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女狐が異世界を調停します  作者: 木口なん
3章 原初の魔物
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30話 原種

 

原種・・ね・・・・面倒だ。パス」


「出来ると思うな。『極大魔法師ウィザード』のエレンも参加する作戦だ」


「あー、あいつがいれば大丈夫じゃね?ほら俺いらないじゃん」


「ダメだ。ランクD以上は強制参加だから逃げられんぞ?」


「ちっ、タイミングの悪い」


「仕方ないだろう。今は少しでも戦力が欲しいんだ。お前も原種の恐ろしさは分かってるだろう?」


「だから嫌なんだけどな・・・」




 く、空気が重い・・・

 原種ってなんですか? なんて聞けないよ。




コンコン


「マスター、ルシアちゃんのギルドカードを作る準備をしました」


「ちょうどいい、入れ!」


「失礼します」



 リリアさんが機材を抱えて入って来た。

 すごい重そうだけど大丈夫かな?




「ルシアさん、この魔法道具に手を置いてください。霊力パターンを測ります」



 機械みたいなゴチャゴチャした魔法道具の水晶みたいな部分に手を当てると、少しだけ霊力が吸い取られた。



「・・・はい、完了です。後はこれで名前と戦闘方法を打ち込んでいただければカードが出てきます」



 パソコンのキーボードみたいなもので名前と戦闘方法を打ち込むとカードが出て来た。






――――――――――――


名前 ルシア 10歳

ランクB(A)

戦闘 弓、霊術


パーティ    -

受注中の依頼  -


預金額  0ゲルド

―――――――――――――






 なるほどね。これが身分証にもなるわけか。



「機能の説明をいたします。まず、ギルドで依頼を受けるときはこのカードを機械に通して受注することになります。依頼を2年間まったく受けられなかった場合、ランクの降格やギルド除名の処分になります。また紛失されて再発行すると、金貨1枚かかりますので注意してください。魔物を討伐された場合、このカードに記録されることになるので、討伐依頼でズルすることはできません。討伐内容はギルドの専用魔法道具でのみ見ることができます。ランクC以上ですと、ギルドで預金することもできます。そのときにもカードが必要ですのでご注意ください」




 なかなか多機能だ。

 討伐した魔物を記録? はどういう原理でやってるんだろう?


 あと、貯金通帳の機能もあるみたいだ。

 カードの一番下に預金額が書いてある。 0ゲルド・・・


 お金の単位があるの初めて知ったよ。わたしって買い物したのは【ハリス】で服を買った時だけだし、気にしたこともなかった。



 あとランクBって書いてあるけど隣に(A)となっている。どういうことだ?



「あの、ランクの隣にある(A)ってなんですか?」


「あ、説明し忘れていました。ギルドランクの隣の記号は強さのランクでF~SSSまであります。これは魔物の強さを示すランクと同じで、同ランクの魔物なら1対1で勝てるという目安です。ルシアさんはランクA overのスライムを倒したと聞いたので(A)という表示になっています」



 なるほどね



「強さのランクがギルドランクより高い場合、討伐依頼に限り、そのランクの依頼を受けることが可能となります。たとえば、ギルドランクBで強さランクSの場合は、討伐依頼に限りランクSの依頼を受けることが可能になるというわけです」



 強いけど、ランクが低い人を持て余さないための措置か。よくできてるな。




「だから今回の原種討伐ではルシアちゃんも前線に出ることになるぞ? 実質ランクAの強さを持っているからな!」



 なん・・・・だとっ!?



