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デュエット

仕方なく8人でひとつの部屋を利用することになったタカシ達。

「よろしく」

軽いのりのオサムに、8つの目が突き刺さってきた!

「こちらこそ」

なんともぶっきらぼうのクレ。

タカシとロサは目を合わさないでいる。


「あのー、そちらから先に歌ってください」とヒロコ。

「あっそう!じゃあ」

「クレ、少しは遠慮するものよ!こういうときは」

ロサは耳元で言った。

「はあ」理解できないでいるクレ。

「どっちでもいいか!歌が決まった人からということで」とオサム。

「そうね、そうしましょう」

ヒロコがそう言うと、また睨まれてしまった。

「うっ」びびるヒロコ。


「そこの坊やは歌わないの?」

ラネはタカシに聞いた。

「・・・」しかし、タカシはこたえない。無理もない、聞こえてないのだから・・。

「タカシ、タカシ!」

「ん!?どうした、ミユキ」

「あちらの方が質問してるみたいよ」

「質問?・・何ですか」

「ん、そっちの坊やも上の空みたいね・・」とラネ。


ロサは相変わらずうつむいたままだ。


「よし、じゃあ僕から歌おうかな!」

「オサム、何歌うのよ?」

「嵐に決まってるだろ!」

やめた方がいいと思うけど・・そう思うヒロコだった。

オサムの歌は・・そう、ただの雑音にすぎないからだ!


「私達も歌おうか!」とユカ。

「・・よし、決めた!」

「何にしたのラネ」

「サザンウインド!」

「いいわねー」


「ヒロコ、サザンウインドって知ってるか?」

「知らない!」

「だよな」

「いつの時代の歌かしらね」

「生まれる前だろう、僕たちが・・」

『キラリッ』、「げっ、また睨まれた」


うー、心臓がばこんばこんいってるよ!どうしちゃったんだ・・。

タカシはそーっと顔をあげ、斜め前のロサに目をやった。彼女も下を向いたままだ。ここでもし彼女が顔を上げたら、また目が合ってしまう・・。

て言うか、顔上げちゃったよー!

僕の体と瞼はそのままフリーズした。


キャー、こっち見てたのー!言ってよねー。

こちらも体と瞼がフリーズ。両方の頬っぺだけが、ホットプレート状態だ!


あっ、また二人で見つめあってる!ミユキの心は複雑だった。


「タカシ、お前の番だぞ!」

「そうだ、ミユキとデュエットしたら!」

「そうだな!それがいいや」

「えっ・・」

戸惑うミユキ。二人とも気を遣ってくれてるのはわかるけど、今この状況では・・。


「よし、デュエットしよう!」とタカシ。

「おっ、そうこなくっちゃ!」なんて呑気なオサム。


その時、急にロサは立ち上がった。

「ロサ・・」心配するラネ。

「トイレよ」ロサはそう言って部屋を出ていってしまった。

「ロサ・・」

そう小さく言うと、クレはタカシを睨み付けていた!

無神経な男め!少しはロサの気持ちも考えな・・。

クレはそう言いたかったのだ。


しばらくしてロサが部屋に戻ってきた。

「もう帰りましょう」

「・・そうだね!帰ろうか」

「うん」

「・・そうね!」

そして4人は部屋を出ていった。


「なんだあいつら、急に帰っちゃって」

「いいじゃない!これで4人になれたじゃない」

「それもそうだな・・」

「ミユキも歌おうよ!」

「うん」


しかし、タカシは心が締め付けられるように痛かった。そして、今のタカシには、その理由がはっきりとわかっていた・・。














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