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女狐が異世界を調停します  作者: 木口なん
2章 二人旅
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26話 残念勇者

 

 『物質化マテリアライズ』で創りだした刀を突きさして、内部から爆散させた。


 地面に転がっている巨大魔核もボロボロだし、これで倒せてなかったらどうしようもない。

 

 霊力が切れかかっているため、最悪の場合は魔術を使うしかない。






 そもそもアレはなんだったのだろう。

 どう見てもウルフ種の魔物とは思えない。


 無駄に高い再生力を持ち、血が流れていない生物なんてあるのか?

 異世界だからエイリアンもびっくりのUMAがいてもおかしくはないが、残った魔核の大きさから鑑みると、かなり高ランクの魔物だったと思う。



 基本的にオークはランクDだった。

 オークの魔核は親指の爪ぐらいの大きさしかなかったが、今倒したアレの魔核の大きさは野球ボールほどもある。

 能力的にもランクAぐらいあってもおかしくない強さだった。







 と思う。たぶん。





 さっきから復活する様子もないし、魔核を回収して明日にでもアホ勇者に聞けば何かわかるだろう。


 てか、眠い!

 深夜に起こされて全力戦闘とかどんなブラック企業だよ。

 10歳の身体には堪える重労働だった。ほんと。




 『人化』で尻尾を1本にして、ボロボロの巨大魔核を手に取った。





  


   ピキッ






 「は?」


 巨大魔核は手に取ると割れて、中からピンポン玉サイズの魔核かでてきた。

 



 いや、確かに表面はヒビだらけだったよ。

 まさか、殻が破れたみたいに中から小さな魔核が出てくるとか聞いたことないんだけど?



 うん、でも魔物についても詳しいわけじゃないし、これもアホ勇者に聞けば分かるかもしれない。





 それよりも睡眠!

 寝る子は育つ!

 夜更かしはよくないのだ。

















「とまぁ、こんなことがありました」


 日も高く上った頃、イザードは目を覚ました。

 聞きたいことが結構あったため、昨夜のあらましを語りつつお昼ご飯のパンとオーク肉を食べていた。








 「・・・・・・・」


 一通り聞き終えたイザードはパンを片手にプルプル震えている。

 お腹でも痛いのだろうか?






 「・・・・・たんだ」


 「え? よく聞こえなかったんですが?」





 「どうして、そんなに面白そうな魔物を教えてくれなかったんだ?! 再生するウルフ? 血が出ない? すげぇ興味あるわ!」


 「あんた肉の食べ過ぎでくたばってたでしょ!」


 「うぐっ」



 いや、正確にはわたしがトドメをさしたのだが、そこら辺の記憶は抜け落ちているようだ。好都合である。



 「あなたが呑気に寝ている間に死闘を繰り広げたわたしの身にもなってほしいですね勇者(笑)」


 「ぐふぅっ!」


 「そもそもあなたが食べ残したオーク肉のせいでブラックウルフと謎の魔物が寄ってきたのに、わたしが尻拭いしなければならないのはどういうことですかね役立たず勇者?」


 「ごふぅ・・・」


 「何か言うことは?」




 「誠に申し訳ございませんでした!!」


 


 アホ勇者の全力の土下座だ。

 というか、あるのか土下座文化。


 調子に乗ってかなりいじめてしまったが、10歳の女の子に土下座する勇者(笑)。

 かなりシュールな光景だろうな。





 「まぁ、それはもういいですアホ勇者」


 「あ・・あほゆうしゃ・・・」


 「例の魔物について心当たりはないんですか?」


 「あ・・あほ・・・あほゆうしゃだって・・・」


 「あと魔核が割れて、一回り小さな魔核になる現象についても何か知っていますか?」


 「あほゆうしゃ・・・ギルドの受付嬢にも蔑まれたことないのに・・・」




・・・・・・・・・・・






 イラッ(怒)








 「ああもう、さんざんカッコ恥ずかしいこと言っておきながら肝心な時に役立たずで結局10歳の女の子に助けてもらったそこの残念勇者、話を聞きなさい!」


 「うぐっはぁっ!」


 「・・・・・・・・・・・」

 

 「・・・・・・・・・・・」





 ゆうしゃはせいしんダメージを8000000ポイントうけた。

 ゆうしゃはしんだ。










 「ぐ・・ルシアちゃんに罵られるのもいいぜ・・・」


 「・・・・・・・・・・・」





 ゆうしゃはふっかつした。

 しょうごう「どえむ」をてにいれた。





 「・・・・・・」

 「・・・・・・」



 「残念さが増しましたね」

 「うぐっ・・・いい・・・」













 残念さに拍車がかかったアホ勇者にいろいろ質問した結果、イザードもよくわからないらしい、ということが分かった。


 つまり何もわからなかった。



 「とことん役立たずですね」

 「おっしゃるとおりです」


 なぜか罵られて喜々としている残念勇者。

 それでいいのかと思ってしまう。


 

 「でも、心当たりというか、もしかしたらって可能性なら知ってるな」

 「なんですか? 言ってみてください」


 「えーっとだな・・・」



 残念勇者は頭を掻きながら自信なさげに答えた。



 「ちょっと例の魔核に魔力込めてみてくれ。獣人なら少し持ってるだろ?そんなに量はいらないから」



 よくわからないが何かの判別方法なのかな?

 魔力は有り余ってるし、ちょっとやってみるか。



 「わかりました。やってみます」




 ピンポン玉サイズの魔核を取り出して掌にのせる。

 魔力を込めるってのはやったことがないが、体内魔力の操作と同じでいいだろう。

 掌の魔核を身体の延長のように考えればいけると思う。



 「はあっ!・・・・やば、込めすぎた!」 

 

 「うおっ!」



 ちょっと(かなり)魔力を込めてしまったみたいだ。

 魔核が熱を持ち始め、プルプル震えだしたので、とっさに魔力を止めて魔核から手を離した。



 残念勇者イザードも真剣な顔つきになって剣を抜いた。

 一応、『物質化マテリアライズ・霊刀』を用意する。




 地面に落ちた魔核は銀色の物質をどこからともなく出して、魔核を包み始める。


 これって・・・・



 「残念勇者! これ再生です」

 「やはりそうか」



 魔核を包む銀色の物質はゼリーみたいにプルプル震えながら、膨張していく。

 ウルフの形になっていないことから見て、やはりただの魔物ではないのだろう。



 「こいつってなんなんですか?」


 「こいつは・・・・」



 膨張を続けた銀色の物体が安定した。



 「スライムだっ!」









 ・・・・・・はっ?

 スライム?

 RPGとかの始めの方ででてくる雑魚キャラの?

 わたしの中では可愛い魔物No1と認識しているあの?






 銀色のスライムはいきなりわたしに飛びついてきた。

 見た目からは想像もできない素早さだったため、反応が遅れてしまう。



 「おいっよけr・・・」



 残念勇者がスライムを攻撃しようとしたが間に合わない。

 びっくりして尻餅をついたわたしも避けきれずに銀色のスライムの体当たりをくらっ・・・・・






 うことはなくわたしの腕にすっぽり収まった。







 「「え?」」






 二人分の間抜けな声が虚空に響いた。

勇者がドM


ちょっとやってみたかったけど、かなり気持ち悪いですね。


まぁ書いたの私なんですが

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