表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
北欧神話は語られない  作者: エイカ
ホズという神
7/18

4

「こんにちは。ホズ」


 ナンナは少したれ目がちな碧眼を細めて、彼女よりも小さなホズに目線を合わせるように屈んで声をかけた。ゆるく癖のついた腰ほどの髪がふわりと舞う。

 フッラ以外の者に好意的な視線を向けられたことがないホズはうろたえ、初めは挨拶もまともに返せなかった。それでもナンナは足しげくホズのもとへ通った。ホズも少しずつ彼女に打ち解けていった。

 彼女はホズの心を癒していった。フッラはナンナに感謝した。ホズには必要だったのだ。ホズを偏見なしに見てくれる神が。他人からのやさしさが。

 フッラには出来なかったことをナンナはすべてホズに与えた。

彼女とホズはいつしかお互いが大切な存在になっていた。ホズはナンナの慈愛に。彼女はホズの純粋さに。二人は惹かれあった。


 それは友情でも、家族愛でもあった。


「私、結婚するの」


 ホズにとってそれはいきなりの告白だった。


「……おめでとう。びっくりした」

「貴方に一番先に伝えたくて!」

「うれしいな。ぼくが一番?」

「えぇ」


 ホズは少し寂しい気もしたが、嬉しさの方が勝っていた。ナンナが幸せになるのだ。目の前の彼女の幸福に満ち溢れている顔はホズを喜ばせた。


「前より会えなくなるかもしれないけれど、私たちの繋がりは消えないわ」

「うん。ぼくはナンナに感謝しているんだ。君に出会えたからぼくは今笑うことができるんだ。幸せになってね」

「私、貴方に会えて色んな大切なことを知ったわ。私も感謝しているの。普段こんなこと恥ずかしくていえなかったけどね」


 二人は顔を見合わせて笑いあう。

 穏やかな日はずっと続くのだと誰もが信じていた。


 しかしフッラは嫌な予感がとまらなかった。ナンナの結婚相手はバルドルなのだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