問題篇
貴重な有給休暇を利用して、三宅巡査は友人たちと山へ出かけた。キャンピングカーで山の麓まで移動してからはハイキングやバーベキューなども控えていて、絵に描いたようなひと時を過ごせるはずだった。
だが、たまたま近くでキャンプをしていた集団のひとりが絞殺体で発見された瞬間、若手刑事の優雅な休暇は早くも仕事に切り替わってしまう。
「警察が到着するまで誰もここから離れないで。現場も荒らさないように」
現場保存の後、被害者とキャンプをしていた男女3人から事情を聞き出す。彼らの説明によると、被害者は市井ケント、29歳、男性。父親がイギリス人で、本人もつい先日イギリスから帰国したばかりとのこと。再会を懐かしんだのも束の間に悲劇が起きてしまったのだ。
「被害者の首元に、幅のある紐状のもので絞められた痕が見られますね」
「ケントはネクタイをしていたはずです。ストライプの模様が向かって右上がりになったネクタイを」
女性が証言した。続けて男性のひとりが、
「刑事さんにお伝えしたいことが。実はケントを最初に見つけたとき、彼は息も絶え絶えに“ノート”と囁いたんです」
「ノートって、noteのことですか? 犯人の名前をノートの切れ端にでも書き残しているのか」
だが、遺体からそれらしきものは発見されていない。
「待てよ……だったら、被害者の所持品の中であれを調べるべきかもしれないな」
Q:三宅巡査が調べた被害者の所持品とは?




