13話 遭遇
よろしくお願いします。
短めです。
土曜日。明日の買い出しの為にショッピングモールにやってきた。本当は午前中に来て、入りたての魚を調達したかったのだか。外せない予定があり、現在時刻は十七時前だ。食品コーナーで必要なものを買い終えて、本屋にでも寄っていこうとした時、彼女達に会ってしまった。
「あれー?神谷くん!何してるのこんなことで!」
声をかけてきたのは如月 小夜。
ビックシルエットの黒のスエットに黒スキニーに靴は厚底スニーカーと。オールブラックコーデだがインナーの白がスエットから出ており。ワンポント、アクセントを効かせている。カバンはカジュアルなリュックだ。
その後ろにいるのは桐崎 唯衣。
白のカットソーに色が薄めのデニム、靴はキャンバススニーカーと爽やかなスタイル。ベージュのショルダーバッグを肩にかけている。白のカットソーはよく見るとグレーのボーダーになっており可愛らしいデザインだ。
「き、奇遇だね、ちょっと食材を買いに」
「あ!料理するって言ってたもんね!」
「神谷くん…学校とは裏腹にちゃんとした格好してるじゃない」
「そうかな、ありがと」
ステータスを上げる一環でファッションについても勉強したが、結局、ひとそれぞれ感性が違うので好きな物を着るのがいいという結論に至った。今日のコーデは白シャツにVネックニット。下は黒のスキニーだが微妙にネイビーのチェックが入っている。靴はシンプルにドクターマーチンでカバンは少し変わった革のような生地のショルダーバッグ。学校にはして行かないが、この格好に合わせるために、若干のヘアセットもしてある。てか、学校とは裏腹にって、学校じゃちゃんとしてないみたいじゃん。そんなことないからちゃんとしてるから。うん。
「ほんとに!別人みたい!元々顔は悪くないと思ってたけど、その格好ならきっとモテるよ!」
「いや、それはどうかな…。如月さん達は勉強してたの?」
「うん!ひと段落ついたからこれからご飯でも食べようかなって話してた所。」
「それなら〜神谷の手料理ご馳走して欲しいなぁ」
「あ!それいいね!」
「いやいや、よくないから。あと、前々から思ってたんだけど、桐崎さん。気になる人がいるならそういう思わせぶりなことはあんまり言わない方がいいかもよ」
この人はほんとにあざといというか、小悪魔というか、からかい上手なのだ。困ったものだ。
「え!なにそれ!初耳なんだけど!」
「あー、あれ実は冗談。気になってる人なんていないよ」
はい?冗談?気になる人がいるって言ったのが?
「え?なんでそんな冗談を」
「いや〜、そうしたら君の気になってる人とか聞きやすいかなって思ってさ、ごめんね?」
ほんとに、碓氷くんのことについて悩んだ時間を返して欲しい。残念碓氷くん。どんまい。
「いいけど」
「もしかして、自分かもって期待しちゃった。んー残念!今は彼氏とか作る気ないの」
「そんなことは無いけど」
桐崎さんはへらへらと笑っている。一方いつも元気な如月さんはなんだか静かだ。
「あ!そうだ、私、やらなきゃいけない事があるの思い出した。ごめんね!帰んなきゃバイバイ!」
「あっ、ちょっと」
「またね」
桐崎さんは行ってしまった。如月さんもその後を追いかける。ほんとになんなんだよ、全く。
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「唯衣らしくないね」
「何が〜?」
「冗談を言うなんて」
「そう?いつも言ってるよ〜」
「嫌いじゃなかった。人の気持ちを弄ぶ冗談。」
「嫌いだよ。冗談。ほんとに嫌い。そして今の自分もね」
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