問題篇
「どうしよう、探偵さん。どっちを切ればいいですか」
「落ち着いてください、三宅巡査。焦りは禁物です」
「でも、あと5分もないですよ!」
ペンチを握った手をガタガタ震わせながら、若巡査は悲鳴に近い声を上げる。
「篠田警部。爆弾魔に関する情報は得られましたか」
『……ああ、探偵さん。今しがた犯人から電話があって、カタコトの日本語で拘束されている仲間の解放を要求してきました。話し方から外国人であることが予想されます』
無線機の向こうで、篠田警部が早口に捲し立てる。
「ほかに有力な情報は」
『犯人は、“日本の警察は我々を裏切った。制裁を加えて然るべきだ”というようなことも話していました』
「裏切った、というのは……あっ」
電波が途切れてしまった。これ以上、外部からの助けは期待できない。
「探偵さん、あと3分です! 赤色か、黄色か。どっちの線を切ればカウントは止まるんだ」
「必ずヒントがあるはずです。爆破を阻止するヒントが」
ゴンドラの窓に張り付いてると、地上で待機している警察隊のひとりが、旗らしきものを掲げている様子が見えた。
「あれは、ドイツの国旗じゃないか。犯人はドイツ人なのか」
その瞬間、私は鼻水を垂らした三宅巡査を振り返ると大声で指示した。
「分かりましたよ。切るべき導線の色は……」
Q:どちらの色の導線を切るべきでしょうか?




