ステータス
第5階層のボスの間で、ハントラビットを辛くも倒してから数時間、カナタたちはこの戦闘で受けたダメージの回復に努めていた。
当然これは肉体的なダメージだけではなく、精神的、そしてMP等についても同様に回復を図っている。この場所では現状数時間の間、ハントラビット以外の魔物、及び生物が現れていないのだ。
実はカナタたちはハントラビットを倒した時既に限界に近い状態だった。それ故、アリスは姿を消したハントラビットを見て直ぐにその場に倒れ込んだ。文字通り全力の魔法を放ったことでMPが底をついていたのだ。
そしてカナタも、戦闘開始直ぐに受けた攻撃で実は体中ボロボロだったのだ。だが、アリスの状態と、戦闘状況を無理やり体を起こすことで視界に捉え、再び立ち上がったのだった。
カナタが受けた傷は内臓の一部損傷、左腕完全骨折、肋骨などの体内の骨の複数を複雑骨折などなど、かなりの重症だった。
しかし、戦いながら徐々に回復を重ね何とか戦っていたのだ。またこれは、カナタが獲得し、レベルを上げていた痛覚鈍化などの耐性スキルによって成し得たことで、本来常人が耐えられる痛みではない。
そうして、カナタは少し蟠りを残したが、何とかハントラビットを倒すことができたのでアリスの傍らで暫し休憩をすることにしたのだった。しかし途中でこの空間に入ってくる者が本当に全く居ない事を理解して本格的にここで回復を図っていたのだった。
そしてただジッとして居るのも無駄なので、回復してきたこともあり少し余裕が出た二人は今回の戦闘を振り返ることにしたのだ。
「今回は最初から予想外の事態が続いてかなりキツイ戦いだったと俺は思った。開始直ぐにハントラビットに距離を詰められたときはほとんど見えなかった。咄嗟に体の芯をズラしてダメージを減らすことができたのはほとんど偶然だ。」
カナタは戦闘における自身の分析をアリスに語っていく。
「それに、初っ端に戦闘から離脱させられたのは本当に不甲斐なかった。アリスの盾にすらなれなかった。ごめん。」
『そんなことないよ。カナタが初撃を受けたことで相手のスピードも測れたし、攻撃威力も理解した。形はまあこれからの課題として、この戦いは十分に得るものはあったと思う。私の方も様子見で撃った風魔法はその毛皮すら殆ど切り裂けなかった位だし。』
「......そうだなこれからはもう少し対応できるだけの実力を身につけることを目標にしていこう。後、やられていて気付いたが、この階層での疑問点はあの魔物にあると思う。」
『そうね。さすがに今までの魔物からレベルが跳ね上がり過ぎだと思う。ゴブリンキングも確かに強かったけれど、ハントラビットはその比じゃないと思う。』
「ああ。それで思ったんだが、ここの階層って5階層目なんだよ。これは、あの大岩の上が地上だと仮定してだけれどな。そしてその特徴的に言えばあの魔物は”フロアボス”だったんじゃないかと思う。それで、この階層の魔素はその多くがあいつに吸収されていて、力を蓄えていたんじゃないかと思ったんだ。」
『......ボス......確かにそう言えるほどに強かった。でも、だとすると、今後5階層毎にあれ以上の化け物が出てくるってこと?』
「最悪の場合そうなる。勿論、次の階層の魔物のレベルが一気に上がることもあり得るが、俺はこっちの推理の方がしっくりくる気がするし、確率が高い気がする。これはますます安全優先で行かないといけないと今回の戦闘で思った。」
『確かにそうね。私も同意。......さて。じゃあ次の話をしましょう。』
アリスは一先ずここで出来る今後の課題の話は終了と話を変えた。
『今回の戦闘で少なからずレベルが上がっていると思うし、スキルも含めてまたステータス確認しましょう。』
「あぁ、確かにそうだな。戦闘中も抜刀術がいつもと違うように感じたし、いつも以上に楽しみだ。」
こうして漂っていた暗い雰囲気は消え去り、ここからは自身がどの様に成長しているかが楽しみで二人とも気分が上がった。
因みにカナタたちのステータスの確認は今回のように何か変化があった時にしかしていない。付け加えるならば、各階層を下りる時くらいである。
「じゃあ、恒・例・の。」
「『ステータスオープン!』」
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ハヤカワ カナタ
【レベル】:21
職業:投剣士
【HP】(体力):50
【MP】(魔力):67
【STR】(筋力):55
【END】(耐久力):51
【DEX】(器用):33
【AGI】(速度):46
【LUC】(幸運):26
【スキル】
異世界言語、アイテムボックス、不老不滅、万物創造、苦痛耐性:Lv4、痛覚鈍化:Lv5、剣術:Lv3、投擲:Lv2、夜目:Lv1、抜刀術:Lv1
