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誰が為に  作者: 白亜タタラ
ダンジョン攻略編
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ゴブリン殲滅戦Ⅴ

 アリスとカナタはそれぞれ一つの山場を乗り越えて一息ついたことで少なからず回復し、再び周囲に目を向ける余裕が生まれた。

 カナタ、アリスが共に悲惨な現場を目撃したことで胸の内に生まれた感情を少しは発散出来たことも思考、及び視野が広がった要因だった。


 そうしてカナタとアリスはそれぞれがこれまでに敵と遭遇して倒して進んできた道程を振り返り思考する。

 

 まずカナタは、戦闘開始から消費してきた武器を確認する。

 戦闘を繰り返す中で自身の武器を拾い集めたり、進行スピードに支障が出ない程度にはちゃんと回収作業をこなしていた。今の手持ちは、小刀×1、超短剣×5、針×57となっていた。

 もともと針は使い捨てにするつもりで作成していたのでそもそも回収はしていなかった。そもそも、針を突き刺したモンスターが消えてしまえば針など探して見つかるような代物ではない。

 ......それこそアリスのような目でも持っていなければどだい無理である。


 戦闘の途中で創った小刀は現在のカナタの主武器であり、一本しかないのでちゃんと回収した。超短剣は戦闘の中で損耗し使っている間に刃が折れて壊れたり、当たり所が悪くてゴブリンの肌を切り裂くが、そのまま通り過ぎてどこかへ行ってしまった物などで半分まで数を減らしていた。


 カナタは基本的に戦闘で魔法を使うことはなく、MPの消費は限定的な事にしか使っていなかった。そしてレベルが上がってMPの絶対量が上がった今も、小刀を創り出した際に消費した分を回復させている最中でもあった。


 カナタは振り返りながら確認していた視線を正面に戻し、現在の自分が居るこの集落に於ける位置関係がどの辺に推移したのか確認をした。

 そして集落の全体的な大きさはわからなかったが自身が進んできた距離から推測するに、そう時間が掛からずに中心地点に辿り着きそうだと判断した。


 

 現にこの時、カナタとアリスが倒したゴブリンは全体の八割にも達していて上位種の方も半数ほどは片付けていた。 

 この集落では何故か(・・・)、階級レベル二のホブゴブリンは存在せず、レベル三のソードマンやマジシャンが居るばかりだった。


 当然高レベルの魔物(モンスター)、に至るにはそれ相応の時間がかかる。しかもモンスターのレベル上昇とは人間社会のレベルアップとは違い、一つでもレベルが上昇するということはその種族において一段階の進化という事であり、ステータスの上昇も人間とは比較にもならない程の差がある。

 しかもこれは、只経験値を獲得すればよいというわけでは無くて進化するに足りえる条件を達成する必要があるのだ。

 故に上位のモンスターの絶対数が劇的に変化することはなく、このネメシア創世から長い年月、幾何の月日が経っているにもかかわらず、上位種のモンスターがそこら中を闊歩するようにはなっていないのである。ーー当然、増える前に人の手により倒された個体も数多いるが--


 そして反対方面から進んでいたアリスも同様に進んできた距離から中心地が近いと判断した。また、アリスは神眼スキルを使ってカナタの現在の位置を把握することで合流のために進行方向を頭の中で少し修正した。


 そしてそのついでに残る敵の把握も行った。そして得た情報により、普通のゴブリンはまだその辺に点々と存在しているがゴブリンソードマンやゴブリンマジシャンは、あと中心地点に存在する数体だけだった。

 また、それらがそれぞれ暮らしているのであろう家屋は上から見れば円のように配置されており、その中心地点にさながら大将であると誇示しているかのように非常にわかりやすく、そして周囲よりほんの少しだけーー人間的見識ではーー豪華な建物がポツンと建っていいるのが見えた。


 アリスはスキルを長々と使っているほどの余裕は無いため必要な情報を視終わると直ぐにスキルを解除した。


 アリスは神眼で見た情報とここまで戦ってきたことで分かった情報から残りの敵を倒していくのはカナタと合流して共に行くのが効率的であり最善策であると結論付けた。


 (カナタの方に向かって少し進路変更しよう。)


 そしてカナタも武器の損耗具合やここまでの殲滅速度などを考慮して合流したいなと考えた。しかし、カナタの場合はアリスが何処にいるのかはわからないため、最初の作戦通りに中心地点に向かいつつも会えたらいいな~程度に考えていた。


 お互いに同じことを奇跡的に考えていたためアリスがカナタを目指して合流するように動き出した。


 カナタも休憩時間を終わらせてまた進み始める。

 

