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女狐が異世界を調停します  作者: 木口なん
3章 原初の魔物
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31話 エレン・クラウス

前回3章に突入したの忘れてた。

章管理ってすぐ忘れるんだよねー

 

 【イルズ騎士王国】の王都【イリジア】の南。徒歩で1週間ほどの場所に位置する第二都市【クザス】は周辺に広がる豊かな平原を生かした穀倉地帯となっている。

 特に小麦のほとんどは【クザス】で生産されており、周辺の農村も多い。中にはたくさんの奴隷や使用人を使って地球のように、大規模農耕を行う者もいる。そんな一部の富豪は【クザス】の城壁内部で豪邸を構えていたりするので、この都市を『大農業都市』と呼ぶ者もいる。



 この栄えある大都市にも欠点がある。

 それは豊かな土地柄ゆえの問題―――魔物の襲撃だ。



 当然魔物も食事をする。しかし、人族のように農耕して食料を得ようとする魔物は基本的に存在しない。そこで狙われるのが人が作った畑だ。


 【クザス】周辺では、食料を狙う魔物が頻出するため、冒険者のみならず騎士団も巡回しながら魔物を間引いている。出てくる魔物はゴブリンや強くてもオークだったため、低ランクの冒険者や見習い騎士の修練にも利用されていたりする。








 この都市で起きた異変を感じ取ったのは冒険者ギルドクザス支部の受付嬢のタリアだった。




「う~ん・・・」


「どうしたんだタリア?」


 受付で資料を見ながら唸っているタリアの元にとあるランクCパーティの冒険者たちが話しかけた。



「いえ、最近・・・というか半年前からオークの討伐数が異常にに増えてるんです」


「そうか? あんまり実感ないんだが?」


「確かに半年前と比べたら増えてる気がしなくもないが・・・気のせいだろ?」


「いえ、半年前から徐々に徐々に増えているんです。毎日活動していると段々慣らされてしまって気づきにくいような・・・そんな風にじわじわと増加しているんですよね」


「そうなのか? だが今のところ十分対処できているし問題ないだろ」


「実際オーク肉は儲かるし俺らからしてもそんなに気にならないぞ?」


「はい、今は問題なくできていますが、このようにオークが増えていると、オークを統率する上位種が出現している可能性があるんです。オークだけなら問題ないのですが、上位種となるとさすがに無視できません」


「なるほどな、オークキングでランクBだっけか? そのクラスだと結構面倒だな」


「ですから、ギルドマスターに報告して、近くにオークの集落が出来ていないか調査の依頼を出してもらおうと思っています」


「ほうほう、いいことを聞いたな。その依頼は是非とも俺たちに指名してほしいものだ」


「ふふ。少なくとも半年前からある集落ですからかなり大きいと思いますよ。ランクB依頼になると思うのであなた方には荷が重いですね」


「なんだよー。一応(B)なんだぜ?」


「(B)が適応されるのは討伐依頼だけですよ?」


「そうだよなー・・・っと、依頼の達成報告をしに来たんだった」


「おいおい忘れんなよ」


「はい、では確認しますね」






 4日後オーク集落の調査依頼が出されることになる――――――












~報告書~


ランクB依頼 オーク集落の有無の調査

半年前からのオークの増加に伴って、大集落が出来ている可能性がある。オーク集落の有無を調査し、あった場合は詳細を調べ、報告する。


 オークの大集落を【クザス】の南部の林に発見。元あった農村がすでに取り込まれている可能性があり、その規模は過去に例を見ないほどである。

 また、集落内には大量のオークをはじめ、ハイオークやオークジェネラル、さらにはオークキングも確認した。さらなる上位種が存在する可能性もあるが、これ以上は調査不可能と考え撤退した。

 直ちに討伐作戦を展開することを推奨する。

















「で、この報告書が届いたのが2週間前、さらに原種の情報が入ったのが3日前だ。原種が確認されたことで【クザス】だけでは対処不可能と判断されたため、このイリジア支部に援軍要請が来た」