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アリス・コトノセ
【レベル】:21
職業:殲魔術師
【HP】(体力):48
【MP】(魔力):80
【STR】(筋力):33
【END】(耐久力):38
【DEX】(器用):48
【AGI】(速度):43
【LUC】(幸運):32
【スキル】
異世界言語、アイテムボックス、神眼、魔法真理、魔法創作:Lv4、詠唱術:Lv5、魔力消費軽減:Lv2、 魔力回復速度上昇:Lv2、
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二人はまず自分たちで自身のステータスを確認し、その後アリスがお互いのステータスを見やすいように書き出していく。
「......これは、MPに関しては消費していく回数や量が多いほどレベルアップ時に上昇する数値が多い気がするな。俺もアリスもMPは常に何かしらで消費するようにしていたからその成果も知れない。ただ俺の幸運はどこへ行ったのでしょう?最近めっきり上がらないのですが!」
『幸運値なんて目に見えた結果が分かる訳じゃ無いんだし気にしない方がいいよ。それよりMPに関しては、いい感じの状況だと思う。私たちはMPがあればあるほど良いんだから。』
「そうは言うが......まぁ取り敢えずそれは置いとくとして、スキルは助かるな。俺もアリスもそれぞれ戦闘面では効果が期待できるしスキルレベルが上がれば単純に戦闘能力の向上に繋がるからな。あと地味に、耐性スキルがいい仕事をしている。ハントラビットに蹴られたときは正直、この世の終わりをその痛みから感じたが本来は更にダメージが上だったってことだしな。そんなの受けたらあの時立てていたか分からないよ。」
『私も耐性系のスキルは欲しいと思っている。けれど自分から痛い思いもしたくはないから悩ましいけれど。それに私は解り易く魔法使い職に有り難いスキルに偏っているから、今後ともスキルは取れるなら取っていきたい。』
「......アリス。俺に魔法を教えてくれないか?」
剣士を目指すと決めたカナタからの突然の申し出に対し、アリスは流石に驚くがすぐさま返事をした。
『もちろんOKだよ。でも理由は聞きたいな。』
「有難うアリス。理由は大した事じゃないよ。今回の戦闘で俺はアリスから離れてしまった。当初の作戦でも別々に戦うという考えは出ていたが、自身の作戦で距離をとるのと、相手によって離されるのではその内容はかなり違ってくる。そうなると、俺にも咄嗟に使える遠距離の攻撃方法が欲しいと考えた。刀剣の投擲では実力が上の相手の場合だと、弱いと感じた。実際、アリスの風の刃はハントラビットの外皮にあまりダメージを出せなかった。これは今後も硬い相手の場合だと起こることだと思う。それに、単純に手札を増やした方が戦闘の幅が広がるからな。」
アリスはカナタがどういう思いで魔法を習おうかと考えたのかを聞き、自分と同様にこの戦闘での自分の無力さを感じているのだと理解した。だからこそアリスはカナタが語らなかった、もっと内面的な事に気づいてしまったし、これ以上カナタに聞くつもりはなかった。
『.........なるほど。私が魔法に頼り過ぎないようにするのと同じだね。じゃあ次の階層から特訓開始にしよう。』
「よろしく、アリス。」
『うん。カナタも剣での戦い方教えてね。私たち二人で強くなって行くんだから!」
アリスの返事に無意識のうちに入っていた力が自然と抜けるのを実感したカナタは、優しい表情でアリスと向き合った。
そして胸の内に湧き上がるのは、自分一人でこの世界に来なくてよかったという本来、人種の原種の発想とは思えないことだった。
しかしそれは、物事の一面でしかない。
カナタは他人に対しては無感情で、非情であるが、先で決意したように自身が決めたことに対しては真っすぐであり、そして仲間であると心で決めた人、つまりアリスに対してはとことん甘く、優しいのだった。
つまるところ、人種の原種はどの種族よりも甘く優しいが、どの種族よりも冷酷で非情であるという矛盾を矛盾たり得ない思考で下す種族と言えた。
「ああ!でもアリスの場合は杖術の方がいいかもな。杖持っていることの方が当然多いわけだし、態々取り出す手間はない方がいい。」
『わかった。じゃあ私はそっちの方向で練習するよ。』
こうしてお互いのこれからのあり方を再度確認し、修練の方向も決めていった。
「じゃあ次はここまでで得た戦利品の確認に行こう!」
『お~う!』
こうして先ほどまでの雰囲気は嘘だったかのような二人は、更にテンションを高めながら盛り上がりながら会話を続けて行った。
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