 カナタたちがこの集落に襲撃をかけてから既に二時間近く経過していた。

 実は初撃の騒動は一番外周部にいた騒動に対応する下っ端集団とそれを確認する上位種たちしか反応していなかった。

 これはそもそもこのゴブリンの集落で決まったいたことであったし、面倒臭がりな上位種の個体たちが楽をするために決めたことでもあった。

 そしてこれはカナタたちにとっては運がよく、最初から上位種があと数体でも増えていたら今の状況にはなっていなかっただろう。


 だがそれは中心地点に向かうにつれて強い敵がいるという事であり、カナタはまたしても強敵と遭遇していた。


 (いやー、さっきまでの敵は何だったんだって思えるプレッシャーを感じる。救いは敵が単体で居てくれたことか。)


 カナタは知る由もない事だが今、目の前にいるのはゴブリンジェネラルというこの集落の№二の実力者だった。

 体長は百七十センチ程でソードマンよりは小柄だが、有する筋肉量や質はソードマン以上であり、恐ろしいほどの存在感を主張していた。

 そしてカナタが対面して感じるのはその知性(・・)だった。


 マジシャンのように魔法に対する知識だけ有するような感じではなく、理性で戦闘を行うような雰囲気を感じた。


 ゴブリンジェネラルは自身の上半身程の長さの剣を持ち、さらにその剣の厚みはコンクリートのブロック程はあるのではないかと思えるほどで、それを軽々と片手で構えてカナタに向けていた。


 カナタは向かい合い、対峙することでゴブリンジェネラルが持つ剣の間合いを測って突撃を敢行した。これはお互いの武器の間合いを考えれば当たり前で、カナタは間合いを詰めざるを得なかった。


 カナタが自身の剣の間合いに入ったと感じたゴブリンジェネラルは即座に剣を振り下ろしカナタを真っ二つに切り裂かんとする。

 カナタは相手がこの距離から動くと、間合いを測ってから突撃したため警戒していた。そしてそれはドンピシャで当たり、小さく横にズレるだけで自身に迫る剣を回避した。

 

 「なっ......っ!」


 しかし、ゴブリンジェネラルの筋力は並ではなかったらしく、カナタに躱されるのが分かった瞬間に振り下ろしていた腕を、血管を浮き上がらせながら強引に横に薙ぎ払う軌道へ変更したのだ。

 カナタもそれは完全に予想外であった。この時カナタはアイテムボックスから小刀を右手に取り出し、左手に超短剣を構えるという、最早馴染んできたスタイルに準備を整えて切りかかるために再度突撃しようと動き出す瞬間だった。

 

 もうすでに動き出すモーションに入っていたためゴブリンジェネラルのようには体制を変えることはできず、悪足掻きにとギリギリ地面に触れていた片足で少しジャンプをしたがモロに上半身と下半身を綺麗にサヨナラ(・・・・)させられた。


 ゴブリンジェネラルはこの場所に偶々出てきてカナタと偶然遭遇した。襲撃者がいることは戦闘音などで分かっていたが、それは自分が気にすることではないと思っていたし必要もないと思っていた。


 故にカナタのことは今、向かい合ってわかること以外何も知らなかった。だからカナタがどの様にして此処まで辿り着いたのか、どの様な戦闘スタイルなのか知らなかった。

 故に自身の剣の切り返しにより、それに反応できなかったことでこの侵入者のその体を真っ二つに切り裂き、自身の勝利を確信して醜い緑色の小鬼の顔を更に醜悪に歪め、そして敗者を嘲笑った。


 

 しかし敵は知らなかった。カナタの最大の武器を。

 そして見ていなかった。カナタが体を切り裂かれた時には既に両手に持つ剣を逆手に持ち替えていたことを。

 故に気づかなかった。カナタが最後にジャンプをした本当の意味を。


 そして嘲笑とともに顔を上げ敵を見たゴブリンジェネラルは嘲笑していた顔を即座に驚愕により目を見開いた間抜けな顔を晒すことになった。


 その目に映ったのはもうすぐそこまで迫った、上半身だけで此方に向かって飛んでくるカナタの姿だった。


 切られる瞬間にジャンプで反動をつけ、一撃で自身の体を真っ二つにする剣の勢いも利用し、ゴブリンジェネラルの頭頂部目指してカナタは飛んだ。


 そうして嘗て類を見ない攻撃を受けたゴブリンジェネラルは、二本の剣をその無防備な頭に突き刺され呆けて間抜けな顔を晒しながらその命を終わらせていったのだった。


 しかしこれは仕方が無いともいえる。こんな攻撃を咄嗟に思いつくのも、実行するのも、そしてその傷でも生き残っていられるのもカナタぐらいのものなのだから。



よろしければ下の所にある評価やブクマ、感想などを頂けるととても嬉しいです|д゜)

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