問題篇
そろそろ事務所を閉めようとしていたところに、捜査三課の古舘警部が唐突に訪れた。連絡もなしにやって来たあたり、よほど慌てていたのだろう。挨拶もそこそこに、警部はスーツの胸ポケットから1枚の写真を取り出し、私に差し出した。
「この1ヶ月、世間を騒がせている2人組の強盗をご存知ですか」
「たしか男2人組で、金持ちの屋敷を中心に盗みを働いているが証拠を一切残さないとか」
「ええ。しかし先ほど、我々はついに奴らのアジトを特定し1人が使っていたスマートフォンを回収したのです」
「それはお手柄ですね」
だが、古舘警部は苦い顔のまま首を横に振る。
「事はそう甘くありません。奴らは訳のわからない暗号を使いメールのやり取りをしていて、肝心の内容がまったく意味不明なのです」
そのメールの内容が、今私の手元にある写真なのだという。
「犯人の男たちは、仮に田中と鈴木とします。彼らは、その奇妙な顔文字だけで会話をしているのです。それは最新の時間に2人がやり取りした内容で、近いうちに何か動きがあるのではないかというのが三課の見立てなのですが」
「ふむ。さしずめ、天使と悪魔の会話というところですか」
万一警察に押収された場合を想定していたのか。賢い方法だが、このやり取りが探偵である私の目に留まったことは不運と言う他ない。
Q:田中と鈴木がやり取りしていた内容を解読せよ。




