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誰が為に  作者: 白亜タタラ
ダンジョン攻略編
13/108

ゴブリン殲滅戦Ⅲ

遂にカナタが強敵との遭遇です。

 ゴブリンのように知能が低いモンスターでもそれぞれの社会が存在し、武力の優劣や持ち得る知識量などで階級が存在する。

 そして階級が上がるほどその特徴は現れる。武力に秀でた個体は剣を所持していたり、知力が高い個体は杖を持っていたりと外見から違いが現れるようになる。

 そして階級が上がり風貌が変わることでその差異に気づいた人間社会ではそのモンスターの呼称も変わり、ゴブリンソードマン(・・・・・・・・)ゴブリンマジシャン(・・・・・・・・・)などと呼ばれるようになる。

 これはゴブリンに限ったことではなく、ネメシアにおいてモンスターはそれぞれの個体でその特徴が呼び名とされている。


 階級が上がるほどその実力は加速度的に跳ね上がり、それぞれの種族特性が強化されていく傾向がある。

 ゴブリンの特性なら残忍さと狡猾さである。


 カナタはあれから道々に遭遇したゴブリンを倒し続けて突き進んでいた。

 しかし遂に、当初から警戒していた上位個体のモンスターである”階級レベル3”、ゴブリンソードマンとゴブリンマジシャンがそれぞれ部下らしきゴブリンを連れてカナタの前に立ち塞がった。


 ゴブリンソードマンは体長二メートル二十センチ程の体躯を持ち、ゴブリンの筋肉を一、五倍増しにしたような肉体をしていた。

 ゴブリンマジシャンは普通のゴブリンと見た目、体つきは特に変わりはなかった。


 「ついに来ちゃったか......。アリスと話して覚悟はしていたが二体同時に来るとは思わなかった。......気合い入れていこうか!」


 さっきまで戦っていたゴブリンとは纏う雰囲気が全く違う二体を前にして、自分を鼓舞して先ほど創った小刀を右手に、以前から創っていた短剣を左手に持ち、自分から敵に突っ込んで行った。


 (今ある武器は短剣七本。この小刀が一本。針が百本程か。こりゃあ小刀が残れば良い方かなぁ。)


 カナタはゴブリンを間合いに捉えるまでの数秒で残存武器の確認を脳内で瞬時に行い、この戦いの損耗率を計算した。

 それと同時に、戦闘開始からの流れをシュミレーションし、相手の動き出しを走りながら一瞬の中で観察し続けた。


 (まずは雑魚を削る!)


 カナタは左手に持った短剣をゴブリンソードマンの周りにいたゴブリンの内の一体の顔面に投げ放った。

 そして投げ放ったモーションが完了した瞬間に、右足下にアイテムボックスから新たな短剣を取り出し、その柄部分を蹴リ出すことで自分に一番近い所にいたゴブリンマジシャンの周りにいたゴブリンの一体に突き刺した。


 マジシャンとソードマンの取り巻きはそれぞれ十体ずつ。数では相変わらずその差は歴然だが、これまでの戦いで立ち回り方を身につけて動きも少し洗練されてきた。

 たかだか二十体のゴブリンにレベルも上がった今のカナタは今更遅れをとることはない。


 しかし今は状況が違う。二体の指揮官を得たゴブリンは先ほど迄の個体より少し動きが良く、ただ突撃してくるだけだったゴブリンが拙いながらも連携までこなす様になっていた。


 そして後ろに控えるは、素のゴブリンより数倍は強い二体の上位種。この現実がカナタを少しばかりこれまでの戦闘とは異なり、動作にズレを生じさせ、無茶とも思える戦闘方法をとっていた。


 早速二体のゴブリンを倒したカナタは少し崩れた体勢だったが、新たに短剣を取り出すとともに蹴り足に力を込めて一歩を大きく踏み出すことで体勢を整えようとした。


 「しまっ......」


 しかし、その一歩分隙を生んだ。

 ゴブリンソードマンはカナタが足に力を入れる瞬間をしっかりとその双眸で捉え、黒い笑みを浮かべると共にカナタの動きを先読みし、カナタ同様その発達した筋肉を駆使し、蹴り足に力を込めて飛び出すことでカナタの踏み込みを両手で握る剣で制して迎え撃った。


 カナタは振り下ろされる凶刃(・・)に対し、即座に完全回避は不可能だと判断して覚悟(・・)を決めた。

 そして体を無理やりに捻り、両手に持った()を投げ放った。


 正面から切り掛かってきた剣にカナタは、体を捻った事で体を真っ二つに切り裂かれることを回避した。しかしその代償は、膝より下を完全に切り落とされるという何とも痛々しい状況だった。

