14話 晩御飯
よろしくお願いします!
ここで少し僕の家庭環境についての説明をしよう。海外にいる親の職種だが、父は医者で母はデザイナーである。今は関西圏に住んでいるが、二人は関東出身で。父は東大理III・医学部、母は東京藝大を出ており共に超がつくほどのエリートだ。僕が勉強出来たのも二人の遺伝子のおかげなのだ。そして、今日家に帰ってくる姉もなかなかの化け物である。高校三年生の夏まで事情がありほぼ一切受験勉強をしていなかった、しかし僅か半年で神戸大学医学部現役合格。今は忙しい日々を送っている。
昔から姉とは仲が良く、僕が男の人よりも女の人の方がコミュニケーションを取りやすく感じるのも姉の影響だろう。
さてさてさーて。そんな姉の為に今日はお料理だ。とはいっても、そこまで本格的なものは材料的に作れないので質より量で勝負だ。
今日のメニューは
カレイの煮付け
お味噌汁
きんぴらごぼう
ほうれん草のおひたし
超王道の和風料理だが、希望が和風と言うことなので、きっと外食ばかりなので、今は、落ち着いた味を欲しているのだろう。僕一人の時はおかずを一品か二品しか作らないので、まぁまぁ豪華だと思う。
まずはおひたしから作る。
お鍋にお湯をはり、塩を入れる。ほうれん草はあらって根元からお湯に付けていく。柔らかくなるまで茹でたら、一度冷水に移し、熱がとれたら、水をきる。そこに大さじ1の醤油をかけて再び水気をとり、端を切り落とす。適当な大きさに切り、だし大さじ5、薄口醤油大さじ2分の1、みりん小さじ2分の1を入れた合わせ調味料に味が染み込むまで浸す。
その間にきんぴらごぼうを作る。
明日のお弁当に使うことが出来るので多めに作ろう。人参、ごぼうを1本ずつ細切りにする。ごぼうは食感を楽しみたいので、繊維に沿って切る。そしてあくを抜き、少し多めの油のひいたフライパンに人参から投入。続いたごぼうをぼーん。ここで調味料、醤油大さじ1.5、砂糖大さじ1、お酒大さじ1.5、ごま油大さじ2分の1とフライパンに入れて絡ませる。
そしてお味噌汁。これは簡単に仕上げる。
昆布と鰹節で出汁をとり、お豆腐、ねぎ、ワカメを入れて強火で煮る。一度火を止めて、味噌を溶かす。再び加熱。味見。よし、素朴だが、優しい味だ。
最後にカレイだ。
カレイの表面に切り目を入れて火を通りやすくする。一度、沸騰したお湯に浸し、冷水に移し替えて汚れを落とす。魚の煮物のポイントは先に煮汁を作っておくことだ。煮汁は水、お酒、醤油、みりんを3:3:1:1の割合、今回は2人分なので水90cc、お酒90cc、濃口醤油30cc、みりん30cc。そして砂糖はお好みで10〜15g程度入れる。先に合わせ調味料を煮詰めその中に臭い消しのスライスニンニクをいれる。頃合いを見計らってカレイを投入。強火に落し蓋で火を通し、火が通ったら弱火で煮込む。その時カレイに煮汁をかけながら煮込むと味がより染み込む。
それぞれお皿に盛りつけて完成だ。
電車の時間的にもう帰ってくるはずだ。
ピンポーン
ちょうどインターホンがなった。玄関に向かい扉を開ける。
「ただいま〜」
キャスケット帽に夜にも関わらず大きなサングラス、セットアップのカットブラウスにジャケットを羽織っている。元々162cmの女子にしては長身だが、ヒールも相まって更にスタイルがよく見える。
「おかえり、ねえちゃん」
「疲れたよ〜。スンスン。いい匂い!」
そのまま倒れそうな勢いの姉は匂いにつれられてリビングへ。
「おぉー!お魚だー!」
「出来たばっかりだから冷めないうちにどうぞ。」
「いい弟を持ったわ。まじで」
2人でご飯食べるのも久しぶりだな。ご飯をよそい、お箸と飲みものを持ってくる。
「いただきます!」
「はい、召し上がれ」
「んんん!美味しい。よく分からない高そうなレストランより断然美味しいわ」
「それはよかった」
ほんとに美味しそうに食べてくれる。毎日高いものを食べてるだろうに。でもやっぱり一人で食べるよりも二人で食べた方が幸せが倍増する気がするな。いつもより美味しく感じる。
「ねぇ、あんた友達は出来た?」
「…それ毎回聞くね。まぁ出来たといっちゃ出来たかも。」
「ほんとに!?男?女?」
「そんなこといいだろどっちでも」
「いいから、教えなさいよ〜」
「いいから!そっちはどうなの?やっぱ忙しいの?」
「んーまぁ、ぼちぼち。思ってたよりは楽だけど、やっぱり時間が取れないかな〜」
「そっか。あんま無理しないでね」
倒れられたら僕がこまる。病院とかに見舞いに行くの大変だ。
「んん。いい弟だ」
「やーめなさい」
姉は僕の頭を撫でようとする。何歳だと思ってるんだ。
「ねー在人、インフォト始めたの?連絡先から追加ってなってるけど、これあんたよね?」
「あぁ、そうだけど」
「フォローしてあげよっか?」
「だめでしょ、普通に。色々問題ありそうだし」
僕の頭を撫でようとしながら、カレイの煮付けを美味しそうに食べる我が姉。実はかなりの有名人で、本名は神谷 葵、白石 葵という芸名で活躍するファッションモデルなのだ。インフォトフォロワー180万人を超え、今、いちばんあついと噂されるモデルが、こんなとこにいるとなるとなんだか不思議な感じがするな。
「ねえちゃん。インフォトに僕の手が写ってて匂わせって言われてたよ」
「あれはわざとわざと、ちょっと男気見せてた方が色目使われなくて済むしね」
「意味のある匂わせだったんだ」
「んんっんんん」
「食べながら話さないの」
「はひい」
「まったく」
こんなこと外でやってないだろうな?
「ごちそうさまでした!」
「はい、お粗末さまです」
「んー、やっぱり家はいいなぁ、仕事やら大学やらで気張ってると肩凝っちゃうわ〜」
「お風呂も湧いてあるよ」
「なんて最高な弟」
ぎゅーと僕にハグをしてお風呂場に行ってしまった。ほんとに子供じゃないってことをわかってないみたいだ。
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