「ギ、ギルドマスタ―、いくら何でもこんな小さな子を前線に出すのは・・・」


「リリア、そんな悠長なことは言ってられんのだ」


「ああ、バロンさんの言う通りだ。原種自体も厄介だが、その取り巻きもかなり面倒だからな」


「しかも今回の原種は取り巻きが特に面倒だぞ?」


「そういや何の原種なんだ?」


「ん? ああ、それはだな・・」








「あの、その前に原種ってなんですか?」



 残念勇者、バロンさん、リリアさんがこっちを向く。

 やっと聞けたよ。

 さっきから原種がなんなのか分からなくて話が読めなかったし。





「そうか、一番最近の原種討伐は8年前だしな・・・知らないか。よし、せっかくだからここで説明してあげよう」


 バロンさんは分かりやすく丁寧に教えてくれた。








 原種ってのは、同一系統の生物の頂点であり原初の存在ってものらしい。

 同一系統の魔物ってのは、例えばゴブリンだと上位種のゴブリンメイジやゴブリンジェネラル、ゴブリンキング、そしてオーガやキングオーガといったようにひとくくりに出来る系統にある生き物たちだ。通常、上位種になるほど数が少なくなるが、原種が出現すると上位種が爆発的に増えるそうだ。それに伴って下位種も加速度的に増え、その系統の大軍団が出来上がるという。


 また原種自体もランクSSS overと測定不可能な領域らしい。基本的に原種を倒せるのは原種だけと言われるほど強いので、出現すると国をあげて討伐しなければならないのだとか。

 前回出現した原種の黒曜妖鬼ハテンヤシャはオーガやゴブリンを従え、数万人規模の被害を出したらしい。ちなみにそのときに強さランクSSSとして活躍したイザードがランク特Sに昇格したみたいだ。


 原種自体は先祖返りみたいなもので、いつどこで現れるかは全く予測できないらしい。それで、原種が大規模な軍団を作り上げてしまうまで気づかないことが多いのだとか。


 原種は魔物だけでなく、全ての生物に存在するらしい。人族なら、仙人や聖人と呼ばれる者でエルフはハイエルフ、現最強の魔王も魔族の原種だと考えられている。


 これは予想だが、たぶんわたしも狐獣人の原種だ。








「――――そういうわけで、この国は現在滅亡の危機にあると言っても過言ではない!」


「それホントに危機ですね冗談抜きで」


「まったくだ。魔物の原種は10年ごとぐらいの頻度で出現してるから、今回は少し早いな。8年前もイザードが活躍してくれたんだ。今回も期待してるぞ!」


「はぁ~、エレンのばぁさんで十分すぎると思うんだがな。で、結局なんの原種なんだ? なんとなく予想は出来てるんだが」



「ん? そうだな、忘れるところだった。今回はオーク種の原種討伐だ」


「やっぱりな」


「心当たりがあったか。ということは王都周辺も結構なオーク被害が出てるんだな」


「ああ、200体ぐらい狩ったからとりあえずは大丈夫だと思うんだが」


「そんなに倒したのか・・・まぁ、オーク種は爆発的に数が増えるから取り巻きがとんでもない量になってるみたいでな。王都周辺に出て来た奴ははぐれだろう」




 確かにオークはかなり倒した。わたしはこの辺りに来たことがなかったため、特に気にしなかったが、やはり多かったのか。

 オーク200体と言ったが、ほとんどわたしが索敵して見つけたオーク集落によるものだったりする。




「ま、詳しい内容や作戦は立案中だ。お前が来たおかげで一気にやりやすくなったし、明日には発表できるだろう。今日のところは休んでおくといい」


「わかったよ。とりあえず俺とルシアちゃんのパーティ登録して帰るわ」


「ああ、そうするといい。基本的に同じパーティなら同じところに配置になる。この子のことも守りやすいだろう」



 うん、すごい配慮されているように見えるけど、ランク特Sと同じところに配置ってかなり前線だよね。いじめなの? これいじめなのかな?



 すっと立ち上がって部屋を出る残念勇者。用も済んだのでわたしも出ていく。



「じゃあな、バロンさん」


「失礼します」


「ああ、また明日な」


「イザード様、ルシアさん、こちらへ。マスター、失礼します」




 バロンさんに見送られてギルドマスターの部屋を後にし、ついでにパーティ登録をして盾屋(何度も言うが宿屋さんだ)に帰った。



 時間はまだ昼前で、ミリーさんに「夕方に帰るのではなかったのですか?」と聞かれたが今日はもう休むことにした。





 





 ついでに新魔法を考えたのは秘密だったりする。


もうすぐ冬休み

テストラッシュなうで死にそう

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