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誰が為に  作者: 白亜タタラ
ダンジョン攻略編
18/108

二人の実力

この話でゴブリンの集落の話は終了です。

 ゴブリンの集落において、いや、この世界ネメシアの魔物(モンスター)たちにおいてその個体が上位種になるほどに纏うプレッシャーや雰囲気というものが自然と出てくる。

 そして、魔物たちはそういう感覚が鋭いものが多い。これは自然の中で生まれ、育つからという見解が一部の学者から提唱されていたりする。

 しかし、人間はそういう気配の感知には余り優れていない。もちろんカナタたちの故郷である地球では、そもそもそんな危機に見舞われることが少ないためそれが普通のことなのではあるのだが。

 だがここでは魔物が存在しており、そういう感知ができる、もしくは当たり前に常時行えているような者もある程度の実力を持つ者の中にはそれなりには存在している。

 

 しかし、如何せん野生生物たちと比べてしまうと劣ると言わざるを得ない環境であるのもまた事実であった。


 辺りに点々と存在し、カナタやアリスが進んだ方向に居なかったゴブリンたちは自分たちの王であるゴブリンキングが消滅した気配を敏感に悟り、各自が自己判断で行動を起こし始めた。

 ある者は、王が消えたのをいいことに自分が成り上がるために王を消した張本人に挑もうと周囲を索敵したり、またある者は行動の指針が消えその場で立ち尽くしていたり、しかし多くの者は自分たちを従えていた王を倒したような()と事を起こしたくはないという判断になり、それぞれこの集落を捨て逃げ出し始めたのだった。




 アリスもカナタもゴブリンキングとの闘いは今持てる力を最大限に使い、さらに極度の集中状態での戦闘を強いられていたためかなり疲労していた。

 更に最後の攻撃に関してはお互い防御は一切無視しての火力一点突破だったので失敗できない状況が二人の緊張感を極限まで高め、それも疲労が増す原因になっていた。


 「はぁ......はあ......」


 「ふぅ......はぁ......」


 アリスもカナタも肩で息をし、お互いが膝に手を突きながら荒く乱れた息を整えていた。


 (神眼っ!......ふう)


 『とりあえずこの付近には敵はもう居ないみたい。此処からは少し距離がある、私たちが来た所から外れた位置に少数のゴブリンが残っているくらい。あと、その残ったゴブリンの中にも逃げ出す個体が多数いるみたい。』


 アリスは疲れた体に鞭を打って神眼スキルを発動した。そして周囲の状況とこの集落の状況を大まかにだが確認して安全確保とこれからのことを考える情報源とした。


 「今残ってるゴブリンの上位種って後どれ位?」


 『......もうこの付近には居ないみたい。それより先はまだ見れないけど。ゴメンね。』


 アリスの神眼スキルは現存するスキルの中でも破格の性能を誇る強力なものだ。しかしまだ習得から日も浅く、レベル的にもまだまだ使いこなせていないアリスは長時間の使用では自分に負荷がかかってしまうなどまだまだ未熟だった。

 そして今のアリスが視える効果範囲は大体周囲五百メートルほどだった。それも詳細をしっかりと視るのではなく、俯瞰した光景を空から眺めるような大まかな視界でそれくらいの距離だ。詳細を視るとなると周囲十五メートルがいいところだった。


 「いやいや何言ってん!アリスの活躍無くしてこの成果は得られなかった。それに今の情報だってかなり助かっているよ。これ以上の成果は寧ろ俺の貢献度があまりないから精神的にキツイデス!」


 『ふふっ。カナタも十分に役割をこなしているわよ。......じゃあこの話は終わりにして、これからどうする?呼吸は整ったけれど私は魔法はもうMP的に期待できないわね。それに神眼も、今日はもうあまり使い使いたくはないかも。』


 「......残りがゴブリンだけならできるだけ殲滅しようか。今の俺達ならそこまで苦戦はしないだろうし、経験値は稼げるときに稼いでおきたいかな。」


 『わかった。じゃあそれで行こう。』

 