 ギルドカードを作ってもらった翌日、わたしと残念勇者は再びギルドに来た。それで昨日バロンさんが言ってたように原種討伐作戦についての作戦が発表されているのだ。


 原種と聞いてざわめく冒険者たち。原種を知る冒険者たちは絶望の表情を浮かべ、原種を知らない若手は原種について聞いてまわっている。



「静かに! 確かに原種の出現によってこの作戦の何度は跳ね上がっている。ランクにしてSSS overの超高難度レイドクエストだ。だが、安心しろ。今回この依頼には『極大魔法師ウィザード』のエレンと『双術』のイザードが参加する!」






 「何! あの特Sランクが2人もか!」「『双術』様がいらっしゃるの!?」「世界最高の霊術師の魔法が見られるのか!」「た、助かった・・・」



 ランク特Sの存在を聞いて一気に安堵する冒険者たち。そんなにすごいのか特Sは。普段がアレなイザードのせいで実感わかないが、本来は人外クラスの戦力なのだろう。




「この依頼はランクD以上は強制参加だ。このあと各パーティごとに受付に行くように! 明後日の朝9時に大門の外で集合しろ。以上だ!」




 そう締めくくってバロンさんは奥に消えていった。隣の残念勇者は終始不機嫌だったが・・・




「ちっ、バロンさん・・・人をダシに士気をあげやがって」


「別にいいじゃないですか」


「どうせあの人の作戦も俺が最前線に立つこと前提だからな・・・あーめんどくせー」


「もう一人の特Sのエレンさんは?」


「あの人は霊術師だから固定砲台役だな。一応槍術も一人前に使えるが、こういった大規模な作戦じゃ霊術ぶっ放したほうが効率がいい」


「ちなみに『極大魔法師ウィザード』の異名は?」






「それはあたしが極大魔法を使うからさ!」


 突然後ろから声をかけられた。

 振り向くといかにも魔女な恰好の女性が立っていた。黒い三角帽子をかぶり、ローブを着こんだ姿は気品あふれる西洋の魔女だ。整った顔立ちに薄い緑色の髪を肩のあたりで切りそろえており、一目で美人だとわかる。さらに特徴的なのは先のとがった長い耳だった。



「でたなエレンのババァ」


「あなたこそしけた顔してるわねイザードの小僧」



 いや、ババァって・・・まだ20代にしか見えないんだけど



「あなた最近幼女を誘拐したって聞いたけど本当?」


「どこだその情報源は! 完全にデマだからな」


「じゃあ、その隣のお嬢ちゃんは?」


「俺のパーティメンバーだ」


「嘘はいけないわよ?」


「そんなに信用ないのか俺は・・・?」



 すっかりいじけた残念勇者。この人どこに行ってもいじられてるな。




「で、あなた名前は?」



 ん? わたしかな?



「そうよ。あなたの名前」



「ルシアと言います。ランクBです」


「え?」


「え?」


「ランクB・・・?」


「そうですよ?」



 仕方ないので昨日作ったばかりのギルドカードを見せる。




「!!・・本当にランクBなのね・・・しかも(A)って・・・」



「えっと・・・」


「あ、あたしの紹介をしてなかったね。これがあたしのギルドカードだよ」






――――――――――――――――――――――――――


名前 エレン・クラウス 193歳

ランク★(SSS)

戦闘 霊術、槍


パーティ -

受注中依頼 原種討伐


預金額 ***ゲルド


―――――――――――――――――――――――――――





 ランク★ってのは特Sのことみたいだ。この人名前がエレンだし『極大魔法師ウィザード』って人に違いない。預金額が隠されているのは個人情報保護のためだろうな。わたしもやっておこう。

 てか193歳!? BBAじゃん。



「ふふ・・・わたしの年齢を見て驚いているみたいね。わたしはエルフ族だもの。この耳が証拠よ」


 エレンは耳を触りながら見せてくれる。



「ババァ・・・」



「何か言ったかしらイザード?」


「いえっ! 何も言っておりません!」


「あらそう?」



 残念勇者よわっ!?



「じゃあねルシア。あなたも高ランクなら戦場でまた出会うでしょう」



 最後にニッコリ微笑んで去っていった。


 ちょっとだけ尻尾感知で霊力量を測ってみたら、とんでもない化け物だった。

 前見た魔王なんか軽く超えてたよ。

 感覚的に私の霊力の3倍ぐらいだ。

 ま、わたしには魔力もあるから、実質1.5倍ぐらいだけど。





 さて、明後日は冒険者としての初依頼だ・・・
















 てか初依頼がランクSSS overってどゆことよ?



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