてはいるようだが声を上げるほどではなかったらしく自身の情報と周りの面々を観察しているようだ。
「それがあなたたちの現在のステータス。そこの書かれているようにまだレベルが一だから大した数値ではないけれど、あなたたちの行動次第でレベルが上がったりステータスの数値が上がったりするわ。」
「あと職業だけど、それはあなたたちが今まで生きてきた世界のものとは異なり、自分を証明するものという意味で考えて頂戴。
例えば剣で戦うことを普段からしていれば職業は剣士になったり、魔法をよく使っているなら魔法使いになったりとか様々で職業ごとに伸びるステータスが違ったりする。
剣士なのにMPがよく伸びるなんてのはほとんどなく、つまり必要なパラメーターやよく使うパラメーターが伸びやすくなるって感じかしら。」
(今は何も行動をしていない初期値だから職業もないのか。)
「さて、ほかに質問はないかしら。」
「..........」
「ないようだし、次はお待ちかねの特典をあげちゃいます。」
「『特典?』」
「そう。あなたたちのこれからに少しばかりのお手伝いね。
ネメシアにも異世界召喚の術式は存在するけどそれは私たち神はノータッチなの。でもあなたたちは私たちに招かれた。少しくらいの優遇があっても文字通り罰は当たらいでしょ。」
(神が言うとシャレにならないんだが......)
「まずこの空間、神界を通っているあなたたちはどこの世界の言語でも理解できるようになってるわ。これはこの空間の仕様だからもらえてラッキーくらいに考えてね。
そして次は、無難なところでアイテムボックスをあげるわね。ネメシアにも同名のアイテムボックスはあるけれどそれとは全くの別物であなたたちのは個人用。その容量は無限であり、さらに内部時間は止まっているし、本人にしか使用はできないようになっている。出し入れは念じればできるとっても便利なものよ。」
「ああそういえば、ステータスに関しても別に言葉に出さなくても念じれば見ることができるから。最初だしわかりやすくしただけだから気にしないでね。」
(小説なんかでよく出てくるアイテムボックスだけど、実際にもらうとなるとやっぱり超便利だよな)
そして女神ウルスラが手を軽く振ると五つの光の玉が出現してそれぞれが僕たちの前にフラフラと飛んできた。そしてそのまま光の玉は僕たちの右手に触れるとそのまま体内に溶けていくようにして消えていった。
僕たちはその光景を、驚いたような、呆けたような微妙な顔で見つめることしかできないのだった。