 「ああ、アリスこれを。」


 そう言ってカナタが差し出したのは一本の刀だった。


 『?カナタの超短剣なら持ってるよ?』


 「魔法が使えないなら少しでも攻撃力を上げた方がいい。それに、こっちの方が長い分だけ間合いが広いから安全だし。」


 カナタは何よりもアリスの事を重視する。安全面や神眼スキルで影響のある体調面など実は常に気にしてはいるのだ。しかしアリスの作戦や状況的に仕方がない時はそっと見守るようにしているのだ。


 「俺は小刀もあるし戦い方も変わらないからさ。使い難かったら使わなくてもいいし念の為ってことで。」


 『その言い方ってことはやっぱり別々で動くのね?』


 「うん。さすがに疲れたし、殲滅速度を上げて早く終わらせようと思う。」


 この提案にアリスも賛同し、アリスの視た情報を元に各々別方向に進んで行動を開始した。



 カナタは目についたゴブリンたちを片っ端から切り捨てて倒していった。今までのように投擲による攻撃は行わずに近づいて切る。ただそれだけだった。

 これは、今までの戦闘の経験を体に染み込ませようとカナタが実践しているに過ぎないが、もう既にゴブリンではカナタの脅威になりえないほどの成長を果たしていた。


 アリスはMPが無いため今までの魔法による殲滅とは全然違い、刀で戦うということを実践していた。しかしレベルの上がったアリスの速力はスキルを使わなくてもゴブリンの攻撃を見切り、返す刃で確実に屍を増やしていったのだった。


 それからまた数時間の追撃戦を終えカナタとアリスは再度合流を果たした。

 しかし、戦いに次ぐ戦いで二人は疲労がピークに達していた。そしてアリスの眼でこの場所の安全は確認されていたので二人は食事をする時間も惜しんで眠りについたのだった。


 二人が眠りについたのはもう夜が明け始めるくらいの時間だったが、あまりにも疲れていた二人はそこから丸一日眠り続け、また日が昇った頃に目を覚ました。


 「『.........』」


 二人はよく眠ったことで気力、体力ともに回復はしていたがまだ動きたくはなかった。

 

 「アリス。悪いけど周囲の確認を頼む。」


 『......周囲には敵はいないみたい。この辺は安全ね。』


 そうして神眼スキルで安全の確保をした二人はまた横に寝ころびダラダラし始める。


 「いやー、こんな何も敷いてすらいない地面で眠れた事もそうだけど、また寝転んでいる今の自分のこの世界に来てからの変わりように少なからず驚いています。」

 

 『私も全面的に同感だけれど、それだけ戦闘が大変だったということでしょ。今もまだ動きたくないほどだし。』


 二人は寝転びながら昨日の事や他愛もない会話などを楽しみ、ネメシアに来てから初めてではないかという位の落ち着いた時間を過ごしていた。

 そして漸く起き上がり、座る体勢になった二人の話はステータスのことに移っていく。


 「ゴブリンキングはやっぱり強かっただけあってレベルの上昇が大きかったみたい。きの......寝て起きたから昨日って呼ぶけど、昨日かなり頑張った成果が出た感じだな。」


 『暫くはゆっくりしたいです。......じゃあとりあえずお互いのステータスの比較をしよう。』


 「『ステータスオープン』」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ハヤカワ カナタ



 【レベル】:15



 職業:投剣士



 【HP】(体力):40


 【MP】(魔力):47


 【STR】(筋力):45


 【END】(耐久力):33


 【DEX】(器用):29


 【AGI】(速度):31


 【LUC】(幸運):25



 【スキル】 



 異世界言語、アイテムボックス、不老不滅、万物創造、苦痛耐性:Lv3、痛覚鈍化:Lv4、剣術:Lv1、投擲:Lv1、夜目:Lv1



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 アリス・コトノセ



 【レベル】:16



  職業:殲魔術師



 【HP】(体力):42


 【MP】(魔力):50


 【STR】(筋力):31


 【END】(耐久力):33


 【DEX】(器用):31


 【AGI】(速度):37


 【LUC】(幸運):30



 【スキル】 



 異世界言語、アイテムボックス、神眼、魔法真理、魔法創作:Lv1、詠唱術:Lv1、魔力消費軽減:Lv1



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 と、二人はそれぞれのステータスを比較していくのだった。



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