 切り落とされた足から流れる夥しい血が地面を汚すが、ゴブリンソードマンは当然待ってなどくれなかった。


 再度詰め寄りその手に持つ剣を足が落とされて動けないカナタに振り下ろす。

 しかしカナタは慌ててはいなかった。

 倒れてうつ伏せの状態だったカナタは、即座に仰向けに向き直り腹筋の力だけで勢いをつけて飛びかかる。


 振り下ろされるゴブリンソードマンの刃をその左腕で、いや左腕の骨(・・・・)を使って受け止めた。

 骨が軋み、剣圧で歪むことを自覚しながらもカナタは腕を犠牲にして強引に軌道をずらし、右手に再度取り出した短剣を逆手に握り力一杯にゴブリンソードマンの額に突き刺した。

 

 覚悟はしていたが腕に受けた痛みはかなりのものであり、両目から勝手に溢れる涙が止まらないが、カナタは奥歯を噛みしめながら攻撃していた。


 「シギャグワァアアアアァァァアアア」

 

 思いもよらない反撃を受けたゴブリンソードマンは、そのダメージの深さに悲痛な絶叫を上げた。

 そしてあまりの痛みに頭を振りカナタを振り落とそうとする。


 「クッソ。まだまだぁぁああ!!」


 左腕、両足と三肢を失ったカナタは振り落とされないように右手に一層の力を込め、先程のゴブリンにしたように切り落とされていない太腿に短剣を取り出し、振られる勢いを利用しながらその身体目掛けて蹴り出した。


 至近距離及びゴブリンソードマンによって勢いもついていた為、蹴り出した短剣はその屈強な身体を突き抜けて貫通した。


 (ギリッギリ!本当にギリギリだった。)


 カナタの機転の効いた二発の攻撃は、なんとかゴブリンソードマンのHPを削り切り倒す事ができた。

 しかし、まだ取り巻きゴブリンは残っている。


 そう。残っているのは取り巻きゴブリン八匹だけだった。


 残ったゴブリンたちは、自分たちの上位種を打ち倒したカナタを最初は警戒したが、その体の状態を見たゴブリンたちは卑らしく嗤い、じりじりと取り囲むように距離を詰め、示し合わせたように一斉に襲いかかってきた。


 (うん?......遅い?)


 カナタは四方八方から降り注ぐ打撃の中で、残った右手の短剣を使ってゴブリンの攻撃を捌き、余裕があれば切り裂いていった。


 カナタが感じたように、ゴブリンソードマンを倒したことで得た経験値でレベルアップを果たし、さらにレベル的に成長していた。


 そうして数分凌いだ時、カナタの身体は元の綺麗な状態に戻り、ゴブリンたちは全滅していた。

 元の万全な状態に戻ったカナタには、もうゴブリンでは苦戦もせずに倒してのけるほどに成長していた。


 さて。取り巻きを連れてきただけで何もせず退場したゴブリンマジシャンさんに何があったのかだが、実はカナタがゴブリンソードマンに斬られることを覚悟した瞬間にゴブリンマジシャンへと続く一本の攻撃ルートが見えた。


 取り巻きゴブリンたちはゴブリンソードマンの攻撃が決まることを確信して、ゴブリンマジシャンは取り巻きに囲まれているこの状況において油断していた。


 その状況を瞬時に把握したカナタは、どうせ避けられないのならと自身のダメージと引き換えに厄介なゴブリンマジシャンを攻めることを決断した。


 カナタが投げた短剣は利き腕でないことも考慮して的の大きな胴体を狙い、小刀は一撃必殺のために顔面を狙ってそれぞれ放った。

 短剣はその刃を丸々腹に埋めて突き刺さり、小刀は切れ味鋭く創り出したため勢いのままに後頭部から刃が突き抜ける程深く突き刺さった。


 そうしてカナタの狙い通り完全に相手の隙をついた攻撃はしっかりと二本とも突き刺さり、ゴブリンマジシャンは何もせずにその命を終わらせた。


 「つ、っ疲れたー。二体同時はムリ!!キツイ、ツライ、イタかった!......はぁ~勝てて良かった。マジシャンの方はアホで良かったな。助かった。あの後でゴブリンマジシャンと連戦とかマジ死ねるって。......死なないけど。」


 ゴブリンソードマンから受けた傷はもう完全に完治していたが、今の戦闘はかなり受けたダメージが濃く、カナタは少しの時間その場に立ち尽くしていたのだった。



よろしければ下の所にある評価やブクマ、感想などを頂けるととても嬉しいです|д゜)

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