人類対消しゴム
突然、こんな変な考えが浮かびました。妄想を小説にしたようなもので、現実にこのような出来事があったとしても、人類の英知で解決できると思います(作者は思いつきませんでした)。
人と車が行きかう繁華街の一角、信号機の点灯にしたがい規則正しい流れができている。もうお昼近くなのか、パン屋やコンビニ、食堂に人が吸い込まれていく。仕事から解放されてくつろげるひととき。
突然、空から白くて四角い巨大なものが降ってきた。建造物にぶつかると縁がぶよんぶよんと揺れて、コンクリートをかすめつつ道路に落ちて、道をふさいだ。続けざまに正方形や長方形の巨大な塊が、次から次へと地面に落ちてきて、ある物は倒れ、別の塊はそのままそびえ立ち、車や道路標識を押しつぶす。電柱は斜めに傾き、街はパニックになった。5メートル以上の塊の正体は、巨大な消しゴム。それが日本の至る所に降り始めた。
一時間後、自衛隊の戦車が出動して、砲弾を浴びせたが、ゴムの弾力で衝撃を吸収してしまった。砲弾は、塊に穴をあける効果はあったものの、崩すまでには至らなかった。火炎放射器で焼いてみたが、臭いガスが立ち込めて、一般住民の中に気分が悪くなる者が続出したので、中止になった。
戦闘機も出撃して、白い塊に銃撃を浴びせる。ボロボロになった白いカスが道に落ちて、風で舞い散るようになり、ますます環境は汚染された。
落下する消しゴムは後を絶たず、海や山などお構いなしに大量に落ちてくる。焼いてもダメ、銃撃してもダメで、人海戦術で切り崩すことになった。自衛隊員や警官が動員されて、大き目の刃物で切り崩すが、すぐに刃に消しゴムがくっついて動かなくなる。のこぎりやチェーンソーで切り崩すと、消しゴムのカスが大量に出てくる。ガスマスクをつけた隊員が、バーナーで焼き切っていく、嫌な臭いが風に吹かれて広がっていく。大量に発生したカスは隊員が練り固めてまとめていくが、量が多すぎて対応が間に合わない。薬品で溶かす方法を採用し始めたが、焼け石に水だった。
世界各地でも、消しゴムは大量に落下し、木々は倒れ、川はふさがれて洪水になった。海上に落ちた消しゴムは、沈んでしまったものの、積み重なり、航行中の船舶は座礁した。
「たかが消しゴムごときに」と各国の首脳は歯噛みしたが、どうすることもできなかった。地球は消しゴムの塊に埋め尽くされてしまった。
消しゴムは水に沈むので、書き直しました。